
身近なセキュリティの要として誰もが使う「鍵」は丈夫なものであることがアタリマエ。しかしそんな常識を根底から覆すようなフニャフニャで一見頼りなさそうな鍵が存在していたことがわかり、そしてそこには意外ともいえる目的が隠されていました。
(627) John Coulter's WEIRDEST LOCK ON EARTH!!

こちらがぐにゃぐにゃ曲がる謎の鍵と専用の錠前。右手に持つ鍵は、外側にあるカートリッジに鍵の中身が収められる構造になっています。

錠前を正面から見るとこんな感じ。鍵を挿入する部分が少し複雑そうに見える以外は、通常の錠前とあまり変わりはありません。ベゼル部分にはメーカー名とみられる「HYT」のロゴと「PATENT」が書かれており、特許を持つ鍵であることがわかります。

そして特殊めいた鍵がこちら。通常だとギザギザに刻まれているブレード部分はつるんとした直線になっており、内部にはなにやら小さなコマのような部品がつながっています。

キーハンドル部分には、ドイツ語らしき言葉で1991年に何かの賞を獲得したような記載が刻まれています。

錠前のシリンダー部分をライトで照らしてみると、内部が段つき構造になっている様子が見てとれました。これも通常の錠前とは全く異なる形状。
それでは実際にどのようにこの鍵を使うのでしょうか。まずは鍵をシリンダーの挿入口にセット。ここまでは至って普通。
そして、ハンドル部分を持って……
「ジャッ」とスライド。ハンドル部分だけがスライドして、ブレードと思われていた部分は外側に残ったまま。まるで鍵そのものが刺さっていないようにも見えます。
しかし、ハンドルを回すとちゃんと鍵として動作していることが確認できました。
鍵を抜く時は、注射器を使う時のようにハンドルを持ち……
引き抜くことで、元の形状に戻りました。
それでは、鍵の構造はいったいどのようになっているのでしょうか。
ブレード部分は、中空になったチューブ構造になっています。ここからハンドルをスライドさせると……
だらん。
さらにだらん。なにやらチェーンか腕時計のベルトのような物体が出てきました。
まったくコシのない、だらりとした状態。
しかし手のひらの上で真っすぐに伸ばすと、何とよく見る鍵のような凹凸が刻まれているのが見てとれました。
でも横から見ると、このように指でクニャクニャに曲げることができてしまうという謎の鍵。これはいったい……
その正体は、錠前のシリンダー部分を特殊な形状にすることでピッキングの被害を防止するという鍵で、1991年にアメリカで特許出願され、1992年に公開されていたもの。発明したのは台湾のHsu Yun-Tung氏という人物であることがわかります。
特許 US5131247 - Lock assembly with curved keyway - Google 特許検索
http://www.google.com.ar/patents/US5131247
出願書の添付イラストでは、鍵の挿し込み部分が曲がる錠前の様子がわかりやすく描かれています。
ピッキングを行う際には専用の工具などを差し込み口に挿しこんでロックを解除するわけですが、この発明ではその挿入口を途中で曲げることでピッキングツールを途中でブロックし、不正にロックが解除されることを防ぐという仕組みになっているのでした。
アイデアとしてはなかなか秀逸で、ピッキング対策としては効果がありそうな発明となっていたわけですが、あまり普及していないところをみると耐久性などの実用性に問題があるなど、何らかの理由があったのかも。発明者のHsu Yun-Tung氏は、これ以外にも鍵にまつわる数々の発明を行っていた様子です。
ininventor:"Yun-Tung Hsu" - Google Search
https://www.google.com.ar/search?tbo=p&tbm=pts&hl=en&q=ininventor:%22Yun-Tung+Hsu%22

















