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放射線と異常現象の渦巻くチョルノービリ原発周辺で銃撃しまくるFPSゲーム『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl(ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ) 』をクリアした

S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl (PlayStation 5、Xbox Series X/S、PC)

放射線と異常現象の渦巻くチョルノービリ原発周辺を舞台としたサバイバルFPSゲーム

1986年に爆発を起こしたチョルノービリ原子力発電所。この跡地で2006年、再び原因不明の大爆発が起きる。周辺に突如出現した謎の立入禁止区域「ゾーン」を巡り、複数の軍事勢力が血みどろの戦闘を続けていた。「ゾーン」の奥深くには、人類の運命すら変えうる超常的な"力"が存在していたのだ。主人公はその"力"を漁る「ストーカー」として、死に満ちた荒野をさまよい続ける。

ウクライナのゲーム開発会社GSC Game Worldが手がけたFPS『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』は、原発事故後のチョルノービリ原発周辺という特異な地域を舞台に、敵勢力やミュータントとの戦闘のみならず、放射線物質や異常現象によって生命を削られ続けるという究極のサバイバルゲームだ。2024年11月20日に発売され、つい最近クリア。予約購入しながらも結局クリアには1年半近くかかってしまった。プレイ時間は136時間。

1作目『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl』

この『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』を語る前に、2007年に発売された前作『S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl』について説明しなければならない。私はこの1作目を英語版PCソフトでプレイ(その後日本語化MODを適用)したが、この1作目はいわゆる「神ゲー」だった。

S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl:ストーリー

チョルノービリ原発周辺に突如出現した謎の立入禁止区域「ゾーン」。そこで記憶を失った状態で目覚めた主人公は、「ストレロクを殺せ」というメモだけを手がかりに行動を開始する。ゾーン内で異形のミュータントや敵対するstalkerたちと戦いながら進むうち、自分自身がそのストレロク本人であることが判明。ゾーンの中心に潜む謎の装置「モノリス」と、それを巡る組織の陰謀に迫っていく。

原発事故によって荒廃した土地には放射線物質が渦巻き、突然変異した凶暴なミュータントが徘徊する。さらに不可思議な物理現象が頻発し、巻き込まれれば命を失いかねない。しかしその現象が生み出す「アーティファクト」と呼ばれる物質は現代科学を凌駕する能力を持ち、その採取と売買を目的に多くの食い詰め者や軍事勢力がゾーンへと流れ込み、一獲千金を夢見て不毛な抗争を繰り広げていた。主人公はストーカーとしてゾーンをさまよいながら、次第に事件の核心であるチョルノービリ原発の中心部「石棺」を目指すことになる。

凄まじいゲームだった。一歩先も見えない危険地帯で、四方八方から弾幕とクリーチャーが襲いかかり、空にも大地にも絶えず異常現象が起き続ける。そこは文字通りの「地獄」だった。ゾーンをさまよう理由も、戦う理由も次第に曖昧になり、ただ「生き延びること」だけが最終目的となっていった。さまよい続けた末についにチョルノービリ原発が視界に入った時、ゲームの中にいながら、現実世界でもっとも呪われた汚染地帯に自分が立っているかのような感覚を覚えた。

ゲーム世界はオープンワールドで、昼夜の概念があり、天候は刻々と変化する。荒廃した大地、遺棄され崩壊しつつある建造物、無計画に生い茂る草木——それは現実と見まがうほどのグラフィックだった。手に入る銃の性能は劣悪で、「出血」すると体力が絶えず減り続け、重量制限のある背嚢と疲労概念のある歩行が、あらゆる行動を重くする。常に心身を消耗させられる体験だが、それゆえにマゾヒスティックなまでの「リアル」を感じさせた。

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2作目『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl

