【特別企画】

「GBVSR」は初心者でも簡単! 動かしているだけで楽しい魅力的なキャラクターが満載だったOBTレポート

【グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-】

12月14日 発売予定

価格:
無料(フリーエディション)
6,600円(スタンダードエディション)
9,680円(デラックスエディション)

 ブラウザゲーム・モバイルゲームの雄Cygamesが2014年にリリースした「グランブルーファンタジー」(以下「グラブル」)。サービス開始から10年近くが経過した今なお、多くのプレイヤーから愛されている本格派のRPGだ。タイトルをそのまま動詞化した“グラブる?”で有名なCMは、誰しも一度は見聞きしたことがあるだろう。

 2020年には、同作のキャラクターたちが熱い闘いをくり広げる格闘ゲーム「グランブルーファンタジー ヴァーサス」が登場。「GUILTY GEAR」シリーズで知られるアークシステムワークスが開発を担当したことで、「グラブル」ファンのみならず、格闘ゲーマーたちからも高い評価を得るに至った。発売から2日と経たないうちに15万本を売り上げ、一時的な品薄状態に陥ったニュースは記憶に新しい。

 そんな「グランブルーファンタジー ヴァーサス」が、今冬さらなるパワーアップを遂げ、「グランブルーファンタジーヴァーサス -ライジング-(GBVSR)」として12月14日発売される。11月10日から13日には、発売に先駆けて2回目のβテストが開催された。今回のβテストでは、新規キャラクターのグリームニルとニーアを除いた26キャラクターを使ったカジュアルマッチやロビーマッチなどのオンライン対戦のほか、トレーニングモードなどを体験できた。食事の時間も惜しんで本作を3日間プレイしまくった筆者が、βテストのプレイレポートをお届けする。

 「グラブル」のファンはもちろんだが、高いレベルで仕上がっている作品なので、格闘ゲーマーもぜひ注目いただきたい。

【『Granblue Fantasy Versus: Rising』 #10 発売日告知トレーラー】
※発売日は12月14日に延期

基本を踏まえつつ独自の要素満載のバトルシステム!

 まずは本作の基本システムから説明しよう。本作は従来の対戦格闘ゲームをベースにしつつも、本作ならではの試みが取り入れられている。主なシステムは下記の通りだ。

基本操作はシンプル! 思いのままにキャラクターを動かせる

 対戦格闘ゲームゆえに、移動は方向キーによる8方向操作。後方に入れるとガードになり、→→や←←でダッシュやバックステップもできる。オーソドックスな操作方法なので、とくに戸惑うことはないだろう。

ダッシュ中に攻撃を出すと、通常時とはモーションの異なる攻撃をくり出せる
バックステップに無敵時間はなく、相手との間合いを離す使い方がメインとなる

 アクションは弱攻撃・中攻撃・強攻撃・特殊技の4ボタン+ガードの変則5ボタン制。さらにボタンの同時押しによって、ガード不能の投げ技やガードクラッシュ状態を誘発するレイジングストライクが発動可能だ。

立ち状態の弱・中・強攻撃は、それぞれ間合いによって変化する。こちらの画像は遠距離弱攻撃
こっちの画像は近距離弱攻撃だ
しゃがみ状態の弱攻撃は下段系、強攻撃は対空系の技が多い
特殊技はキャラクターによって異なり、単なる攻撃技のほかにも移動技や自身の強化など、多岐に渡る

 また、方向キーを操作せずにダッシュや投げを行なうボタンや、コマンド入力なしで必殺技を出せるアビリティボタンもある。筆者は昔ながらの職人気質のため、手動操作でプレイしていたが、ダッシュも必殺技もボタン1つで出したほうが簡単かつ早いのは自明の理。本来は最低でも0.1~0.2秒ほど必要なアクションを一瞬で出せるので、最終的にはダッシュボタンやアビリティボタンを利用して戦ったほうが強くなるだろう。

 ただし、コンボ中以外であれば、コマンド入力で必殺技を出したほうが威力が高い。コマンド入力、アビリティボタンで使い分けられるのがベストだ。

レバーによるダッシュは最低でも3フレーム必要だが、ボタン操作なら1フレームで出せる

 ガードは、相手キャラクターがいる向きから逆方向へ方向キーを入力しても行なえるため、ガードボタンはむしろ避けや回り込みといった特殊動作に使用する。避けは全身無敵、回り込みは上半身無敵だが、投げられ判定は残っている。どちらも多用しすぎると投げられてしまいそうだが、ピンポイントで使えば非常に強力。実践では相手の攻撃をいかに避け、相手の避けや回り込みをいかに咎めるかが重要なポイントになるだろう。

