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“冒険者よ、体感せよ!”ファンタジー世界をリアルに体験できる展示会「ファンタジー武器屋タクミアーマリーの世界」体験レポート

【ファンタジーを体感せよ! ファンタジー武器屋タクミアーマリーの世界】

開催期間:10月8日~11月6日

会場:加古川総合文化センター美術展示室

入場料:大人(高校生以上)800円

小人(小・中学生)400円
未就学児 無料

 匠工芸は、展覧会「ファンタジーを体感せよ! ファンタジー武器屋タクミアーマリーの世界」を10月8日より開催している。会場は加古川総合文化センター美術展示室。会期は11月6日まで。

 匠工芸とは、兵庫県高砂市にある小さな町工場で、以前にふるさと納税の返礼品として、ファンタジー溢れるオリジナル武器が返ってくることで有名となった。取扱商品として、各属性に対応した「ロミニングカトラス」や、“人生はやり直しが必要だ”をコンセプトに作られたスモークが出て光るセーブポイント、RPG風なパーティションなどユニークな商品を数々展開している。そんな会社が今回大きな展示会を開催中だ。

 ファンタジー世界、誰しもが一度は夢見るそんな世界を体感するべく、筆者は兵庫の加古川へ旅立った。

冒険の入り口はまずここから
エンブレムも手作り
武器屋のカウンターを思わせる造り。机には魔法の杖や魔法薬などもある

会場内紹介

オリジナル武器・コスプレ衣装

 会場内に入ってまず目に入るのが、凝った衣装とそれに合わせたかのような武器だ。会場では多種多様な武器・衣装が展示されており、その数はなんと10種類以上にものぼる。広々とした展示会場に多くの武器と衣装が並べられている風景は圧巻の一言である。

 ファンタジー溢れる衣装は、副代表でもありコスプレイヤーでもある桃井氏が、武器に合ったイメージを元に全て手作りで制作している。そのため、武器と衣装の親和性が非常に高く、実際にコスプレしている写真も展示しているが違和感のない仕上がりとなっている。また衣装の下にはメモ書きが貼られており、どういう意図でこんな構造にしたか、どんなイメージで制作したかを桃井氏直筆のものが展示してある。

ガトリング砲とモダンを感じさせる衣装
ショートアックスとそれに合わせた衣装

 制作の大まかな流れとして、先に武器が作られ、そのイメージに合った衣装を作るのが基本の形らしいが、桃井氏の想いで先に衣装が作られることもあるという。その場合には、衣装に合わせた武器を代表の折井氏が作るようにしているとのこと。

 多様な武器・衣装から試着、試し持ちなどを考えてしまうところだが、展示物に手を触れることはNG。少し残念ではあったが、衣装は女性用しかないので男性用としてレザーアーマーやフルプレートなども作ってほしいと思う筆者であった。

 唯一、ショートアックスをより大型にしたバトルアックスのみ衣装とは別でもう一つ展示しており、そちらに関しては触っても良いとのこと。総重量31kgとのことで持ち上げてみようかと思ったが、持ちあげに関してはNG。持ち上げてやるぞと意気込んでいただけに残念である。(斧と台座が固定されています。)

光の当たり具合で刃の部分の光り方が変わる
刀身に文字が刻まれている
総重量31kgのバトルアックス(持ち上げ不可)
手前のハンドルを回すことで、斧の中の歯車まで連動して回る

企画製品

 展示コーナーの一角にテレビ番組やゲーム会社とのコラボレーション製品が展示されており、中でもスクウェア・エニックスから認定された製品として、ゲーム「NieRシリーズ」より“百獣の剣王”が展示されている。実際に触れることは出来ないが、鎖や獅子など忠実に再現されていることが確認できた。

「NieRシリーズ」より“百獣の剣王”
なぜ制作したのかにまつわる話も展示

撮影コーナー

 展示会場内にはSNS映えしそうな写真が撮れる“フォトスポット”が3か所も設置されている。それぞれ名称があり「勇者のつるぎ」、「魔法陣」、「セーブポイント」となっている。各スポットでは小道具として、匠工芸の制作したオリジナル武器を持って撮影することが可能で、筆者もここぞとばかりにすべてのスポットで撮影させてもらった。なお当日一人で来ても展示会スタッフが撮影のサポートをしてくれるとのことなので、気軽に声をかけて頂きたい。