『Shadow of Chernobyl』発売後、アドオン作品『Clear Sky』『Call of Pripyat』の2作が加わり、俗に「S.T.A.L.K.E.R.三部作」とも呼ばれている。この三部作は現在『S.T.A.L.K.E.R.: LEGENDS OF THE ZONE TRILOGY』として1本にまとめられている。そしてスタジオの閉鎖と再開、度重なる発売延期、さらにロシアのウクライナ侵攻という苦難を経て、2024年についに発売されたのが本作『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl』だ。

『S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl 』:ストーリー

ゾーンの外縁部で暮らしていた元ウクライナ海兵隊員スキフは、ある事件をきっかけにゾーンの深部へと足を踏み入れることになる。ゾーン内では軍事組織「ワード」とスカー率いる反体制派閥「スパーク」など複数の派閥が覇権を争っており、スキフはその争いに否応なく巻き込まれていく。鍵を握るのは政府系科学機関「サーカー」によるゾーン全体に影響を及ぼす謎のシステム。スカフはその真相を追いながら、ゾーンの「心臓部」へと向かう。

1作目と比べるならこの2作目は技術的・ゲームデザイン的に非常に大きな進化を遂げている。エンジン変更によるグラフィック・ビジュアル面の大幅な進化、シームレスで広大なオープンワールドを再現したことによる強烈な没入感、NPCやモンスターが「その世界で生きている」かのように振舞うAIライフシステムの導入、洗練された戦闘・銃撃感・サバイバル要素、ストーリー・クエスト・演出の強化がそれに当たる。つまりより「デラックス」になったのがこの2作目なのだ。

困難を極めるゲーム進行

プレイ面においては、1作目と同様、苛烈なゲームバランスとなっている。主なものを挙げると——

  • 重量制限による携行可能アイテムの少なさ
  • 重量オーバー時に踏破できない場所の存在
  • スタミナの急減による徒歩速度の遅さ
  • ヴィークルがなく、広大なマップをほぼ徒歩で踏破しなければならないこと
  • 「出血」によるHPの漸減
  • 放射線物質・アノマリー・毒沼などによる突然死
  • マップの高低差表示が乏しく、ルート判断が難しいこと
  • 敵の出現方向が読みにくいこと
  • 敵のHPが表示されないため、撃破に必要な弾数が分からないこと
  • 敵味方の判別がしにくいこと
  • 武器・装備の劣化概念と、修理に金銭が必要なこと
  • 「空腹」の概念があるため、食糧を余計に所持しなければならない

このため、A地点からB地点へとマップを横断すること自体が大きな試練となる。ミッション攻略よりも「マップを走破すること」そのものがゲームの核であり、その過程で用意された異様な光景を存分に味わわせるのが製作者の意図なのではないかと感じた。

しかしこうした困難の多くは、マップ各所に点在する「アーティファクト」を入手することでかなり緩和される。重量制限、スタミナ、出血、放射線汚染防護など幅広い面で効果を発揮し、特に「不思議な水」というレア・アーティファクトは重量制限の問題をほぼ一気に解決してしまう。

つまり本作では、ミッションクリアと並行してマップを探索しアーティファクトを集めることが攻略の重要な柱となっている。主人公が「アーティファクト掘り」としての「ストーカー」である世界観を、そのままゲームの攻略設計に落とし込んでいるわけだ。

フィールドそれ自体が敵

透明化して襲ってくるミュータントの攻撃はあまりにもいやらしい。群れを成しすばしこく動くネズミや犬のミュータントにもうんざりさせられた。一番てこずるのはテレキネシスでこちらの銃をことごとく奪ってしまう人型ミュータントだ。相手を心神喪失状態する超能力をもった人型ミュータントがこれまた固くて、出会うと具合が悪くなる。

一方、アノマリーゾーンや放射線汚染地帯は近付かなければ問題はない。ただしそこを走破しなければ先に進めないことも多々あり、そもそも不気味でたまらないので遭遇すると陰鬱な気分になる。毒沼も入らなければそれでいのだが、浮草をジャンプで渡って進まなければならないこともあり、この際、重量過多だとまともにジャンプができす、詰む。だからせっかく集めたアイテムを、沼の前で大量に遺棄することもあった。