1P側で←+ガードボタンを押すと、その場で避け動作を取って相手の攻撃をかわす
→+ガードボタンは、上半身無敵の状態で相手との距離を詰める回り込みを行なう

原作の要素を再現!! クールダウンが必要な必殺技

 本作の必殺技は「アビリティ」と呼称される。コマンド入力+ボタン(アビリティボタンによる簡易入力も可能)で発動する点は従来の対戦格闘ゲームと同じだが、使用条件が設定されているのが特徴。体力ゲージの下にアビリティアイコンが用意されており、必殺技を使うと対応するアイコンのゲージが減って表示が暗くなる(クールダウン)。以降はゲージが回復してアイコンが完全に明るくなるまで、その必殺技を使うことができなくなるのだ。

体力ゲージの下にあるのがアビリティアイコン。必殺技を使うと、対応したアイコンのゲージが減少する
アイコンが暗くなっている状態では、その必殺技のコマンドを入力しても押したボタンに対応した基本技が出てしまう

 本家「グラブル」のバトルにおけるアビリティを再現したものだが、これが絶妙に面白い。クールダウンの時間は必殺技ごとに設定されているほか、基本的には弱<中<強の順に長くなっていく。つまり、ふだんの立ち回りにせよチャンス時の連続技にせよ、「どの必殺技をどの強さで使うか」という駆け引きが生まれるわけだ。

突進系の必殺技は、動作中にクールダウンが終わる(=連続で使用できる)ものも多い
飛び道具や対空系の必殺技は、弱や中でもクールダウンが長い傾向にある

 その後を展開を見据えて弱にするか、ダメージを重視して強にするか? あるいは折衷案として中を選ぶのか? この要素が、同じキャラクターでも闘い方を個性的に与え、戦略の幅を広げている。

強の必殺技は、キャラクターが黄色に光り性能が大幅にアップする
無敵時間の付与やダメージの増加といった恩恵を得られるが、クールダウンの時間が長い

奥義ゲージを消費して放つ強力な一撃

 体力ゲージの下、必殺技アイコンの横にあるゲージが奥義ゲージ。これを消費することでアルティメットアビリティ、奥義、解放奥義の3つを使用できる(厳密には、後述するレイジングチェインも奥義ゲージを消費する)。

 アルティメットアビリティは、必殺技の強化版。従来の対戦格闘ゲームでいうところのEX必殺技に相当するが、とにかくビジュアルが華々しい。発動時の画面暗転演出も相まって、超必殺技かと思うほどのインパクトがある。また、発動時に一瞬だけ相手をスローにする効果もあり、通常の基本技や必殺技では追撃や反撃できなくてもアルティメットアビリティならギリギリ間に合うといった状況もありそうだ。

動作速度が遅くなる=不利時間や追撃可能時間が延長されるので、その分こちらの攻撃が当てやすくなる

 ただし、強力な分奥義ゲージを50%消費するので、当然ながら乱発はできない。さらに、基本技キャンセルではなく生で出すとヒットorガード時に奥義ゲージがある程度回復する必殺技もあるから使いどころがじつに難しい。立ち回りで使って奥義ゲージを回収しつつ戦局を有利に導くか、それとも連続技に組み込んで確実にダメージを奪っていくか。これもプレイヤーの個性が垣間見える、注目すべきポイントと言える。

無敵時間のある対空系の必殺技は、生で出しても奥義ゲージが回復しないものが多い

 奥義と解放奥義は、いわゆる超必殺技的な存在。どちらも奥義ゲージを100%消費して使用できるが、解放奥義は体力が30%以下のときしか使えない。奥義も解放奥義も威力が高く、ヒットさせれば大ダメージを与えることができる。また、奥義は相手のブレイブリーポイント(以下、BP)を1つ、解放奥義は2つ奪えるのも特徴。詳細については後述するが、BPが減れば減るほど不利な状況が発生してしまうため、相手のスキには奥義か解放奥義を組み込んだ連続技を決めていきたい。

暗転時に何もしていなければガードが間に合うため、連続技に組み込むのが確実
解放奥義は体力が30%以下のときしか使えないものの、大ダメージを与えられるのが強み
奥義ゲージは技を当てたり相手の攻撃を受けたりしたときのほか、前進するだけでも溜まっていく

新要素「ブレイブリーポイント」。勝敗の鍵を握る最重要システムとなるか?

