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Microsoftが開発する表計算ソフトウェアのExcelは、大量のデータを扱う世界各国の企業や政府によって使用されています。時にはExcelシートに含まれる間違いが重大な問題を引き起こすケースもありますが、「何かが間違っているExcelシート」の謎を解いて被害を防ぐExcelの専門家たちについてWIREDがまとめています。

Meet the Excel warriors saving the world from spreadsheet disaster | WIRED UK
https://www.wired.co.uk/article/spreadsheet-excel-errors

数値を入力するとあらかじめ設定された数式に従って計算を行うExcelは、経理作業や大量のデータを扱う際に便利なツールです。その一方で、数値の引用間違いや数式のミス、不用意な書き換えなどによって計算結果がズレてしまうこともあり、ミスに気づかないまま重要な工程を進めて大問題に発展するケースもあるとのこと。


たとえばカナダの大麻関連企業であるCanopy Growthは、Excelを用いた計算にミスがあったために四半期収益の修正を余儀なくされ、株価が2%下落してしまいました。また、テスラが2016年に太陽光発電企業のSolarCityを買収しようとした際、投資銀行がExcelシート上でSolarCityの負債を2重にカウントしてしまい、評価額を4億ドル(約420億円)も過小評価する事態が起きました。

2020年には、イングランド公衆衛生庁(PHE)がExcelの行数制限に気づかず、うっかり1万6000件もの症例記録が一時的に消失していたことがわかっています。

新型コロナの症例記録1万6000件がExcelのインポートに失敗して一時消失 - GIGAZINE


世界中で使われているスプレッドシートの90%以上にエラーがあり、大企業で使用されているスプレッドシートの半分に「重大な欠陥」があるとの調査結果も報告されており、Excelシートの誤りは世界的な問題です。そんなExcelの危機に対処するべく、イギリスでは会計士・会計検査官・ExcelのヘビーユーザーからなるExcelの専門家たちが活躍しているとのこと。

イングランド及びウェールズ勅許会計士協会(ICAEW)」でテクニカルマネージャーを務めるDavid Lyford-Smith氏は、Excel専門家のユーザーコミュニティを運営する人物であり、自身もさまざまな企業の相談に乗っています。ある時、Lyford-Smith氏は「給与計算フォームの中に、ランダムに『40335』という数値が表示される」という相談を企業から受けました。

企業の給与部門はこの数値について「従業員の契約金が4万335ポンド(約550万円)ということを意味するのではないか」と推測していたそうですが、Lyford-Smith氏はこの数値が「日付」を表すものだと見抜いたとのこと。Excelは日付を特定のシリアル値として記録しており、「40335」は「2010年6月6日」を意味するシリアル値だそうです。この数値は新入社員への契約金ではなく、入社日を表す日付だったとLyford-Smith氏は述べています。


Excelシートに関連する失敗は時に大きな損害を引き起こしますが、多くの企業はそれに注意を払っていません。ヨーロッパのスプレッドシート関連団体である「European Spreadsheet Risks Interest Group(EUSpRig)」のPatrick O’Beirne会長は、「多くの企業はExcelの問題が発生するとは思っていないため、警告を無視します。サイバーセキュリティと同じです。フィッシング攻撃に見舞われるとは誰も思っていません」とコメント。

企業や団体から寄せられるExcelシートの問題に対処する専門家らは、Lyford-Smith氏のようにICAEWに務めるだけでなく、民間の会計事務所や監査法人、金融・保険機関、リスクコンサルタント企業など、さまざまな組織に存在しています。クライアントは主に大手銀行や規制当局、多国籍企業だそうで、時には数億円規模の損失につながりかねないExcelシートの問題も扱うとのこと。

専門家にチェック依頼が寄せられるExcelシートは、担当者らが「何かがおかしい」と感じたものの他に、多額の金銭を扱うものも含まれます。金融サービスで働いていたExcel専門家のDean Buckner氏は、ある大手銀行が作成したデリバティブ(金融派生商品)を管理するExcelシートをチェックしていた際、利息を計算する方法に欠陥があることを見つけました。「これが継続して使用されれば、数百万ポンド(数億円)もの費用がかかる可能性がありました」とBuckner氏は述べています。


Excelシートを調査するために、一貫性のない式や構造的な問題を探すソフトウェア・ツールも利用できるものの、これは「製品のコストが誤って複数回計上されている」「利率の計算式にミスがある」といった論理的な問題を識別できません。そのため、Excelの専門家らは単にExcelシートの仕組みについて詳しいだけでなく、Excelシートを運用する業界に詳しい必要があります。

また、調査に当たってはExcelシートの管理者や作成者にも話を聞くそうですが、「Excelシート上で何が行われており、特定の数値がどのデータから引用されているのか」といった点について明確に答えられる担当者は多くないそうです。ある事例では、特定のチームが自分たちのExcelシートを書き換えたことにより、下流工程を担当する別のチームが運用するExcelシートに問題が発生するケースもあったとのこと。下流工程のチームは上流工程のExcelシートをデータソースとして利用していたため、書き換えによってExcelシートの結果が変わってしまったそうです。

一般的に、重要なExcelシートに欠陥または潜在的に危険を発見した企業幹部は、リスクを見過ごしてそのままのExcelシートを使い続けるか、高価なソフトウェアを特別に発注する二者択一に陥りやすいとのこと。しかし、安価なオプションとしてExcelに目を向けている企業や発展途上国の機関では、ソフトウェアを特注することは困難です。そこで、第3の選択肢として「Excelの専門家に依頼し、Excelシートのリスクを軽減する」という方法があると専門家らは述べています。

Excelシートに関連して起きた失敗がニュースなどで広まると人々はExcelへの反発を強めますが、Lyford-Smith氏は「Excelは世界中で利用可能であり、非常にアクセスしやすいです」と指摘。結局のところ問題はExcelシートそのものではなくExcelを運用する人間にあるため、Excelの専門家は人々がうまくExcelを運用できるようになることを手助けできると主張しました。




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