最も恐怖心を煽られるのはチョルノービリ原発跡地を中心に発生する「高熱放射嵐」だ。フィールド探索中に突然空が赤くなったかと思うと警報が鳴り、「近くのシェルターに避難しろ」とアナウンスがされる。雷が鳴り嵐のように風が吹き始める。時間内にシェルターを探し辿り着けなければ高熱放射に曝され殆ど即死の状態でゲームオーバーとなる。これが巧妙なタイミングで発生するようになっていて、近くに建造物があまり無い状態のときに起こるのだ。建物に辿り着いても扉が開かずパニックに至ることも何度もあった。まさに「フィールドそれ自体が敵」という顕著な例だろう。

これらに比べれば人間同士での銃撃戦はまだ容易な部類だ。的確な遮蔽物と射線とエイムを用いれば、多少相手が固くてもなんとか乗り切れる。ただし問題は、重量制限による銃弾保有数の限界、持っている銃や装備の劣化、ジャミングのしやすさである。特に敵のドロップした銃は殆どが劣化か故障しており、拾ってもあまり使い物にならなかったりする。

殺伐とした世界を歩むことの醍醐味

このように、プレイしてひたすら忍苦を強いられ、憂鬱な気分にさせられるゲームではある。『Apex Legends』や『Call of Duty』のような、カジュアルで競技性に優れ、ド派手な演出で爽快感をもたらすFPSとは真逆なのだ。それでもなお、このゲームに惹かれてしまうのはなぜか。それは「ゾーン」という世界が、凄まじい迫真性を持っているからだ。

鬱蒼とした原野、重く垂れ込める悪天候、黒々とした沼、打ち捨てられた廃墟、謎めいた施設、不気味な超常現象、銃弾飛び交う戦闘地帯、醜いモンスターの群れ——本作に用意された光景はどれも陰鬱で殺伐としており、死の臭いに満ちている。と同時に、危険な美しさに溢れてもいる。そのただ中に一人のストーカーとして存在し、異境と化した光景を一歩一歩踏み進める。ゲームをプレイしているというより、呪われた土地を実際に生き延びているような感覚——本作が与えてくれるのは、そういう種類の体験だ。この圧倒的な臨場感が何よりも素晴らしいのだ。

確かに人を選ぶゲームだろう。そのバランスの悪さに苛立ち、投げ出す方も多いだろう。それでも私はこのゲームは1作目と同様にユニーク極まりないゲームとして賞賛したい。それは唯一無二の世界観を擁するゲームだからであり、ここでしか得ることのできない体験を得させてくれるものだからだ。

この2作目では実はチョルノービリ原発に入ることができないのだが、この後にチョルノービリ原発突入ミッションの存在するアドオンの発売が予定されている。これが発売された日には、再びウクライナの呪われたゾーンに侵入し、チョルノービリ原発の地獄を再び体験したいと思う。


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S.T.A.L.K.E.R. 2: Heart of Chornobyl(ストーカー2:ハート・オブ・チョルノービリ) 【予約特典】DLC「公式サウンドトラック & デジタルアートブック」 同梱 【Amazon.co.jp限定】オリジナルドッグタグ 付 - PS5

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S.T.A.L.K.E.R.: LEGENDS OF THE ZONE TRILOGY - PS4

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人類最強の候補生 vs. 宇宙からの不死身殺戮マシーン!/Netflix映画『ウォー・マシーン:未知なる侵略者』

ウォー・マシーン:未知なる侵略者(Netflix映画) (監督:パトリック・ヒューズ 2026年アメリカ映画)

