夏の旅行へ行った。一日目は熱海を観光して熱海に泊まった。熱海に二日間いることもないだろう。小田原あたりに出ようということにしていた。小田原で、小田原城でも見る。ちょっと箱根湯本あたりまで行って箱根をチラ見して帰ってくる。そういう話だ。

というわけで、東海道線で小田原。

そして箱根湯本へまず行った。まだ昼前だったろうか。

箱根湯本……。

旅館やホテルなどあるが、とくに見るところもない。ここからすぐに小田原帰るか……。

と、ここで「箱根登山鉄道で山を登るか」という話になった。急遽そうなった。なんだったらケーブルカーに乗る、さらにロープウェイに乗る……。

というわけで、乗ってしまったので仕方ない。電車はスイッチバックをしながら山を登っていく。粘着式鉄道では最も急勾配となる80‰(パーミル)の勾配を登っていく。火曜日平日、車内はちょうど座れるくらい。大きなキャリーケースで旅行中の外国人も多い。というか、外国人のほうが多い?

強羅。このさきはSuicaが使えない。この駅でいったん降りて……ケーブルカー、ロープウェイ一日券を買う。一日券の値段は、ロープウェイで行って帰ってくる往復の代金とかわらない。三千円くらい。

こんなところに来るのは初めて……ではない可能性が高い。
とはいえ、おれはおれの私情の芽生えの瞬間を覚えていない。一番古い記憶は、霧の中、箱根のケーブルカーが登ってくるのを見たときのこと
おれの一番最初の記憶。物心つくかつかないかのころ、おれは箱根の山に行ったことがある。……と、思う。さて、どうなのだろう。ケーブルカーの駅に来たところで記憶が蘇るわけでもなかった。

ケーブルカーの駅は斜めだ。ケーブルカーは駅に停車しても、しっかりと停止せずゆらゆらしているのが面白かった。

ケーブルカーはそんなに長くはない。早雲山駅。山には大文字焼き。

さて、ここまで来ると、みなの目的はロープウェイということになる。

さて、おれはここにきて、おれが高所恐怖症だったことを思い出す。いつもそうだ。急に怖くなる。

ヒエー。だって、ロープだぞ、ロープに命を預けられるのか?

どういう仕組なんだ? 今すぐ降ろせ!

もう、下に見えるのは地獄じゃないか。

というわけで、大涌谷でいったん乗り換え。先を目指す。長いロープウェイだ。日本で一番長いのではなかったか? 昨日は熱海で日本一短いロープウェイに乗ったばかりだというのに。

しかしまあ、だんだん慣れて来る。ここのロープウェイは18人乗り。車椅子に対応しているゴンドラもあって、たまたま車椅子の人と乗り合わせた。

終点、桃源台駅。正直、今回の旅行でここまで来るとは想像もしていなかった。

芦ノ湖だぜ?

海賊船だぜ? ロープウェイからそのまま海賊船に乗る人も多かった。われわれはあてもなくそこらを歩いた。はっきりいって山の上は涼しい。いや、涼しいとまではいかないまでも、下界の猛暑に比べたらぜんぜん楽だ。夏ってこのくらいの暑さでいいんじゃないか?

それでも湖の中に突入している白人もいた。服とか乾かなかったらどうするんだ?

ん? なんだここは?

スワンボート乗り場。

はい、乗ってしまった。おれの提案ではなく、連れの人の強い提案だ。三十分千五百円。「かなりきついよ。風向きも悪いから、遠くにいかないで」と忠告される。

おれは慎重派なので、そうすることにする。

だいたい、「舵を切るときは漕いでください」とか言われたが、この舵がそこまで信用できるのか? 不安になる。救命胴衣もないし。

というかおれ、スワンボート漕ぐの人生で何度目だ? はじめてかもしれない。

おまえを信用してもいいのか?

ほかにも三羽くらいスワンが泳いでいた。

たとえば舵が効かなくなって、漂流したらどうすればいいのか? さっきの乗り場でスワンボート乗り場の人と携帯の番号交換とかLINE交換とかしておくべきだったのではないか。流されたら119番通報するのか。そんな間抜けな話聞いたことあるか。みんな無事に帰れるのか。

とか、心配しつつも、なかなか涼しく、気持ちいいのも確かだ。それに、意外にスワンボートは小回りが効くし、べつに釣り人の船とぶつかったり、海賊船の航路に迷い込むこともなかった。

ほぼぴったりの時刻に帰ることができた。初スワンボートにしては上出来ではないか。三十分はあっという間だった。漕ぐのもそんなにキツくはなかった。登山鉄道とケーブルカー、ロープウェイを乗り継いで、湖でスワンボート。よくわからないが、まあいいのではないか。

桃源台でも食べるところはあったが、まだお腹も空いていないので(ニューアカオのビュッフェでそれなりに食べたので)、大涌谷駅に戻る。

さっきの地獄だ。エヴァでシンジくんが逃げてきたところでもある。

やはりなかなかの光景。

映える写真も撮ることができよう。外国人観光客が多く、しかしまあ、こんなところが海外でも紹介されているのだろうかなどと思う。

大涌谷といえば「黒たまご」というゆで卵が有名だ。こんなものも建っていた。しかし、山の方をバックに写真撮ったほうがいいのではないか?

箱根ジオミュージアム。入場料百円。ここで黒たまごの製造過程の映像など見る。なかなかにハードで興味深い。

というわけで、とうぜん黒たまごは買うよね。四個入り五百円、塩付き。少しあたたかい。食べてみると、ほんの少し硫黄のかおりがするような、しないような。まあ、おいしいというか、この場所で食べるのがいいというか。

仕事を選ばないキティさんもそう言っている。

向こうに見えるのが黒たまご作り場で、ケーブルにカゴを乗せて大量に運ぶ。

こないだの噴火までは散策できた道。今はガイド付き要予約でないと入れない。

樹とか枯れててやべえしな。

大涌谷駐車場。非常に混むので、入るまでに渋滞ができる。サイトには混雑情報を常に掲載したいというので、microCMSで現地の職員が更新できるようにした。

あと、駐車場のサインだけど、ゾーンの名称が新しくなった(さっきの映えるあたり)のでテプラが貼られていた。

さて、帰るか。

さすがにもうロープウェイの高さには慣れて、怖くはなくなっていた。

まだまだ登る人もいたし、芦ノ湖あたりに泊まる場所もある。

はい、早雲山駅到着。このあとは、行きと同じでケーブルカーから登山鉄道。下りの登山鉄道はこころなしかスピーディーに感じた。

小田原に帰ってきたのは夕方。海鮮食って帰った。
結論としては、箱根湯本から小田原に引き返さずに正解だった。意外に芦ノ湖まで行けるもんだ。そして、見応えは十分だった。だいたいなにかに乗っていたので、そんなに歩くこともなかったし。
二日通しての感想としては、首都圏から熱海、小田原あたりは定番というかベタなのだろうが、ベタなりの良さがあって、「何回も行ったよ」というのでなければ、一回くらい行ってみてもいいのでは? と、思った。
で、これを書いているのは2025年7月30日なのだけれど、カムチャツカで起きた地震の影響で津波警報が出てたいへんなことになっている。一日、二日ずれていたらたいへんなことになっていた。オーシャンビューとか言っている場合でもなかった。小田原まで出ていれば小田急小田原線で東京方面に行けただろうが、熱海にいたらどうなっていたことか。ニューアカオがバスで小田原まで送ってくれただろうか。まあとにかく、危ないところではあった。
以上。