以下の内容はhttps://gigazine.net/news/20210318-mars-vanished-oceans-trapped-crust/より取得しました。


by NASA's Marshall Space Flight Center

近年になって探査が進む火星は、かつて地球と同じ水に覆われた惑星だったと考えられていますが、現在では乾燥した地表が広がっています。「火星にあったはずの水はどこに行ってしまったのか?」という疑問について、カリフォルニア工科大学の研究チームが発表した新たな論文では、「大量の水が火星の鉱物に閉じ込められている可能性がある」と述べられています。

Long-term drying of Mars by sequestration of ocean-scale volumes of water in the crust | Science
https://science.sciencemag.org/content/early/2021/03/15/science.abc7717

What happened to Mars's water? It is still trapped there: New data challenges the long-held theory that all of Mars's water escaped into space -- ScienceDaily
https://www.sciencedaily.com/releases/2021/03/210316132106.htm

Mars' Vanished Oceans May Be Trapped Within The Planet, Scientists Say
https://www.sciencealert.com/study-says-it-s-knows-where-mars-missing-water-is

火星にはかつて大量の水が存在していたといわれており、約40億年前には水深100~1500メートルもの「海」が存在していたと考えられています。しかし、火星の水は時間と共に散逸してしまい、NASAの火星探査機「パーサヴィアランス」が撮影した火星表面の写真を見ても、荒れ果てた大地が広がっている様子しか確認できません。

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「大量にあったはずの水がどこに消えてしまったのか?」という疑問については、火星の大気に水蒸気として含まれていた水分が、弱い重力や太陽風のせいで大気と共に宇宙空間へ逃げてしまったとの説があります。また、火星の地下には氷がある可能性も指摘されています。

カリフォルニア工科大学とNASAのジェット推進研究所の研究チームはこの疑問を解き明かすため、火星探査機のデータや火星から飛来した隕石のデータを用いた分析を行いました。分析では蒸気・液体・氷といった形態で火星に存在する水の量、大気や地殻の化学組成といった点を調べたほか、「水素の種類」に焦点が当てられたとのこと。

重水素原子核陽子1個と中性子1個で構成されている水素の同位体であり、原子核が陽子1個で構成されている一般的な水素よりも重いものとなっています。重水素と水素の比率は0.02%とされていますが、通常の水素は重水素よりも軽いために大気と共に宇宙空間へ散逸しやすいことから、もし火星の水が宇宙空間へと逃げていったのであれば、火星に残される重水素の比率は通常よりも多くなると予測されます。

ところが、もともと火星にあった水の量や、火星から宇宙空間へ水素が逃げ出す量について考慮すると、現在の火星における重水素と水素の比率は大気の損失だけでは説明できないとのこと。研究チームはこの結果から、火星の水は大気を介して宇宙空間へ逃げ出しただけではなく、「地殻内の鉱物に水が閉じ込められている」という説を提唱しています。


カリフォルニア工科大学の博士課程に在籍するEva Scheller氏は、「大気の散逸は火星にかつて存在した水量に関するデータを完全には説明していません」とコメント。研究チームが行ったシミュレーションによると、火星に存在していた水の30~99%が地殻内の鉱物に閉じ込められている可能性があるとのこと。

鉱物と水が反応して鉱物内に水が閉じ込められるのは火星に限った話ではなく、鉱物の結晶構造に水が取り込まれている含水鉱物は地球にも存在します。しかし、地球では火山活動を通じて鉱物中の水が大気に放出されて循環しているため、水が鉱物の中に閉じ込められたままになりません。

一方、火星は火山活動が存在しないため、鉱物中に閉じ込められた水が循環せず、大気に戻らないままとなっているそうです。Scheller氏は、「この水はかなり早い段階で隔離され、その後は循環して戻ることはありませんでした」とコメント。研究チームのシミュレーションによると、火星の水は約40~37億年前の間にほとんどが失われたことが示唆されており、約30億年前には現在とほぼ同じ乾燥した火星になっていたとみられています。

論文の共同著者であるBethany Ehlmann教授は、「大気の散逸は明らかに水の損失に明らかな影響を与えましたが、過去10年にわたる火星ミッションの調査結果は、形成と共に水の利用可能性を減少させた『古代の含水鉱物による水の貯蔵庫』があったという事実を指摘しています」と述べました。


Scheller氏は、2021年2月から稼働している火星探査機のパーサヴィアランスに大きな期待を寄せているとのこと。パーサヴィアランスが収集したデータと研究チームのモデルを照合することで、シミュレーションが導き出したモデルの正しい部分と間違った部分を理解し、より正確な答えに近づくことができると主張しています。




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