米陸軍レンジャー選抜訓練の最終段階。アフガニスタンの山岳森林地帯で模擬演習に挑む精鋭候補生チームは、宇宙から飛来した巨大自律型殺戮兵器「ウォー・マシーン」と遭遇する。執拗な追撃と圧倒的な火力に追い詰められ、訓練生たちの命を懸けたサバイバルが幕を開ける。主演は『Reacher』シリーズのアラン・リッチソン。共演にデニス・クエイド、ステファン・ジェームズ。監督は『ヒットマンズ・ボディガード』『エクスペンダブルズ3』のパトリック・ヒューズ。

実に楽しめる、脳筋SFアクションだった。その力み具合は、どの場面でも「ファイトー!いっぱーつ!」という雄叫びが聞こえてきそうなほどの強力さである。序盤はガチのミリタリー訓練映画だ。肉体と精神の限界を試す過酷な訓練がリアルに描かれ、『フルメタル・ジャケット』を彷彿とさせる緊張感がある。戦地で弟を失った主人公が、かつて交わした約束を果たすべくレンジャー試験に死に物狂いで挑む姿は、十分に胸を熱くさせるだろう。

ところが中盤から一転。宇宙から降り注ぐ赤い閃光とともに現れる巨大ウォー・マシーンが、すべてを地獄へと変えてしまう。「メタルギアREX」を思わせる巨大エイリアン兵器が、『プレデター』ばりのスキャンとレーザー乱射を駆使し、まるで『ターミネーター』のごとく執拗な追撃を開始するのだ。容赦なく次々と命を奪われていく訓練生たちの描写は無慈悲の一言に尽き、その非情さには一点の迷いもない。

ビルが建ち並ぶ大都市ではなく、山岳地帯の森林というロケーション。脅威はたった1機のエイリアン・マシーンのみ。それに立ち向かうのは数名の訓練生だけ——そのシンプルな構成が功を奏している。予算規模の制約もあったのだろうが、だからこそ余計なものをそぎ落としたアクションがストレートな興奮を生んでいる。あたかも暴走超特急のように邁進する展開が、観る者を徹底的に圧倒するのだ。

心に深い傷を負い、強烈なオブセッションを原動力に行動する主人公が、仲間を鼓舞しながら知恵と肉体で立ち向かう姿は王道ながら熱い。主役を演じたアラン・リッチソンは体格も演技力も規格外で、新時代のアクションスター誕生を予感させる一作だった。遂に巨大エイリアン兵器とタイマンを張るクライマックスは、どっちが真の「ウォー・マシーン」なのか頂上対決だといえるだろう。人類最強の候補生か宇宙からの不死身殺戮マシーンか!?Netflixでサクッと観られる脳筋エンタメとして、最高の1本だ。


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『MERCY/マーシー AI裁判』『ブラックフォン 2』など最近観た配信映画

MERCY/マーシー AI裁判 (監督:ティムール・ベクマンベトフ 2025年アメリカ映画)

AI検事が99%の正確性で犯罪者を裁く近未来を舞台に、妻殺しの疑いで逮捕された刑事クリスが法廷でAIと対峙する物語。無実を証明する猶予はわずか90分、失敗すれば即時処刑という極限状況が描かれる。主演はクリス・プラット、レベッカ・ファーガソン。監督はティムール・ベクマンベトフ。

昨今のAIトレンドを映画と結びつけた商魂たくましい一作。とはいえ、「嫌疑を晴らすタイムリミットは90分、失敗したら即処刑」という設定は、笑ってしまうほど乱暴で極端だ。「データベースから証拠を見つけろ」とはいうが、それならAI自身がデータベースを検索すればいい話だし、データベースだけで証拠を集めよというのも相当に雑である。そもそも裁判中にすら捜査が完了していないとは、制度としてあまりにもひどいと突っ込まずにはいられない。

しかし、こうした荒唐無稽さを「ゲームのルール」と割り切って観れば、意外と楽しめる。窮地に追い込まれた主人公による真犯人探しのスリラーとして観るなら十分にサスペンスフルであり、思わぬ真相が明かされるミステリ構造としても及第点だ。特に、AI検事が冷徹な存在ではなく、公平で沈着冷静なアシスタントとしてクリスをサポートしていく過程は、なかなか見ごたえがある。

