
2020年から2024年にかけてのアメリカ人のソーシャルメディア利用状況を調査した論文が公開されています。YouTubeやFacebookといったメジャーなプラットフォームの利用率が低下していたり、共和党支持者の割合が増加していたりと、さまざまな傾向が報告されました。
[2510.25417] Shifts in U.S. Social Media Use, 2020-2024: Decline, Fragmentation, and Enduring Polarization
https://arxiv.org/abs/2510.25417
Shifts in U.S. Social Media Use, 2020–2024: Decline, Fragmentation, and Enduring Polarization
https://arxiv.org/html/2510.25417v1
この論文は、投票・世論・政治参加に関する独自の調査データであるAmerican National Election Studies(ANES)を用いた、2020年から2024年にかけてのアメリカにおけるソーシャルメディアの利用状況の変化を分析した研究です。なお、調査対象となったのは2020年のアメリカ大統領選挙前に実施されたアンケートに回答した8280人、選挙後に実施されたアンケートに回答した7449人、2024年のアメリカ大統領選挙前に実施されたアンケートに回答した5521人、選挙後に実施されたアンケートに回答した4964人です。
この調査によると、アメリカ人全体のソーシャルメディア利用は減少傾向にあります。以下は利用しているソーシャルメディアの数についての調査結果をまとめたグラフで、横軸が利用しているソーシャルメディアの数、縦軸が人口割合を示しています。2020年(青色)と2024年(緑色)を比べると、ソーシャルメディアを全く利用していないというアメリカ人の割合が増加しているのがわかります。また、5つ以上のプラットフォームを利用しているユーザーが増えていることを受け、研究チームは「デジタルにおける公共の場が断片化している」と表現しました。

プラットフォーム別の2020年から2024年にかけての利用率の変化をまとめたグラフ。YouTube・Facebook・Snapchat・X(旧Twitter)の利用率が低下しているのに対して、TikTok・Reddit・Instagramは利用率が増加しています。

以下は年齢層別に「ソーシャルメディアを使用していない」と回答したユーザーの割合の変化をまとめたもの。18~29歳という若年層と、65歳以上の高齢者層でソーシャルメディアを使用しないユーザーが増加しています。

以下のグラフはアメリカ大統領選挙の投票前後のプラットフォーム利用状況を調査した結果をまとめたもの。青色が民主党支持、赤色が共和党支持、灰色がその他の政党を支持したことを示しており、破線が入っているのが2024年、入っていないのが2020年のアンケート結果を示しています。利用率が低下しているとはいえ、依然としてFacebookとYouTubeは高い利用率を誇っていました。2020年から2024年にかけて特に利用率が増加したのは、TikTokおよびRedditで、民主党と共和党のどちらの支持者からも利用されています。

以下は2020年から2024年にかけて、プラットフォーム別に共和党支持者の割合の変化をまとめたグラフ。Instagramとその他のプラットフォームは共和党支持者の割合が減少しましたが、他のプラットフォームでは軒並み共和党支持者が増加したという結果に。
FacebookとX(旧Twitter)で、「ユーザー」「訪問(コンテンツの閲覧)」「投稿」における民主党支持者と共和党支持者の割合の差を示したグラフ。ユーザーだけでなく訪問や投稿でこの指標を比べる理由は、「より積極的な参加者の構成をチェックするため」だそうです。Facebookではあまり大きな変化が起きていませんが、X(旧Twitter)ではユーザー・訪問・投稿の全ての指標で民主党支持から共和党支持に変わった人が大量発生しています。
以下のグラフは、Facebookにおける政治的な投稿と感情的二極化(政治的な外集団に対する感情的な嫌悪感や不信感)の関連性を示したグラフ。感情的二極化が強まるほど投稿頻度が多くなることが示されました。これはつまり、「自身の支持する政党への好意が強く、自身の支持していない政党への敵意が強い人は、政治関連の投稿をより頻繁に行う」ということを示しています。
この傾向はX(旧Twitter)でも同様でした。
この他、ソーシャルメディア利用者は高齢化しており、わずかに教養が高くなり、多様化していることも明らかになっています。政治的にはほとんどのプラットフォームで共和党ユーザーの割合が増えていますが、依然として最も多い支持政党は民主党でした。
研究チームはソーシャルメディアから一般ユーザーが離脱し、分極化した党派が声高に発言し続けるにつれて、ソーシャルメディア上ではより小さく、より先鋭化し、より思想的に極端になった投稿が目立つようになっていると指摘しています。



