
ディープ・カバー 即興潜入捜査(Amazon Prime Video)(監督:トム・キングズリー 2025年イギリス映画)
食い詰め者の俳優たちが警察から潜入捜査員としてスカウトされるが、簡単な仕事だったはずなのにどんどんヤバイ方向へと深入りしちゃう!?というクライムコメディ。ブライス・ダラス・ハワード、オーランド・ブルーム、ニック・モハメッド、ショーン・ビーン主演でAmazon Prime Video配信。いくら俳優とはいえ警察が素人に潜入捜査させるなんて有り得ない話だが、その有り得なさが面白さを引き出しているのと同時に、実は後からその”理由”の説明があって納得させられる部分が上手いと思った。どんどん自分の役柄に深入りしホンモノのワルを気取りはじめる主人公たちの”クサイ演技”には爆笑させられるし、どんどん犯罪組織の最深部にはまってゆき、危険度のレベルがうなぎ上りに上がってゆく展開にはハラハラさせられる。収まるところに収まるラストまでしっかりとした作りの物語で、かなり楽しめた。これって「日本公開はなかったけど本国ではそこそこ好評だったDVDスルー作品をレンタルで観たらびっくりするほど面白かった」感覚と似ているなあとちょっと思った。
プロフェッショナル (監督:ロバート・ロレンツ 2024年アイルランド映画)
リーアム・ニーソン主演で邦題が『プロフェッショナル』なもんだからまたぞろリーアム無双なアクション映画かと思って観ていたが、実際は1970年代の北アイルランド紛争を背景にした暗くて地味で遣る瀬無い物語だった。ここでリーアム演じるのは引退を決めた伝説の殺し屋という役柄なんだが、すっかり人生に疲れたオヤジでしかなく、おまけに小さな町でちょっと人殺し過ぎで、あれじゃ普通に不審がられるんじゃないのか。その彼と対立するのが町に逃げ込んできたIRAの過激派グループということだけど、こいつらも過激派というより単なるチンピラ崩れみたいなもんで、設定の必然性が爆弾使う以外に感じられなかったなあ。ただしアイルランド島の荒々しくも美しい自然が次々と映し出される映像は絶品で、そこは観る価値があったかも。
プレステージ (監督:クリストファー・ノーラン 2006年アメリカ映画)
クリストファー・ノーラン監督作品は嫌いじゃないんだが全作が好きって程でもなく、また観ていない作品も多々ある。そんなノーラン監督の『プレステージ』を今回初めて観た。お話は19世紀末ロンドンを舞台に2人の天才マジシャンが骨肉の争いを繰り広げるというもの。配役はヒュー・ジャックマン、クリスチャン・ベール、マイケル・ケイン、スカーレット・ヨハンセン、おまけにデヴィッド・ボウイと錚々たる面々だ。ただノーラン監督作にしては地味という評価もあり、オレ自身も観終わってすっきりしないものを感じた。そもそも主人公2人がむきになって争い過ぎで、この闘争心に全く興味が湧かず、その心情を理解したいとも思えなかった。物語は叙述トリックを使ったミステリ仕立ての構成で、この辺り刺さる方には刺さるだろうが、オレとしては製作者自体が策に溺れている感じがしてそれほど感心しなかったなあ。
ザイアム バトル・イン・ホスピタル(Netflix映画) (監督:クルプ・カルジャレク 2025年タイ映画)

大病院に発生したゾンビから恋人を救うため、元ムエタイ選手が決死の戦いを挑む!というタイ映画。Netflix配信。ムエタイ戦士がゾンビの群れをボコボコにするのか!?と期待したのだが、ムエタイなのは最初だけであとは平凡なゾンビ映画に流れてしまう部分が残念。冒頭のディストピア世界描写は実に雰囲気がよく、大いに期待させられるものの、舞台が病院に移ったとたんディストピア関係なくなってしまうのもどうにも残念。邪魔なガキお子様が終始物語を引っ掻き回すのもこれまた残念。タイ映画ということもあってかウェットな演出が鼻についたのもやはり残念。やはりトニー・ジャーを主演にし、ザコゾンビを倒しながら突き進んでクライマックスに病院最上階のボスキャラゾンビと死闘を演じ、最後は象の背に乗って帰るという物語にするべきだったと思う。