つまり本作の骨子は、主人公とAIがバディを組み、データベースを駆使しながら事件を解決するというものであり、タイムリミットや即処刑といった設定は蛇足なのだ。物語を盛り上げようとしてひねりを加えたのだろうが、結果的には悪手であり、やるとしても別のアプローチを取るべきだった。サスペンス部分はよくできていたので、おかしな設定にさえ目をつぶれば楽しめるだろう。AI検事を演じるレベッカ・ファーガソンが本当にAIモデルのような冷たい美しさを見せる部分も見どころだ。


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Mercy/マーシー AI裁判

  • Chris Pratt
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ブラックフォン 2 (監督:スコット・デリクソン 2025年アメリカ映画)

前作から4年後、誘拐殺人鬼グラバーを倒した少年フィニーはトラウマに苦しみ、妹グウェンは不気味な悪夢に悩まされている。雪山のウィンターキャンプで少年たちが次々と失踪する事件に巻き込まれ、死者からの電話が再び響くなか、兄妹は家族と殺人鬼の恐ろしい繋がりを暴いていく。

主演はメイソン・テムズ(フィニー)、マデリーン・マックグロウ(グウェン)。イーサン・ホークが再びグラバーを怪演。監督はスコット・デリクソン(『ドクター・ストレンジ』『エミリー・ローズ』)。

前作『ブラックフォン』は非常に楽しめた作品だった。単なる誘拐殺人者の物語かと思いきや、死後の世界から被害者たちの霊が黒電話を通じて助言を与えるという斬新な設定が光り、緊張感と意外性が絶妙に絡み合っていた。それだけに、続編をどう展開させるかが監督の腕の見せ所となる。

今作では主人公を妹グウェンにシフトし、舞台を閉ざされた雪山のウィンターキャンプへと移した点が新鮮だ。夢の中での電話やビジョンを軸にホラー要素を深化させようとする意欲は感じられるし、グラバーの正体に肉薄していく展開も悪くない。

ただ、「夢の中で甦る殺人鬼」という趣向が『エルム街の悪夢』をあまりに想起させ、新鮮味に欠けるのは否めない。全体として丁寧に作られており、雰囲気も俳優陣も申し分ないのだが、その丁寧さが逆にパンチ不足を生んでいる。恐怖のピークが控えめでインパクトに欠けるぶん、前作ほどの興奮は得られなかった。続編として及第点ではあるが、前作のようなエグ味がもう一押し欲しかったところだ。


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ブラックフォン 2 (字幕/吹替)

  • Mason Thames
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人間の抱える「ちぐはぐさ」の果てにある滑稽と悲哀/映画『しあわせな選択』

しあわせな選択 (監督:パク・チャヌク 2025年韓国映画)

「仕方がない? いや、本当に仕方がないのか――。」

本作は、韓国の巨匠パク・チャヌク監督によるブラックコメディ・スリラーだ。突然の解雇で人生が崩壊したサラリーマンが、再就職のために常軌を逸した「選択」を迫られる姿を、アイロニーと黒いユーモアで描き出す衝撃作である。

【STORY】 製紙会社で25年真面目に働き、妻ミリ(ソン・イェジン)と子ども2人、愛犬2匹と郊外の家で幸せを満喫していたマンス(イ・ビョンホン)。しかし突然のリストラで人生は崩壊する。再就職活動が失敗続きとなり、家族の離散と住む家を失う危機に追い詰められた彼は、絶望の底でひとつの決断を下す——就職活動の障壁となるライバル3人を、殺人によって排除することを。

【キャスト・スタッフ】 主演は『JSA』以来25年ぶりにパク監督とタッグを組んだイ・ビョンホン(ゴールデングローブ主演男優賞ノミネート)。妻役には『愛の不時着』のソン・イェジン(青龍映画賞主演女優賞受賞)。監督のパク・チャヌクは『オールド・ボーイ』『別れる決心』などで知られる世界的な名匠で、本作はトロント国際映画祭国際観客賞を受賞している。

