
この国は最後の国、あなたは最後の国の最後の国民。なにをしているの?

アブチロン。私は一ヶ月後に閉鎖の決まった花月園競輪場にいます。まわりにはお年寄りたちがいます。よく知らない演歌歌手が、だれも知らない歌を歌っています。赤モツと甘酒を。

「ハロー、ハロー、ピーカブー、聞こえますか? こちら晴天なり。南方は雨なり」

たくさんのブルースが世にあふれて、あふれかえって、みんな涙を流していた。みんな泣いた。泣いたあとに、なにも残ってないことに気づいた。気づいたところですべて遅かった。

フラットラインを越えた。

時間とはなにか、おれが生まれたはじめて学識者にたずねた質問だった。

「時間とは、同時に存在しえないことである」という言葉が浮かんだ。しかし、同時という言葉を使ったところにトートロジーの感もある。
時間とはなにか?
猫は知っている。
人間には知るすべがない。