 体力ゲージの上にある緑色の点がブレイブリーポイント(以下、BP)。攻略が進むにしたがって、最も重要な要素となっていくと思われるシステムだ。使い道はレイジングストライクとブレイブカウンターの2通りで、どちらも使用時にBPを1つ消費する。

 また、BPは防御力にも影響しており、BPが残り1つになると20%、ゼロになると50%も受けるダメージが増加する。致命的ではないにせよ、勝敗を大きく左右する要素であることは間違いない。そのため、最終的には「自身のBPをいかに守り、相手のBPをいかに奪うか」という攻防がくり広げられることになりそうだ。

BPは奥義ゲージと同じくラウンドごとの要素。使い切ってもラウンド開始時には3つ付与される
奥義または解放奥義を使うと(ヒットさせる必要はない)BPが1つ回復する

 レイジングストライクは、ガード状態の相手を一定時間無防備にするガードクラッシュ状態を誘発させ、「BP」を1つ減少させる技。通常ヒットした場合はそこから追撃できるほか、コンボ中に発動した場合は相手が浮き上がり、さらに追撃を狙える。

状況にもよるが、画面端なら近距離強攻撃×3から大ダメージの連続技を狙っていける

 また、レイジングストライクをヒットさせたりガードさせたりした際(空振り時は不可)奥義ゲージが25%以上あれば、レイジングチェインへ派生できる。大きく前進しながら攻撃を行なうため、後述のブレイブカウンターで反撃されない限り空振りすることがない。しかも、相手が地上にいるときに当てると地上のけぞり状態になり、さらなる追撃が可能だ。

相手との間合いを詰めつつ攻撃し、当てたあとはすぐに動けるようになるのが強み

 逆に相手からレイジングストライクを仕掛けられたときは、小技で止めるのがオススメ。レイジングストライクのエフェクトを見てから弱攻撃を出せば、攻撃判定が発生する前に止めることが可能だ。そのほか、避けでかわしてしまうのも一手。ちなみにレイジングストライクを避けたときは、専用の演出が挿入される。

レイジングストライク発動時には専用のエフェクトが表示される。落ち着いてみていれば回避可能だ

 ブレイブカウンターは、「BP」を1つ消費し、ガード硬直をキャンセルして反撃をくり出す、いわゆるガードキャンセル行動。確定ダメージ(ブレイブカウンターで与えたダメージでも回復することはない)ではあるものの、この攻撃でトドメはさせない。

威力は極めて低く、ほとんどダメージを見込めない。攻め込まれているときの切り返し専用技と割り切って使おう

 相手の激しい攻めを中断させ、仕切り直しをするために使うなど、使いどころは従来の対戦格闘ゲームと同じだが、ガードクラッシュ状態でも使用できるのが特徴。そのため、レイジングストライクへの反応が遅れてガードクラッシュ状態になっても、BPが1つ以上あれば追撃を回避できる。レイジングストライクへの対策として、BPを温存しておきたいところだ。

勝ちが確定している場面以外では、BPを使い切るような闘い方は避けたい

操作するだけで楽しい! 発売に向けて高まる期待!!

 さて、実際にプレイした所感だが、個人的には非常に面白く感じた。その理由の1つはキャラクター。原作が「グラブル」なだけあって、じつに魅力的なキャラクターが揃っている。とくに女性キャラクターは王道系の清楚なヒロインあり、悪女風の妖艶な弓使いありと、まさに百花繚乱。そのため、ただキャラクターを操作しているだけでも十分に楽しい。

全28キャラクター中、ベータテストの段階で使用できたのは26キャラクター
南南西の守護神・アニラ(2P側)。極端に強いわけではないが、新キャラクターということもあり使っている人がとにかく多い印象を受けた

 筆者がまずプレイしたのはジータ。ゲーム内における使いやすさの指針では★5つ(最大)。オーソドックスな必殺技が揃っており、基本技にもクセがない。グランと並んで、本作の入門にぴったりのキャラクターだ。

 ジータで本作の要点をある程度掴んだあとは、メーテラへ移行。弓を使った遠距離戦が得意なキャラクターで、相手との間合いを離しながら戦う。ひっきりなしに遠距離攻撃を繰り出せるので、弾撃ちの楽しさがある。