パク・チャヌクは、韓国映画界でも別格と言える存在だ。「復讐三部作」をはじめ、ハリウッド進出作まで手がけ、鮮烈かつ芸術性の高い作品群を世界に発信してきた。そして前作『別れる決心』では、悲恋と犯罪を超えた「奇妙な余韻」で観る者を揺さぶった。

本作『しあわせな選択』もまた、一言では言い表せない「奇妙さ」が全編を覆う。原題「어쩔수가없다」(英題:No Other Choice)は「仕方がない」「どうしようもない」を意味する。では、何が「仕方がない」のか。何がどう「奇妙」なのか。

追い詰められたマンスが選んだのは、ライバル3人の殺害という暴挙だ。しかし彼は狂った殺人鬼ではない。仕事を愛し、家族を愛し、小心で人間臭い小市民である。ただ一点——殺人を実行してしまうこと以外は。しかも、製紙会社以外の転職先を一切思いつかないまま「仕方がない」と自己正当化し、犯行に踏み切る。その視野狭窄の滑稽さと、追い詰められた者の悲哀、そして行動の「ちぐはぐさ」。これこそが本作の核心だ。

マンスはターゲットの妻の不倫を心配し、同業者であることに共感し、相手の失業に同情する。犯行の合間には妻の冷たい態度や息子の警察沙汰に心を痛め、娘の音楽の才能に希望を燃やす——そしてその間にも、殺人と死体の隠滅は着々と進む。この「ちぐはぐさ」に観客は混乱し、「こいつはいったい何をしているんだ?」と思いつつも、つい黒い笑いを漏らしてしまう。

人間の思考と行動には複数のレイヤー(理性・感情・衝動・社会的自己)が並存し、しばしば相反しながらも、なぜか「ひとつの私」としてまとまって存在している。本作でパク・チャヌクが描くのは、この「奇妙さ」そのものだ。矛盾と自己欺瞞、自己正当化の果てにある滑稽さと悲哀——こうした人間の本質を、彼は鮮やかに切り取ってみせる。

のみならず、本作では音楽の使い方、質、タイミングが素晴らしく、映像にしても、前作ほどの実験性は薄くはあるが、時折「え?」と驚かされる効果を使用する。これらから感じるのは、本作がそのテーマ性のみに特化した作品ではなく、パク監督の絶妙な遊び心、その柔軟な芸術性に則って製作された作品であることが大いに伺えるのだ。併せて、出演者の存在感、彼らの演出の楽しさが格別だ。総じて、パク・チャヌクは、またしても傑作を生みだしたといえるだろう。


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人類ほぼ絶滅!?残り1300万人が参加する宇宙人主催デスゲームに(猫といっしょに)出ろだって!? / 『冒険者カールの地球ダンジョン1 宇宙人襲来! 飼い猫とダンジョンに放りこまれたんだが?』

冒険者カールの地球ダンジョン1 宇宙人襲来! 飼い猫とダンジョンに放りこまれたんだが? / マット・ディニマン (著), 中原 尚哉 (翻訳)

冒険者カールの地球ダンジョン 1: 宇宙人襲来! 飼い猫とダンジョンに放りこまれたんだが? (ハヤカワ文庫SF)

俺はカール。27歳。ある日突然やってきた宇宙人によって、人類はほぼ滅亡した。運よく(悪く?)無事だった俺は、元カノの飼い猫・プリンセス・ドーナツ・ザ・クイーン・アン・チョンク(通称ドーナツ)とともに、宇宙人が惑星そのものを改造した“地球ダンジョン”で、生き残りの人類1300万人とデスゲームをするはめに。しかも殺人兵器を操るゴブリンや溶岩を吐くリャマとバトる様子が、娯楽として全銀河に配信されるって!? 

