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【11月マンガ新刊】「幼稚園WARS」や「能面女子の花子さん」など11月発売予定のオススメコミックスを紹介!

衝撃的な展開の「カードキャプターさくら クリアカード編」は完結間近!

 2023年も11月に入りだんだんと暮れが見え始めた。本記事では11月にコミックスの最新刊が発売される注目の4作品についてピックアップして紹介する。

 今回は主人公が女の子の作品をテーマに、11月に発売される作品の中から筆者が好きな4作品をピックアップした。殺し屋で魔女とまで呼ばれたが、めっぽうイケメンに弱いリタが主人公の「幼稚園WARS」、家族を襲ったクマを仕留めるために猟を続ける小坂チアキが主人公の「クマ撃ちの女」など個性的な主人公が揃っているが、どの主人公たちもとても魅力的に描かれている。

 本記事ではこれら4作品の見どころと、前巻の大まかなあらすじをまとめている。一見ホラーの出で立ちだが、性格は前向きで鋼のメンタルを持つ女子高生の日常を描く「能面女子の花子さん」や、もうすぐ完結を迎える「カードキャプターさくら クリアカード編」など、オススメ作品4つを紹介していく。なお、発売済みの巻のネタバレをやや含むため注意してほしい。

幼稚園WARS

出版社:集英社(ジャンプ+)
著者:千葉侑生
最新刊:6巻(11月2日発売予定、価格:715円)

幼稚園WARS 6巻

 世界一安全な幼稚園に勤める幼稚園教諭のリタは元伝説の殺し屋。捕まって投獄される代わりに国の極秘任務を与えられ、1年間子どもたちを守り切れば自由の身になれる。世界中の要人やハリウッドスターなどの子どもたちが通うこの幼稚園では頻繁に殺し屋や誘拐犯がやってくる。減刑と引き換えに子どもたちを守るために登用された特殊教諭たちが日々奮闘する物語となっている。

 日々の業務をこなしながら、園児たちを守り、時には園内にいる保護者たちにバレないように刺客たちを倒していく“特殊教諭”たちだが、それぞれのキャラクターが立っているのも本作の魅力だ。伝説の殺し屋なのにイケメンが好きすぎて戦闘の途中でも心が揺れてしまうリタを始め、リタに助けられたことでリタにべた惚れだがツンデレな態度をとる元詐欺師のダグ、お兄ちゃんが大好きで、元爆弾使いの殺し屋のハナなど個性がとにかく強い。また、ガッツリとした戦闘を描きつつ、どこか緩い空気が流れているのも本作の特徴だ。ドキドキハラハラもありながら、戦闘の最中にふふっと笑みがこぼれる独特な作品となっている。

前巻のあらすじと次巻への期待

 園長先生の命を受けて必要な物を受け取りに浅草の武器屋に向かうリタとたんぽぽ組の教諭たちは、浅草の殺し屋軍団の襲撃を受ける。一緒についてきてしまった園児のライラを守りながらド派手な戦闘を繰り広げていく。そんな中で教諭と殺し屋がかなりしょうもない事で張り合ってみたり、リタがイケメンに気を取られ過ぎて戦闘に集中できなかったりと真剣な戦いとは思えない展開にも見える。想像以上にカオスなバトルが繰り広げられるが、そのバトルはリタのちょっとした甘ちゃんな対応で終息する。そんな浅草の武器屋で手に入れたのは血の匂いで悪人を探知して捕まえる10匹の最強プードルと複数の武器。そしてリタとダグの恋模様は発展するのかといった内容が5巻では描かれた。

 6巻では手に入れた武器を携えて帰るリタたちがお遊戯会までの2週間の間にどんな刺客が現われるのか、リタとダグに進展はあるのかなど幼稚園教諭として、さらには人間模様の描き方のどちらも非常に楽しみだ。

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クマ撃ちの女

出版社:新潮社(くらげバンチ)
著者:安島薮太
最新刊:12巻(11月9日発売予定、価格:726円)

クマ撃ちの女(画像は1巻のもの)

