映画『教皇選挙』を見てきた。むろん、現実にコンクラーベが行われるという事実と、評判の高さによる。

映画『教皇選挙』公式サイト|2025年3月20日(木・祝)全国公開
して、『教皇選挙』についてはもうたくさんの感想や考察、分析がでている。もうこれ以上、なにか言うことがあるだろうか。ほとんどない。とにかく『教皇選挙』はミステリーとして上質で、おそらくはカトリック教会の現状のようなものを描いていて、映像も美しく、爆発のタイミングもこのうえない。必見映画といっていいだろう。
で、これ以上、なにかおれが言うことがあるかと思ったが、ひとつ気になった点を述べる。コンクラーベに集まる枢機卿はみんな赤い衣服を着ている……が、なにやら黒くて宗派が違うような枢機卿がいたであろう。あれは、なんだろう?
東方典礼カトリックの枢機卿なのでは? と、思った。
歴史上、いろいろあって、ギリシア正教の典礼(儀式)の様式を守りつつ、ローマ教皇の権威を認めるという立場の諸宗派である。あの格好は、正教っぽい。正教っぽいのにコンクラーベにいるとしたら、東方典礼カトリックではないのか。おれはそう思った。しかし、東方典礼カトリックに枢機卿はいるのか? コンクラーベに参加できるのか? よくわからない。
そう思って調べてみたが、少しどうもわからない。そのように指摘している声もあるが、公式サイトのネタバレ解説でも出てこない。まあ、些事ではある。が、映画ではなく現実が答えを教えてくれた。
枢機卿の皆様は、午前9時15分(日本時間同日午後4時15分)までに、白のダマスク織りのミトラを着用の上、サン・セバスティアーノ礼拝堂にお越しください。
枢機卿の皆様って、いま日本には一人しかいないのではないか。いや、二人か。
東京大司教区はWikipediaの写真を公式なものにしたほうがいいんじゃないかと思うがまあいい。そういう内部文書だ。その中で、こんな記述があった。
ラテン典礼の枢機卿は、サッシュ付きの赤の祭服、ロシュトゥム、モゼッタ、赤と金のひもの付いた十字架、指輪、カロッタ、ビレッタをご着用ください。東方典礼の枢機卿は、ご自分の典礼用祭服(アビトゥス・コラーリス)をご着用ください。
東方典礼の枢機卿について言及がある。赤の祭服でないという。東方典礼カトリックの枢機卿(各地の総主教とかになるのかな?)は「ご自分の典礼用祭服」とある。それを着ていたのが、あの黒い服の枢機卿たちだった。そういうことだ。
どうもコンクラーベの投票のときにはあまり映っていなかったが、そのあたりも映画『教皇選挙』はしっかりしているのであったなあ、と思う次第である。べつに現実のコンクラーベがどうこうとは関係なく、いい映画なので見てみるがよろしいかと思う。しかし、改革派と保守派の対立構造は現実でもありそうで、それはそれで興味がないといったら嘘になる。ちなみにおれはあれだ、キリスト教徒でもなく、大まかにいえば仏教徒、やや浄土真宗、親鸞好きなのである。
以上。
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ウクライナにおける東方典礼カトリックについてはこのあたりの新書でいくらかわかる。正教の専門性でいえば高橋沙奈美先生の本がいいだろう。