 「勇者のつるぎ」は、岩に刺さる剣を引き抜くシーンを再現。石の台座に剣が突き刺さっており、照明の当て具合や背景がおりなす空間は、さながら勇者のほこらのような感じだ。剣は勇者と認められた場合には簡単に引き抜くことができるそうだが、筆者が試した結果、引き抜くことは出来なかった。どうやら勇者とは認められなかったようだ……。

光のさし具合と突き刺さる剣が勇者のほこらを思わせる
勇者だと簡単に抜けるらしい……

 「魔法陣」では光り輝く魔法陣の上で写真をとることができ、撮影の小道具として杖やダガーをもって撮影することができる。人を撮影することはもちろん、持参した小道具などが召喚される様子の写真を撮ることが可能である。筆者は杖を持って魔法を使っているイメージで撮影したが、持ち方があれなのか何なのか迫力が無い写真となってしまった……。

発光する魔法陣が臨場感を演出(なんと魔法陣は匠工芸で販売中)
魔法を使うシーンはもちろん、召喚シーンとしても活用可能

 「セーブポイント」は、復活の神殿をモチーフに作られた撮影スポット。魔法陣と同じく陣の中に立って撮影するのが基本だが、隠されたギミックがあり、陣の周りから白い煙を出すことができる。これによりさらに復活感を出した写真撮影をすることが可能となる。ここでは陣の中から出てきたばかりのシーンをイメージして撮影してもらった。白い煙とうまく合わさり、イメージ通りの写真が撮れ、非常に満足のいく一枚となっている。

復活の神殿をイメージして作られたスポット
白い煙を吹き出すギミックにより復活演出をより再現
撮影スポットごとに使ってもいいオリジナル武器が用意

体験コーナー

 展示会場の入口付近の上空に佇むモビールドラゴン。誰も触れていない状態だと、ただの固定された立体物にしか見えない展示物だが、なんと羽を羽ばたかせながら上下に動くのだ。ドラゴンの胴体から紐が出てきており、それをゆっくりと引いて離すことで、胴体がゆっくり上下に動きながら羽も同様に可動する仕組みとなっている。

ドラゴンから伸びる紐を軽く引くことで翼を羽ばたかせることが可能

 セーブポイント前に設置されている可動式の翼。これにはストーリーがあり、遠く崖に隔てられた魔王城へ向かうため飛行する方法を模索した勇者たちが、空を飛ぶための道具としてこの翼を作ったという。2つの取手を回すことで、ドラゴンの翼のような羽ばたきをさせることができる。この機構を制作するのに何十ものの試作品を作成、修正、破棄を繰り返し、何十枚もの木材をホームセンターへ買いに行き、時には買い占めたという。協賛企業の援助なしでは成し得なかった、この展示会のために作られた制作物とのこと。試行錯誤のうえ絶妙な嚙み合わせができるようになった歯車のなめらかな動き、翼の動きを是非体験して欲しい。

歯車によって動く翼。適切な歯数、形でないとここまで滑らかに可動できない

オリジナル製品

 コロナ需要でパーティションの需要が高まる中、匠工芸では他とは違うオリジナルパーティションを制作している。会話の中で少しでも心を豊かにできる工夫をという意図で制作された製品だが、魔法陣のパーティションに関しては、全く別の用途で使用されることが多いとのこと。今回展示されている3種を販売しており、筆者のように面白おかしな写真を撮ることもできる。

RPG風なスクリーン
魔法陣、パーティションではなく演出として使われることが多い
漫画風の集中線
さがならRPGに登場する村人のような感じに
迫力のあるシーンを撮ることも可能

その他

 展示物の隅っこに宝箱が。と思いきやミミックだったり、普通の宝箱もあったり、ファンタジー世界の住人らしい“ちていじん”だったり、会場内のちょっとしたところにファンタジーを彷彿とさせる物が色々と展示されている。他にも何があるのか探してみてほしい。