 エゾヒグマを狙う兼業猟師の小坂チアキを主人公に、彼女に密着取材をするライター伊藤カズキの視点で序盤の物語が進んでいく本作。

 本作ではチアキと伊藤を通して北海道で行なわれている狩猟がどのようなものなのかがかなり細かく描かれている。山での歩き方や装備で必要な物、気を付けるべきことなど基本的なことから銃を撃つときのテクニカルな部分に至るまで描かれており、リアリティを感じられる。

 また本作の主人公チアキはクマを撃つということに執着しており、そこにはクマを撃つのが好きという感情と、家族を襲ったクマを仕留めたいという2つの感情が入り乱れている。自然の中で生きる動物を仕留めて食べることが好きというだけでなく、少し負の感情が入ることでかなり人間らしさを感じる人物だ。少し癖のある主人公だが、物語を読み進めてチアキの人となりがわかってくるとだんだんとチアキのことが身近な人間に感じられるようになる、人間味を感じられるキャラクターが魅力的だ。

前巻のあらすじと次巻への期待

 クマの狩猟の最中に仲違いしたチアキと弟子の中野。そんな折、クマがチアキたち目掛けて襲ってくると思いきや、クマの後ろには雪崩が起きていた。雪崩から逃げるクマごと飲み込まれてしまったチアキと中野だが、中野はいち早く雪崩から抜け出し、チアキを探している間にクマが雪崩の雪の中から出てきてしまう。師匠のチアキも猟銃もない中野が死ぬかもしれないという恐怖とクマに立ち向かい、すんでのところでチアキを掘り起こしクマを狩ることに成功し何とか2人とも命拾いする。そんな時雪崩を起こした張本人の宮下が2人のもとへと訪れる。

 その後、雪崩に巻き込んだお詫びとして鹿がたくさんいるポイントを教わり、強制的に猟に連れて行かれる2人。仲違いした中野の姿と伊藤に呆れられた自身の姿を重ねていたチアキは鹿を撃って得たお金で伊藤に会いに行くと決意する。

 11巻では単身東京に出てきたチアキが伊藤とどういった会話をするのか、ここから2人の進展はあるのかといったところが楽しみだ。クマにばかり執着していたチアキが中野を見て自分の行動を振り返って成長していく姿があるのか、そうではないのかとてもワクワクする。

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能面女子の花子さん

出版社:講談社(コミックDAYS)
著者:織田涼
最新刊:9巻(11月13日発売予定、価格:759円)

能面女子の花子さん(画像は1巻のもの)

 家庭の事情で能面を付けて生活している女子高生の泉花子(いずみはなこ)が主人公の本作。能面にブレザーという異端な出で立ちからクラスメイトから遠巻きにされてしまった花子さんだが、高校で出会った江口香穂(えぐちかほ)とともに楽しい高校生活を送ることになった。持ち前の前向きでキュート性格と懐の大きさと鋼のメンタルで、周りを少しの恐怖と優しい気持ちにさせていく花子さん。そして、人の恋愛には首を突っ込むけど、自分のこととなると少し鈍い花子さん。素顔は見えないけれど、能面からでもめちゃくちゃ表情と感情がわかるとてもかわいらしい花子さんの青春ラブコメを描いた本作。クラスメイト達や花子さんの幼馴染の相川賢司(あいかわけんじ)や能楽師で花子さんの半ストーカーの松田三郎(まつださぶろう)など、様々キャラクターたちとのほのぼのとした高校生らしい日常が描かれている。

 本作は花子さんという少し異端な姿をした彼女が、飄々としながらも、自身を客観視して周りの人に接していくという高校生にしては達観しすぎている姿勢を垣間見ることができる。達観しているが、等身大の女子高生として生活を楽しんでいる姿はかわいらしくも感じる。花子さんが作りだす不思議だけど等身大の日常生活が、読む人間をほのぼのさせてくれるのが本作の魅力だ。

