
by Pictures of Money
Firefoxを開発するMozillaは、ウェブ企業のCoilや非営利団体のクリエイティブ・コモンズと共同で「広告中心の収益構造に代わる新しいビジネスモデル」を考えるプロジェクト「Grant for the Web(ウェブのための助成金)」を推進し、1億ドル(約108億円)もの助成金を投入することを発表しました。
Grant for the Web
https://www.grantfortheweb.org/
Mozilla Foundation - A $100 Million Investment to Reshape the Economics of the Web
https://foundation.mozilla.org/en/blog/100-million-investment-reshape-economics-web/
インターネットのビジネスモデルは、広告による収入と収集した個人情報によるデータマイニングが主流です。しかし、こうしたビジネスモデルは大手広告企業が主体となり、コンテンツを生み出すクリエイター側に正しくお金が流れないという批判も多くあります。
Grant for the Webに参加するCoilは、ブロックチェーンと仮想通貨XRPによるオンライン決済システム「Ripple」のメンバーが立ち上げたウェブサイト収益化プラットフォームです。Coilは「広告を主体としたウェブビジネスモデルは崩壊しつつある」として、コンテンツの閲覧数に基づいて送金が行われるWeb Monetizationという収益化APIを導入した収益化を提案し、記事作成時点ではベータテストが行われています。

そんなCoilとMozilla、そしてコンテンツライセンスの定義を行うクリエイティブ・コモンズが協力して立ち上げたGrant for the Webには以下の目的があるとのこと。
・クリエイターの作品に対して直接お金が支払われることで、クリエイターのウェブへの参加を拡大する。このクリエイターには、これまでアクセスが少なかった世界中のグループも含まれるとのこと。
・閲覧履歴などの消費者データの収集に依存しないウェブ収益化の代替手段を作成することにより、プライバシーを保護する。
・支払い業者の競争を可能にするオープンな支払いエコシステムを構築することで、ウェブコンテンツの支払いを受けるための管理コストを削減する。
・今は収益化されていないコンテンツや非常に低いレートで収益化されているコンテンツに対して支払いを受けることができるようにすることで、ウェブの革新を奨励する。
・オープンコンテンツやオープンソースソフトウェアの開発に投資する。
・コンテンツの作成者と消費者が任意の通貨を使用できるようにし、複数のアカウントをロックしたり強制的に保持したりするような精算プラットフォームを排除する。
Mozillaが5年間にわたって1億ドルを投入するGrant for the Webは、「プライバシーの保護を中心としたオープンでアクセス可能なウェブ収益化エコシステム」に貢献する個人・プロジェクト・グローバルコミュニティに贈られるとのこと。MozillaはGrant for the Webから助成金が贈られる具体例として、コンテンツ制作者が広告やデータマイニングなどに好き勝手をさせないようなプロジェクトや、Web Monetizationを使った新しいアプリケーションなどを挙げています。

Mozillaのエグゼクティブディレクターであるマーク・サーマン氏は「ウェブの豊かさと多様性は、作家やプログラマ、ミュージシャン、ジャーナリストなど、個々のクリエイターから生まれています。しかし、今のエコシステムでは、大きなプラットフォームと侵襲的でターゲットを絞った広告がルールと利益を生み出しています。消費者もコンテンツを閲覧する時に、知らず知らずのうちに個人のデータを放棄してしまいます。これが『監視資本主義』の背景にある考え方です」と、ウェブビジネスモデルの現状を痛烈に批判。Grant for the Webに参加する目的は「将来の新しいビジョンとして、クリエイターと消費者が繁栄できる場所をサポートすること」だとサーマン氏は述べました。