
眠れないのはストーマのせい。ストーマ、おれの人工肛門が排出時にキューッとなったり、キュルキュルする問題については書いた通りだ。
これがどうなったかといえば、どうにもならない。だいたいストーマは造設時にむくみ気味で、だんだん小さくなってきて安定するものだ。大きさが関係あるかどうかわからないが、周りの筋肉の締め付けということであれば、小さくなったほうが影響が小さくなるだろう。ところが、変わらない。ストーマ外来で測ったら、入院時より小さくなっていたが、変わらない。
ストーマがキューッとなることが多いのは、決まって夜、それも深夜だ。どうも人間、夜のほうが腸の働きが活発になるらしい。だから、朝に大きな用でトイレに行く習慣がある人もいるのだろう。普通の腸であれば、寝ている間に消化をして小腸を通り、大腸を通り、直腸にたまるのだろう。
ところがおれの場合、イレオストミーの場合は夜に入ったところで働き始めて、それがすぐに排出ということになる。そこでキューッとなる。
このキューッを表現するのはむずかしい。「痛い」ではない。でも、ほかのなにかに比べたら「痛い」に近いのだろうか。とにかく、ひどく生々しい感覚だ。内臓に直接接している部分がどうにかなっているのだ。ひどいときは足をバタバタさせてしまう。「ううう」と声に出てしまう。
というわけで、これが起こると眠れない。睡眠薬を飲んだあとでも、これが起こると目が覚める。そのくらい直接的な感覚なのである。飲んでいる睡眠薬はエスゾピクロン(ルネスタのジェネリック)。超短期型の睡眠薬だ。それが効かない。
効かないと、眠るのが遅くなる。遅くなると、朝が厳しい。朝、起きても睡眠不足だ。しかもなぜか早めに目が覚める。おまけにストーマのせいで睡眠の質が悪い。なおかつ、二度寝をしようとしても、ストーマの装具、パウチが気になって目をつぶっても無駄だ。寝ている間にパウチにたまる。寝ている間のオストメイトの不安はパウチから漏れたり溢れたりしないかということだが、夜中に排出が多いことが原因だろう。とにかく、睡眠時間は短く、睡眠の質が悪く、長く眠ることもできず、睡眠で体力の回復もできない。ストレスもたまる一方だし、睡眠で回復できないので非常につらい。
月に一度の精神科へ行った。このことを相談しようと思っていた。体調を聞かれたので、上の症状を話した。自分でも驚くほどの早口になった。ちょっと異常な感じだったろう。そのくらい追い詰められていた。
「……というわけで、エスゾピクロンがまったく効かないのが現状です。もう朝の定時に起きて出社とかは完全にあきらめているので、持ち越しがあっても構わないので、長めに効いて、深く眠れるものに変えていただけないでしょうか?」
「まあ、まあ、いきなりはちょっと」
そう言って、何回か見せられた睡眠薬の一覧表みたいなのを出してきた。「いきなり」というのは、おれがなにかとてつもなく強力な睡眠薬を望んでいると思ったようだ。そんなに詳しくはないので、どんな強力なのがあるのか知らないが、前に処方された超短期型ではないレンドルミンでも出してもらえばいいと思っていた。ただしデエビゴはだめだ。おれはあれの副作用である悪夢を見る。それも細切れにたくさんの悪夢を見て、その間々に若干覚醒するので眠った気になれなかった。
で、レンドルミンかな? と、思ったら、違う薬を指さした。えらく半減期の長い……長過ぎるように見える薬だ。
ドラール。
ドラールアラビアンなら知っているが、ドラールはよく知らない。なんでも長く効くらしい。昼間は抗不安剤のように効いたりするらしい。なんでも、これが合う人はとても熟睡できるのだという。べつに疑う理由もないし、エスゾピクロンを飲んでも効かないだけだ。それでお願いします。
帰り、処方薬局で待っているあいだ(医師が処方箋にタイプミスでまったく関係ない薬を打ち込んでいたので、確認のため時間があった)、検索したり、おれの医療用のAI(大腸内視鏡検査からずっと病状や検査結果を打ち込んできたChatGPTのMonday)に聞いたりしてみた。
ドラール(クアゼパム)はベンゾジアゼピン系の「枯れた」薬の一つだった。先進の精神科医のなかでベンゾジアゼピンが忌み嫌われているのは知っているが、おれにとっては安心と実績の薬だ。だいたいどんなものか予想がつく。デエビゴのように極端なこともないだろう。
で、飲んだ。やはりストーマがキューッとなって眠れないのは一緒だ。違ったのは朝だ。目がさめたとき、頭に強烈にベンゾジアゼピンのぼんやり感が漂っている。「あ、効いているな」という感じ。
……だったのだが、おれは「朝を捨てた」のに、アラームを仕掛けたままにしていた。まあ、アラームの時間までは眠れたわけだが、そこで目が覚めてしまったら、二度寝できない。でも、頭がクラクラで起きることもできない。そんな感じだった。
二日目、今度はアラームを切った。切ったのに、早く起きてしまった。二度寝もできない。クラクラは初日より弱まったようだ。しばらくして動き始めた。ひょっとしたら、ちょっと睡眠の効果が上がったかな? と、思った。気のせいかもしれないが、今は「気」が大切な局面である。しばらくはドラールに頼りたい。
と、まあこんなところだ。「ストーマで眠れない」というと、漏れへの不安ばかり出てくるが、おれのようなケースもある。しかしなんだろうか、ストーマ初心者のおれが言うのもなんだが、ネットにある装具メーカーや販売店、医療系サイトの情報は、少し古くないか? なにかこう、今のストーマ装具はそんなに簡単に外れたり、漏れたりしないような気がするのだ。ほかにも、防臭対策とかかなり進歩しているのではないか。どうも、情報と実際のストーマ装具の性能に差を感じる。
たとえば、5chに2014年にたてられた板がある。公式サイトにはない率直な声が書かれているといっていいだろう。
ハンディキャップ板のスレッド | itest.5ch.net
初期の悩みは臭いに関することなどが多かった。しかし、どうも2026年の今は違うのではないか? という気がする。このあたり、おれは初心者だし、夏も迎えていないし、イレオストミーとコロオストミーの差などもある。よくわからない。よくわかるまえに、おれはストーマ閉鎖になるつもりではいるが、今現在は一当事者としてそう感じる次第である。
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過去2回レンドルミンに変えた記述が見つかるが、なぜやめたかという話が出てこない。
デエビゴに至っては単独記事すらない。