
今回は、陶芸文化に興味がある方にぴったりのドキュメンタリー映画「ちゃわんやのはなし 四百年の旅人」をご紹介します。この映画は、朝鮮をルーツに持つ薩摩焼の名跡・沈壽官家の420年以上にわたる歴史を背景に、日本と韓国における陶芸文化の発展と継承の道のりを描いています。

1598年、豊臣秀吉の2度目の朝鮮出兵の際、多くの朝鮮人技術者たちが西日本の各藩に連れてこられました。その後、朝鮮をルーツに持つ薩摩焼、萩焼、上野焼などの陶工たちは、数々の苦難を乗り越えながら、その技術と伝統を現代に至るまで受け継いできました。本作では、薩摩焼の十五代沈壽官、萩焼の十五代坂倉新兵衛、上野焼の十二代渡仁といった陶工たちをはじめ、関係者や専門家へのインタビューを通じて、日本と韓国の陶芸文化の交わりの歴史を見つめ直します。
「フラガール」などの李鳳宇が企画・プロデュースし、フリーの助監督として数々の作品に携わってきた松倉大夏が長編初監督を務めました。俳優の小林薫がナレーションを担当し、その落ち着いた声が映画の雰囲気を一層引き立てています。
この映画は、陶工たちの技術と伝統を現代に受け継ぐための努力や苦労、そしてその中で生まれる美しさを丁寧に描いています。登場人物たちも制作者たちも、生きてものをつくり残していく大変さと覚悟の中でまっすぐ取り組んだ結果生まれたものの美しさが見られる映画です。変なイデオロギーや同情心とは無縁で、ただただ鹿児島にちゃわんを見に行きたいと思わせられる作品です。
「ちゃわんやのはなし 四百年の旅人」は、日本と韓国の陶芸文化の歴史に興味がある方はもちろん、伝統を受け継ぐことの意味や、その背後にある人々の努力に触れたい方にぜひ見ていただきたい映画です。この映画を通じて、陶芸の世界に新たな視点を持つことができるでしょう。ぜひ劇場でご覧ください!
2023年製作/117分/G/日本
配給:マンシーズエンターテインメント
劇場公開日:2024年5月18日