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「20世紀最高の物理学者」とうたわれるアルベルト・アインシュタインの業績の1つに、「一般相対性理論」が挙げられます。そんな一般相対性理論を実証して知名度を広めたのは、1919年5月29日に生じた「日食」でした。

The eclipse photo that made Einstein famous - YouTube


日食は、太陽が月によって覆われて見えなくなる現象です。


日食が生じる条件とは、太陽と地球の間に月が入り込むこと。


地球から見て月が太陽の前を通過して日食が生じるときには、空は夜のように暗くなり、周囲の星々がよく見えるようになります。


日食を写した写真は多数残されていますが、1919年5月29日にブラジル・ソブラルで撮影された日食の写真は、他の写真にはない特別な意味を持っています。


それは、重力を再定義したということと……


アインシュタインを有名にしたということです。


宇宙を物理学的に理解するための基礎を築いたのは、アイザック・ニュートンです。


ニュートンは1687年に出版した「自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)」の中で、重力を「星のような巨大な物体を引き寄せる力」と定義し、「全ての物体はお互いに重力を及ぼしており、この力によって惑星の運動が保たれている」と説明しました。


ニュートンの発表後、200年以上にわたって重力は「引き寄せる力」と定義されてきました。


しかし、重力に対してニュートンとは全く異なる考え方を持っていたのがアインシュタインです。


アインシュタインが1915年に発表した一般相対性理論の論文は、重力を「空間上の物体間に生じる力」ではなく、「物体が空間の形そのものに与えている影響」と定義しました。


一般相対性理論では、太陽のような巨大な質量を持つ物体は、周囲の空間をねじ曲げていると考えます。


そのため、小さな物体はねじ曲げられた空間上を直線的に移動しようとしても、より大きな物体の質量によって生じたゆがみによって、直線ではなく弧を描くように移動してしまうと説明されます。


仮にこの理論が正しいならば、巨大な物体の近くを通過する光も進行方向が曲がるはずです。


つまり、太陽の近くに見える星を観測する場合、星から放たれる光は太陽の質量によって曲がっているはずなので、実際の位置は見かけの位置からズレているということになります。


この考え方は当時画期的といえるものでしたが、アインシュタインが理論の正しさを実証するには大きな問題がありました。


アインシュタインが一般相対性理論を発表したのは、第一次世界大戦のまっただ中だったからです。


当時アインシュタインはドイツに住んでいましたが、敵国であるイギリスの物理学者であるアーサー・エディントンがアインシュタインの業績に着目します。


エディントンは同じイギリスの天文学者であるフランク・ダイソンとともに、アインシュタインの一般相対性理論の正しさを確認する実験を計画しました。


この実験は、皆既日食を利用して星の位置を比較するというもの。


まず通常の星空の写真を撮影して……


皆既日食中にも、同じ星空の写真を撮影します。


皆既日食中は日光が月によって遮断されるので太陽のすぐ近くの星を撮影することができます。皆既日食によって撮影可能になった太陽のすぐ近くの星の位置が、通常の星空の写真と比べて位置がズレていたならば「太陽の重力によって星の見かけの位置がズレた」ということになり、「相対性理論は正しい」ことが立証できるとエディントンとダイソンは考えました。


この実験に最適だったのが、1919年5月に南半球で生じた日食です。


その理由は、太陽がヒアデス星団の近くを通過するため。位置の比較に適したさまざまな明るさの星が、太陽の近くに多数観測できるという状況でした。


1919年にイギリスから観測隊が2チームに分かれて出発。エディントン率いる観測隊はアフリカ大陸西海岸沖に位置するプリンシペ島に、もう1チームはブラジルのソブラルに向かいました。この2箇所は日食がキレイに撮影可能で、なおかつ好ましい気象条件が揃っていると考えられたため選ばれました。


詳細な天文写真を撮影できる写真撮影用の望遠鏡が分解された状態で運ばれ、野外で慎重に組み立てが行われました。


そうして撮影された日食の写真が、こちら。1919年5月にソブラルで撮影された皆既日食の写真の中でも、数少ない成功例の1つです。


この写真は、日食の中でも月の影が太陽を完全に覆い隠した「皆既日食」を撮影したもの。


皆既日食の特徴である太陽コロナや、紅炎などがキレイに映し出されています。


そして、実験の目的だった、太陽近くの星も写真に複数納められていました。


イギリスに帰国したエディントンが顕微鏡を使って写真を比較したところ、日食のさなかには、星の見かけの位置が移動していることが確認されました。


ニュートンも太陽の近傍では星の光が曲がることを計算によって導き出していましたが、アインシュタインの予測はより偏差に関する誤差が少ないものでした。


エディントンらの実験の成功は1919年11月7日に発行されたロンドン・タイムズで最初に報じられました。


その後、このニュースは世界のさまざまな新聞で盛んに報じられ……


物理学の世界の中だけで有名だったアインシュタインを、世界的に有名な存在にしました。


エディントンらの実験の後も、1936年にはソビエト連邦、1952年にはスーダン、1973年にはモーリタニアで日食の撮影は続けられ……


アインシュタインの予測はかなりの精度を誇ることが示されました。


一般相対性理論は、宇宙に対する進歩的な考え方を導き出しました。


今ではブラックホールなどを使って、同様の研究が進められています。




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