by Marco Verch
アメリカのドナルド・トランプ大統領が「情報通信上のリスクがある外国製品の取引を禁止する」という大統領令に署名し、以前からスパイ疑惑をかけられていたHuaweiは、今後開発する自社製スマートフォンにGoogleの開発するOS・Androidを搭載できなくなりました。そんなHuawei包囲網は、IntelやQualcommといったチップメーカーにも広がったことが報じられています。
Huawei can keep sending software updates to phones for three months, US says - The Verge
https://www.theverge.com/2019/5/20/18633171/huawei-software-updates-phones-google-android-commerce-department
Huawei soon losing access to Android updates, Google apps, after Trump trade ban [Updated] | Android Central
https://www.androidcentral.com/huawei-losing-access-android-updates-google-support-after-trump-trade-ban
Trump Huawei Ban Ripples Across Industry as Supplies Halted - Bloomberg
https://www.bloomberg.com/news/articles/2019-05-19/google-to-end-some-huawei-business-ties-after-trump-crackdown
アメリカ政府は「Huaweiが製品にバックドアを作って中国政府のスパイ活動を助けている」と主張しており、大統領令の署名によってHuawei排除の動きを加速させました。Huaweiおよび68もの子会社が貿易ブラックリストに掲載された結果、GoogleはHuaweiに対するAndroidサポートを停止することとなり、今後リリースされるHuawei端末ではGoogleサービスが利用できなくなるとみられています。
GoogleがHuaweiのAndroidサポートを停止、今後のHuaweiスマホはGoogle PlayなどのGoogleサービスが一切利用できなくなる模様 - GIGAZINE
しかしその後、Googleは「2019年5月16日以前にリリースされたHuawei製品について、2019年8月19日までサポートを延長する」という一時的なライセンスを発効させました。これにより、3カ月ほどの期間は既存のHuawei製品もAndroidソフトウェアの更新や脆弱性対策のパッチなどを受け取ることができます。
ただし、この措置はあくまでも一時的なものであり、GoogleとHuaweiとの取引再開を示すものではありません。ウィルバー・ロス商務長官は、この一時的なライセンスは既存のHuaweiユーザーおよび組織に対する猶予期間であり、その期間中に別企業の製品に乗り換える選択肢を考慮できるとしています。
今回のAndroidサポート停止措置に対し、Huaweiは今後も製品のセキュリティアップデートやアフターサービスを継続するとのこと。「Huaweiは世界中のAndroid開発と成長に多大な貢献をしてきました。Androidの主要なグローバルパートナーの1つとして、緊密に連携してユーザーと業界に利益をもたらすエコシステムを開発してきたのです」とHuaweiは述べました。
by Kārlis Dambrāns
一方でHuaweiとの取引停止に踏み切ったのはGoogleだけでなく、チップメーカーのIntelやQualcomm、Xilinx、Broadcomといったサプライチェーンも、従業員に対して「新たな通知があるまではHuaweiとの取引を停止する」と伝えたとのこと。Bloombergはこの措置について、チップメーカーはHuaweiとの取引によって得ていた数％の収益を失うだけでなく、それ以上の打撃を受ける可能性があるとしています。
ローゼンブラット証券のアナリストであるRyan Koontz氏は、「Huaweiはアメリカの半導体企業に大きく依存しているため、アメリカとの取引停止は深刻な問題です」と指摘。Huaweiは第5世代移動通信システム(5G)展開において大きな役割を果たしていますが、チップメーカーとの取引停止はHuaweiの5G展開を遅らせる可能性があります。
5Gの分野にはHuawei以外の安価な競合相手が少なく、Huaweiによる5G展開の遅れは世界的な5Gの普及を妨げるかもしれないとのこと。この影響は5Gテクノロジーを採用するスマートフォンやネットワーク機器、自動運転車などの分野にも及ぶとみられており、Huaweiとの取引があるチップメーカーにとどまらず、幅広い産業に打撃となり得るとBloombergは指摘しました。
by NASA's Marshall Space Flight Center