前巻のあらすじと次巻への期待

 進級した花子さんのクラスの担任に誰がなるかが描かれ、先生たちはちょっとだけ花子さんや能面、能楽に詳しくなって花子さんを逆に怖がらせる。また、2年生に進級したことで後輩ができ、新しいキャラクターたちが続々と登場してくる。8巻では花子さんの学校の仲間たちが花子さんと積極的に絡んでいく。能面は怖くても、少しずつ学校の仲間たちに受け入れられている姿を見るとちょっと嬉しさも感じた。

 進級して少しずつ花子さんの周りの環境も変わってきたので、9巻ではより高校2年生を楽しんでほしいなと思う。なお、9巻は最終巻であることが予告されており、どんな展開が待っているかわからないが、花子さんのほのぼのとした雰囲気と鋼のメンタルで乗り切ってくれると思うので次巻も非常に楽しみだ。

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カードキャプターさくら クリアカード編

出版社:講談社(なかよし)
著者:CLAMP
最新刊:15巻(11月13日発売予定、価格:550円)

カードキャプターさくら クリアカード編 15巻

 「カードキャプターさくら クリアカード編」は1996年から2000年まで「なかよし」で連載されていたカードキャプターさくらの続編の物語となる。「カードキャプターさくら」は家の書庫にあった魔法のカード「クロウ・カード」が入っていたはずの本を見つけた主人公の木之本桜(きのもとさくら)がカードを回収するために奮闘していく物語となっている。

 その物語から数カ月の物語となる本作は、さくらが全てのカードを自身の魔力で「さくら・カード」にしたものが何の力も持たない透明なカードになってしまうところから物語が始まる。

 さくらの手元から消えてしまったさくら・カードの謎と新たにさくらの周りで起こる謎の怪現象、そして新しい魔法カードの出現と謎めいたことばかり起こる。「カードキャプターさくら」の時にともに奮闘した李小狼(リシャオラン)や親友の大道寺知世(だいどうじともよ)とともに原因不明の事象と対峙していく。そんな中転校生の詩之本秋穂(しのもとあきほ)とその世話役のユナ・D・海渡(ゆな・ディー・かいと)がさくらたちの前に現われる。さくらとよく似た秋穂と海渡の目的は何なのか、そして他の登場人物も何かを知っているような素振りを見せるが、あえてさくらには告げず、その時を待つ理由は何なのか。前作同様もしくはそれ以上に謎めいた物語となっている。

 本作は20年以上前に連載されていた「カードキャプターさくら」の続編であり、さくらたちが小学生から中学生へと成長したことで、周りが見え始めたことと自分自身を理解し始めたことで出てくる悩みや葛藤なども見ることができる。少しずつ成長していくさくらたちを見ることができるのも本作の魅力だ。

前巻のあらすじと次巻への期待

 14巻では遂にさくらと秋穂が主演の演劇舞台が始まる。そんな中で黒幕である海渡が動き、舞台上からさくらは別の世界へと迷い込んでしまう。迷い込んだ世界では演劇舞台になぞらえて出てくる登場人物たちの言葉が、少しずつさくらをこの物語の真実へと誘っていく。

 海渡は禁忌の魔法を使うために必要なカードを欲しており、さくらに作らせるために、言葉巧みに誘う。そしてさくらは禁忌の魔法に必要なカード「交換」を作ってしまう。海渡は秋穂を救うため禁忌の魔法を発動し、秋穂と海渡の「魔法具」と全ての記憶が変わったことで秋穂が一族から追われることがなくなったことで海渡はそのまま消滅してしまう。

 14巻で物語は一気に終息へと向かっていく。次回発売の16巻で本作は完結となっているが、14巻の末でかなり衝撃的な展開が起こっており、さくらたちがこのままの状態で進んでしまうのか、それとも海渡の使った禁忌の魔法を巡ってもうひと展開あるのか、どんな結末が待っているのか非常に楽しみだ。

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まとめ

 今月は新刊コミックスの中から女の子が主人公の4作品をピックアップした。主人公の精神的な成長が楽しみな「クマ撃ちの女」やどういったエンディングを迎えるのかハラハラする「カードキャプターさくら クリアカード編」などドキドキハラハラするものもあるが、他にもたくさんの魅力的なコミックスが11月も発売されるので、興味がある方はいろいろ手に取ってみてほしい。