突然現れた宇宙人により人類がほぼ全滅。生き残った者はダンジョンに改造された地底へと放り込まれた。主人公カールも飼い猫ドーナツと共にダンジョンへ送り込まれるが、そこで待ち受けていたのは不気味で不細工なモンスターの群れ。連中を倒すとアイテム入手、レベルアップ——これってまるでRPGじゃないか! そう、これは今や銀河中で大人気のリアルサバイバルデスゲーム番組だったのだ。全18階層、奥へ進むほど難易度は跳ね上がる。カールとドーナツは果たして生き残れるのか?

ダンジョン×サバイバルSFエンタメ小説『冒険者カールの地球ダンジョン1 宇宙人襲来! 飼い猫とダンジョンに放りこまれたんだが?』である。日本のラノベのように長いタイトルだが、ラノベファンには馴染み深い「なろう系異世界転移」的な世界観も共通している。さらに本作には「ゲームのリプレイ風の面白さ」が加味される。戦闘ログやトラップ攻略の描写がTRPGのセッション実況のように詳細で、まるで自分がダンジョンを攻略しているような気分に浸れる。そして何より、相棒となる猫ちゃんがとびきりキュートなのだ。

作者のマット・ディニマン氏は、アメリカLitRPGジャンルの第一人者だ。LitRPGとは、RPGのゲームシステム(レベル、経験値、スキル、ダメージログなど)が数値や通知として物語に組み込まれた小説ジャンルで、読者が「自分がプレイしている」ような没入感が最大の魅力だ。2010年代にロシアで生まれ、英語圏のKindle自費出版で爆発的に広まったという。本作は2020年にスタートし、現在シリーズ累計600万部超え、NYTベストセラー、Books-A-Million Book of the Year受賞、TVドラマ化決定と、アメリカで「カール旋風」が吹き荒れている。

いやあ、面白かった。ラノベ的な親しみやすさ、ゲームのリプレイ風の楽しさはもちろん、全篇に漂うコミカルな雰囲気が最高だ。

まず、主人公は物語を通じてずっとズボンを履いていない。飼い猫ドーナツを探しに上着+パンツ一丁で外へ出たところをダンジョンに送り込まれてしまったのだ。これはパンツなしで地球を救う男の壮絶サバイバルなのだ!?そして猫のドーナツは魔法によって言葉を話せるようになるのだが、その口調がなんと超高飛車な女王様スタイルで、カールは終始下僕扱い。しかしドーナツは強力な魔法ジョブを使いこなすメイジ猫でもある。さらに登場するモンスターはどれもコミックタッチのいかれた見た目で、下品でえげつない攻撃を仕掛けてくる連中ばかりだ。

そんなカールとドーナツが、奇天烈なモンスターを攻略しながらダンジョン下層を目指す本作は、徹底的にビデオゲームらしさを打ち出している。視界に常にゲームUIがポップアップし、倒したモンスターが落とすアイテムも使えないものからレアアイテムまで多彩。それらを効率的に組み合わせながら攻略を進める楽しさは格別だ。ダンジョン内には他の生き残り人類も多数おり、パーティーを組んだり、あるいはPvP(対人戦)に突入したりと展開も豊か。ゲーム好きとして、まさに実際にゲームをプレイしているような感覚を存分に味わえた。

特にボス戦の興奮は最高潮で、凶悪な攻撃を仕掛けてくるボスをいかに攻略するかを作戦立てて挑む場面は手に汗握る。しかもこの世界では一度死んだら終わり、セーブポイントからやり直しは利かないという緊張感も抜群だ。

本作の後に第2巻の刊行が控えているが、物語はまだ序盤。ゲームクリアとなる第18階層まで、まだまだ長い道のりが続く。原書はすでに7巻まで発売されており(8巻は2026年5月予定)、著者は全10巻構想を描いているという。ぜひ日本でも続刊を次々と届けてほしい。先が楽しみで、もう待ちきれない!

 

 




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