父娘ぐらし それから 55歳まで独身だったマンガ家が8歳の娘と過ごした4か月間 / 渡辺電機(株)
55歳まで独身で過ごしてきた漫画家・渡辺電機(株)が連れ子のいる女性と結婚が決まったが、お互い東京/大阪という遠距離であるため、結婚までの数ヵ月間、8歳の娘だけ東京の渡辺の家で預かることになったが、その子は発達障害だった……という実録漫画の第2巻である。このあらましだけでも「大変だなあ」と思うが、作者は何もかも初めて尽くしのこの状況に、体当たりで挑んでゆくのだ。作者は子供との特異な関係性や気まぐれな子供の態度に全く逡巡することなく、精一杯の愛情と理解で子供と接してゆく。そして子供を育てることで改めて発見するこの世界の形に驚き、自分自身もまた学んでゆく作者の姿がまた微笑ましい。読んでいてこのコミックの作者からはひしひしと誠意を感じるし、実際も本当に誠意に満ちた人物なのに違いない。この誠意の在り方、人としての真っ当さ、真っ当だからこそ感じることのできる喜び、そういったものの横溢する素晴らしい作品だった。運動会のエピソード、思わずもらい泣きしてしまったよ。
映像研には手を出すな!(9) / 大童澄瞳
これまで「アニメーションを作ることの情熱、それを創造することの愉悦」を軸として描かれてきた「映像研」だが、前巻までであらかたそれを描き尽くしたようで、この巻ではこれまで全貌が明らかではなかった「芝浦学園」をとことん探検してしてしまおう!という流れになっている。そしてこれがいい。個人的にはこれまでの展開に肩に力が入り過ぎていたように思えて、読んでいてきつい部分を感じていたのだ。だがこの9巻から、もともとしっかりした設定を作ることに長けた作者の資質が十二分に生かされた展開を楽しむことができるのだ。そしてこういった「遊び」の中から、また新たに創作というものの本質を描き出していけばいいのではないか。
古代戦士ハニワット(11) / 武富健治
突如出現した土偶状破壊者”ドグーン”を鎮めるため、日本の神社により古来から秘密に培われてきた戦闘埴輪”ハニワッド”が立ち上がる!という伝奇スーパーヒーローコミック。なにしろこの作品、”伝奇”部分の異様なまでに凝りまくった設定と、登場人物たちのハリケーンのごとく荒れ狂うエモーションが特徴的で、そこらの”所謂スーパーヒーローもの”とは一味も二味も違う作品となっている。今作から第3部が始動するが、驚かされたのはこれまで数巻に渡って描かれたドグーンとの戦いがこの11巻では1冊で物語が完結しており、非常にコンパクト化されているという部分だ。それでもこの作品の独特の濃厚さが減じていない部分が凄い。これは第3部からの新方針らしいが、謎の多いこの物語の全貌がより早く明らかにされるだろうことを考えると、大いに賛成である。
アンダーニンジャ(14) / 花沢健吾
『アンダーニンジャ』第14巻、相変わらず熾烈かつ冷徹な戦闘と弛緩しきった人間描写のミスマッチで面白さを醸し出しております。大風呂敷広げまくって半分冗談ぽい世界観も作者の目指すところなのでしょう。大真面目に馬鹿馬鹿しい世界を描いている気がする。