ジータの必殺技には飛び道具、対空技、突進技が揃っており、どんな間合いでも戦えるのが強み
メーテラは遠距離から矢を放ち、相手を近づけさせないのが基本戦術。弾撃ちのセンスが問われるキャラクターだ

 その後は、シスを使用する。機動力と手数を活かし、接近戦でラッシュをかける戦い方がメイン。ただし、どうしても突進系の必殺技の六爪無斬に頼りやすいので、攻めが単調にならないよう注意する必要がある。

シスの弱六爪無斬は弱攻撃からつながり、ガードされても反撃は受けない。突進力も高く、相手を画面端に追い込みやすい

 そして1番気に入ったのはローアインだ。仲間のエルっちとトモちゃんや戦争兵器を使った波状攻撃も面白いが、何より奥義と解放奥義がインパクトがありすぎる。奥義はエルっち・トモちゃんと協力して運動会の騎馬戦のような状態へ移行。騎馬状態のときはガードできなくなるが、スーパーアーマーの効果でのけぞることがなく攻めていける。

 一方、解放奥義は女神・ユグドラシルを召喚。大地を隆起させたり稲妻を発生させたりする攻撃を使い、相手の体力を削りまくれる。とにかく発動するだけでも楽しいので、一度はプレイしてもらいたいキャラクター・ナンバーワンだ。

エルっちは下段、トモちゃんは中段で攻撃。発生が遅いので、ガードを揺さぶるというよりも相手の行動を制限する目的で使う
原作のシナリオイベントにも登場したキャタピラさんを呼び出して攻撃する必殺技
騎馬状態中の強は中段、特殊技は下段になっている

 また、奥義や解放奥義をヒットさせたときの演出は、筆者が過去に見た数多の対戦格闘ゲームのなかでも抜きん出ている。単に演出が優れているというだけでなく、技の内容がそれを使うキャラクターにピタリとマッチしているのが素晴らしい。これには開発陣の高い実力に一驚を禁じ得ない。

グランやジータの解放奥義で登場するバハムート。原作のファンには感動ものの演出ではないだろうか
ローアインの解放奥義で登場する「ゆぐゆぐ」こと女神ユグドラシル。連続技には組み込めないが、最後のケズりには超強力

 もう1つの理由は分かりやすさだ。一般的な対戦格闘ゲームでは、各キャラクターごとに異なるコンボルートを覚えなければお話にならない。しかし、本作では攻撃ボタンを押すだけでコンボになるダブルアタックやトリプルアタックが用意されている。そのため、対戦格闘ゲームのノウハウさえ知っていれば本作に対する知識がなくとも、それなりに戦えてしまうのだ。

近距離でボタンを連打するだけで基本技のコンボを出せる。もちろん、必殺技キャンセルも可能だ

 必殺技のコマンドも、各キャラクターで共通しているものが多い。とくに奥義と解放奥義は、下・右下・右を入力するいわゆる波動拳コマンド+アビリティボタンorアビリティボタン+特殊技で統一されているので、とっさのときにも戸惑わずにすむ。また、アビリティボタン1つで出せる必殺技群も、対戦格闘ゲームに馴染みのない新規プレイヤーの獲得に一役買っていると言えよう。

魅力的なキャラクターが多ければ多いほど、いろいろと試してみたくなるのが人の常
コマンドが共通しているため、新しいキャラクターでもとっさの反撃に奥義や覚醒奥義を出しやすい

 筆者はほぼ毎日ログインしていたが、曜日を問わずマッチングの頻度はかなり高かった。また、対戦中にラグを感じた事は1~2度しかなく(海外のプレイヤーかも?)他の対戦格闘ゲームとくらべても極めて快適にプレイできる。

 ただし、マッチングしたにもかかわらずオンライン対戦へ移行せず、そのまま元のモードにもどってしまうことが何度もあった。おそらくは不具合だと思うが、こちらについてはぜひ改善していただきたい。それを除けば、ゲームが面白いだけでなく、環境面でも非常に優秀な作品と言える。

 製品版にはスタンダードエディションやデラックスエディションのほかに無料のフリーエディションも用意されており、主人公のグランを含む4キャラクターを使ってオンライン対戦を楽しめる。本家「グラブル」のファンも、格闘ゲーマーも、そして本記事を読んで興味を持った方も、ぜひ一度プレイしてみてほしい。きっと本作の魅力にお気づきいただけることと思う。そして、一緒に本作を盛り上げていけることを心から願う次第である。