
がんの手術を受けた。
腹には人工肛門が造設された。
おれの身体は不自由になった。
とっくに不自由だった精神もさらに病んだ。
おれはつかれてしまった。
なのに人工肛門は世話が必要だ。
おれは摩滅してしまった。
なにもする気の起こらない人生だった。
それは間違いだった。
まだなにかやる気があった。
それが完全に失せてしまった。
失せてしまってそれに気づいた。
おれはもうだめだ。
この人工肛門は閉鎖される予定だ。
閉鎖後に待っているのは排便障害だ。
今度はおむつを履いて生きることになる。
何ヶ月も何年も生きることになる。
いつまで生きなければならないのかわからない。
飲むよろこびも食べるよろこびも失った。
外に出ることもできなくなる。
なけなしの金はさらになくなる。
おれにはなにもなくなる。
世界は黒くなる。
次に世界は白くなる。
真っ白な世界でおれは孤独になる。
だれの声も届かなくなる。
知らない音楽が聴こえてきておれはいなくなる。