そもそも原作者の
トマス・ピンチョンは苦手な作家だし、監督の
ポール・トーマス・アンダーソンも苦手な映画監督なんだが、観てみてこれがびっくり、すこぶる面白い作品ではないか。ヨレヨレでグダグダの主人公による
探偵物語なれども、タフで優しいのに決してハードボイルドにならない(なれない)情けなさが堪らない。しかしこの主人公の情けなさは、自由と意識の解放を標榜したアメリカ60年代ヒッピーカルチャーが結局は資本に食い物にされドラッグ漬けの果てに崩壊する様に立ち会ってしまった者の物悲しさそのものなのだろう。オレ個人がアメリカ60年代ヒッピーカルチャーとリンクする部分は何もないのだけれども、しかしP・K・ディックの諸作を愛した者としては、彼の後期の著作に顕著に描かれたヒッピーカルチャーとドラッグ漬けの果てにあった死と廃疾の悲しみを、どうしても思い出さずにはいられないのだ。
『
戦場でワルツを』の
アリ・フォルマン監督が
スタニスワフ・レムの『
泰平ヨンの未来学会議』を原作としつつ実写とアニメを交えながら描いた作品なのだが、原作そのままに描いたものではなく実在の女優
ロビン・ライトを本人役で演じさせ彼女の(架空の)個人的私生活とアンチハリウッド的な内容にポイントを置いたのはちょっと矮小化しすぎじゃないかと思ったけどな。アニメのグラフィックもどうにも今一つな上にアニメである必然性を感じなかったのだが。
■ゾンビーバー (監督:ジョーダン・ルービン 2014年アメリカ映画)
あれ?副音声解説はナマニクさんじゃないのか!?それを楽しみにしてレンタルしたのにッ!?ビーバー女には笑ったぞ。なんだあれ!?それにしてもビーバーが時々
カピバラに見えて
カピバラ好きのオレとしてはいたたまれなかった…。しかし
カピバラがゾンビになっても多分何一つ襲うこともなく「ヌー…ン」としているだけのような気がする。
■ターボキッド (監督:フランソワ・シマード/アヌーク・ウィッセル 2015年カナダ映画)
小中学生男子の「ぼくのかんがえたさいきょうのせいきまつ」としか言いようのない作品。拙さを味わいと思ってくれよーという甘え満載なんだが、まあ
自主映画だと思って生温かく見てあげたほうがいいんだろうな…まああんまり観ているのが苦痛で倍速で観たけどさ…。
■白髪妖魔伝 (監督:ジェイコブ・C・L・チャン 2014年香港/中国映画)
あー、うーん、香港・中国のこのテの映画はもう伝統芸というか進歩が止まってるというかフォーマットだけで作っちゃってるみたいだなあ…。冒頭から全然新鮮味のない既視感溢れる映像だらけで、10分ぐらい我慢して観てレンタルDVD返しちゃったわ…。
■しあわせはどこにある (監督:ピーター・チェルソム 2014年イギリス/ドイツ/カナダ/南アフリカ作品)
「しあわせはどこにあるっつったって、どうせ最後はしあわせはここにある、って結末なんだろ」と思ってたらやっぱりその通りだった作品。しかし『Life!』みたいなしょーーもない自分探し作品は辟易とするが、これはサイモン・ペグ、
ロザムンド・パイクの好演により印象はとてもいい。しかし主人公は上海・
チベット・アフリカ・ロサンゼルスと旅をするが、やっぱりインドが入っていない所で詰めの甘いヤツだなという気がする。まあインド行ったら帰ってこなくなるだろうな。
■スティーヴン・キング ビッグ・ドライバー (監督:ミカエル・サロモン 2014年アメリカ映画)
スティーブン・キングの同名短編のTV映画化作品。レイプリベンジ物の物語で、原作は結構面白かった。キング作品の映像化は全く期待してはいけないのが鉄則で、実際箸にも棒にもかからない作品が多く、とりあえず「キング作品を観た」というトロフィー集めをすることがこういった作品を観る理由なのだが、そんな中では「キング作品らしさ」がいい具合に楽しめて面白く出来ていたんではないか。ただし誰に薦めない。
「
ジョン・カーペンターの『
要塞警察』が遂に
Blu-ray化か!?」と大いに盛り上がりつつなぜかレンタルDVDで観た。この『
要塞警察』視聴によりカーペンター監督作品は全て制覇したこととなる。それにしてもこれが想像以上に面白い。シナリオも演出も巧みだし出演者が皆どこか癖のある顔つきをしているのもいい。ギャング団の消音銃による襲撃、そのギャングたちがワラワラと襲ってくる雰囲気、クライム・アクションの筈なのにホラー的な不気味さがあるのだ。この頃からカーペンターはまるでブレてないというのも凄い。