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大岡昇平の『野火』、『俘虜記』。どっちか忘れたが、中学のころに夢中になって読んで、腹が減って、それでもこの空腹は作中の空腹と重ねあわせなければならないと思って読了して、おれはなにか食うものはないかと台所に行き、味のりを貪り食った。おれにはそんな読書体験がある。
塚本晋也監督の『野火』。横浜伊勢佐木町界隈のミニシアターで観たい作品ではあった。あったが、タイミングを逃した。逃したのでDVDで観た。
正直なところをいうと、画面のチープさが気になってしまって、それほどの衝撃は受けなかった。「おまえ、食っただろう!」といえば『ゆきゆきて神軍』であって、戦場の馬鹿らしさ、命の軽さでいえば『プライベート・ライアン』の冒頭で充分だろうという気がした。おれの中で戦争映画というと『プライベート・ライアン』以前と以後があるんじゃないかという気がして、『野火』は凄絶な表現、生々しい表現はありながらも、以後ではないな、という感じを受けた。邦画の低予算であるとか、そういった事情はあるにせよ、そう感じた。
とはいえ、もしも『野火』を知らないのであれば、旧軍の悲惨さを知らないのであれば、十二分に観るべき映画ではあろう。とはいえ、映画は映画であって、「歴史教育のために」とか、そんなんじゃつまんねえし、観る人それぞれがそれぞれに感想を抱くべきもの、あるいは娯楽であるということ、その中にあって、『野火』はわりと強烈なのかもしれないし、おれのように感受性の鈍っている人間がいるのかもしれないし、そのあたりはあんた次第だぜ、というところである。以上。
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……ある意味、究極の反戦映画じゃあないかと思っているのがこれで、冒頭、揚陸艇のドアが開いた瞬間にドイツ軍の機銃掃射でバタバタと倒れていく兵士たち、まったく英雄的でもないし、悲劇的ですらない。こんなものを観て、戦争したいってやつがいるんだろうかと思う。