 小規模だが匠工芸の販売ブースも設置しており、オリジナル武器は販売していないが、カバンなどにつけられるアクセサリー類が売っている。また会場限定のガチャガチャも設置してあり、手のひらほどの小さな武器が出てくるようだ。

宝箱と思いきやミミックが
地底に住む民族も再現
この民族は“ちていじん”というらしい

催し物紹介

 展示会以外の催し物として3種類の企画が用意されており、二日間限定の代表・副代表とのトークショーの他、一日限定のワークショップ、土日祝限定の謎解きアトラクションがある。それぞれ参加日時が決まっているので今回体験することは出来なかったが、どういった内容をするのかは聞くことが出来たので紹介していく。

トークショー 折井匠・桃井鈴と楽しく語ろう!

  • 開催日:10月9日(日)、11月6日(日)
  • 開催時間:17:30 ~ 19:30
  • 定員:先着50名(電話での申し込み可能)
  • 参加費:無料

※電話での申し込みは加古川総合文化センター(079-425-5300)へ。

 匠工芸代表の折井匠氏と、副代表の桃井鈴氏とのトークショーとなっている。実際にどんな内容を話すのかは不明だが、取材した様子からだとファンタジーに強い憧れ、熱意を持った方々なので、コアな話や濃い話を聞くことができそうである。

謎解きアトラクション 神戸大学謎解き団体 E-Link × 匠工芸 ドラゴンの呪いと伝説の剣の謎に挑め!

  • 開催日:土、日、祝日(最終日を除く)
  • 開催時間:10:00 ~ 17:00(最終スタート:15:30)
  • クリア目安時間:1時間程度
  • 参加費:1,000円

 神戸大学の謎解き団体 E-linkが制作した本格的な謎解きアトラクション。本イベントに関しては、展示会場ではなく加古川総合文化センターを使った催し物となっており、展示会に入場していなくても参加可能となっている。ギルドからの依頼を受け、総合文化センターを巡り、ドラゴンの呪いと伝説の剣の謎について挑むというのがストーリー。参加者はギルドから渡される依頼書を元に謎を解いていくのだが、依頼書は一つだけではない。一つの依頼書が終われば次なる依頼書が発行され、徐々に謎の真理へと近づいていく。依頼書すべてを達成することで、この物語の結末を知ることができ、特典として匠工芸製の宝箱を持って記念撮影をすることができる。どんな内容・結末が待っているか筆者も知らされていないので、ぜひ参加して謎を解き明かしてほしい。

 難易度に関しては、謎解きに慣れた人でおおよそ1時間かかるほどの難しさとなっており、子どもだけでは解くのは難しく、大人でも考えさせられるほど手ごたえある謎解きとなっている。なお謎解きが得意ではない人、時間がない人向けに段階的なヒントが用意されており、自分の難易度に合わせた謎解きが出来るように配慮されているので安心して参加してほしい。余談だが、自力で解くためにヒントを使わずに2日間使って謎解きを行ったチームもいたとのこと。

ワークショップ クリスタルキーホルダーを作ろう!

  • 開催日:10月30日(日)
  • 時間:14:00 ~ 16:00
  • 受付時間:10月30日12:00より(1階窓口の受付のみ)
  • 定員:10名(当日先着限り)
  • 参加費:1,200円 + 展示会入場券

 匠工芸の代表折井匠氏による、カバンなどに取り付けられるキーボルダーを作成するワークショップが開催する。当日会場限定の受け付けで、先着10名となるため余裕をもって行動していただきたい。

 ワークショップに関しては、モノづくりの楽しさを体感できるイベントなので1日だけでなく、もっと実施したいとのことだったが、都合上30日しかできないとのこと。その分楽しめるように全力を尽くすとのことなので、機会があれば是非参加してみてほしい。

まとめ

 今回匠工芸の展示会を体験してきたが、ファンタジー要素満載な展示物が多く、見るものをワクワクさせるものばかりであった。代表の折井氏から伺った話からは、この展示会はあくまで目標までの1歩に過ぎず、現在進行形で次なる企画が進行しているとのこと。次はどんな企画・制作を持ち出してくるか分からない匠工芸に今後も注目していきたい。