2024年10月2日に開館してから、ずっと行ってみたいと思っていたのですが、九州から京都までという距離もあり、チケットもずっと予約で一杯で、ようやく、という感じです。
ちなみに平日休みの日に前日京都に1泊、翌日にミュージアムに行って帰宅、というスケジュールで単独行。
いまでも、とくに土日はなかなかチケットが取れないんですよね。

電子チケットを提示して手荷物検査を受け、屋外の土管が並んだ記念撮影スポットを経て、ミュージアム内へ。
第1展示棟の2階には過去のニンテンドーのゲームが機種別に展示してある「ギャラリー」があり、1階は最新の技術を使ったゲームで遊べたり、昔のニンテンドーハードのゲームを7分間体験できたりする「体験展示」となっています。
館内では「1階の体験展示は混雑が予想されるので、先に回ることをおすすめします」というアナウンスがされていたので、まずは1階から。平日の朝イチに行ったので、待ち時間なしで遊べたのですが、お昼近くに第1展示場を出るときには長い展示で30分待ちくらいの行列ができていました。
こういうアトラクションって、並ばずに遊べると嬉しい一方で、「本当にこれ、面白いのかな?」と疑問になってしまうし、ここで並ぶ時間で、ニンテンドーミュージアムそのものの所要時間がかなり変わってきそうです。
入場者には、それぞれ10コインが付与されて、そのコインの範囲で遊ぶ(体験する)ことができます。
ちなみに僕は、
ザッパー&スコープSP(4コイン)×1
ウルトラマシンSP(2コイン)×1
ウルトラハンドSP(1コイン)×1
ゲーム&ウオッチSP(1コイン)×1
ニンテンドークラシック(1コイン)×2
で10コインを使いました。
僕がいちばん楽しかったのは過去のハードのゲームを7分間だけプレイできる(昔、駄菓子屋とかデパートのゲームコーナーにありましたよね)、ニンテンドークラシックなのですが、あらためて考えてみると、ニンテンドーオンラインに加入していれば、家のSwitchでタダでいくらでもできるんですよね。
にもかかわらず、ファミコンの『アーバンチャンピオン』で、相手を蓋の空いたマンホールに放り込むのはすごく楽しい。時間があれば「パトカーが来て警察に相手が捕まるパターン」もやりたかった。
テレビゲームって、40年前のゲームでも、当時と同じものが自宅にいながらすぐに遊べる状況になっているのは本当にすごい。
体験展示について、やってみたものを率直に言うと、「ザッパー&スコープSP」は、『ガンバレット』など、ゲームセンターにある射撃ゲームの画面が大きいだけのもの」という感じで、あまり攻略要素なし。
これをやると、ディズニーシーの『トイ・ストーリー・マニア』は乗り物の動き+何度もプレイすることによって高得点が取れるようになる攻略要素など、完成度が高いんだなあ、と痛感します。
入場料や待ち時間が全然違うので、比較しても仕方ないのかもしれませんが。
4コインは多いよなあ、とは思うけれど、他の展示と比較すると、ここに来たら、これを1回はやっておくのが正解かな、とは思います。
ウルトラマシンSPは、部屋のなかでやるバッティングマシーンみたいな感じなのですが、僕はバーチャル映像で出てきたボールを打つのだと思い込んでいました。
プレイしてみると、小さなピッチングマシンから射出される小さなプラスチックっぽいボールをスポンジのバットで打つ、という、何を体験させたいんだかよくわからない展示でした。
ボールがバットに当たってもミートしている感覚がふわっとしていてボールはそんなに飛ばないし、爽快感がない。
ウルトラハンドSPは、初見でやるにはマジックハンドの操作が難しい。テレビゲーム世代の子どもにとっては、手を動かすゲーム体験、という意味では貴重なのかもしれません。僕は「難しくて、ストレスたまるなあ」という感想です。
ゲーム&ウオッチSPは、プレイヤーの位置情報を認識する技術はすごいとは思うけれど、ゲームとしてはあまり面白くはないので、1回やればもう十分でした。
ひとりだと「ラブテスターSP」とかはやりにくいですよね(できるのか?)
あとは、「しぐれでんSP」をやっておけばよかったなあ、と思ったのですが、体験展示の中央にあって、けっこう目立つのでひとりでやる勇気が出ませんでした。
「体験展示」に関しては、ニンテンドーの歴史的な資料やゲームのパッケージ、企画書などの展示などではあまりにも味気ないということでつくられた「おまけ」「サービス」みたいなもので、これを目当てに訪問するほどのものではないです。
驚くような最新技術が使われているわけではなく、爽快感があるアトラクションもありません。
任天堂らしいといえばらしいのだけれど。
テーマパークや大型ゲームセンターみたいなものを想像して子どもたちと行くと、ちょっとがっかりさせてしまうかも。

そのあと、2階の「ギャラリー」へ。
こちらは、45年くらい任天堂とともに生きてきた僕にとっては、すごく楽しく、懐かしい空間でした。
昔のゲームのハードや、ゲームソフトのパッケージが並んでいるのはまさに壮観(任天堂以外のゲームも主要なものは展示されています)。
ずっとテレビゲームをやってきた僕は、昔のゲームのデモやソフトのパッケージを見ているだけで、そういえばこのゲーム、あいつとずっとやっていたなあ、とか、このゲームをやっていた頃、あんなことがあったなあ、など、忘れていた記憶がどんどん蘇ってきたのです。
ああ、このゲーム「借りパク」されたままだなあ、とかも。
ゲームそのものの思い出だけではなく、自分の人生も一緒に追体験しているような感じでした。
ゲーム&ウォッチが世に出たときには、本当に欲しかったんだよなあ、親に「これは時計だから!」と主張してなんとか買ってもらおうとアピールしたのを思い出しました。
マイコンも「これからはコンピューターの時代だから!勉強に使えるから!」とプレゼンして、買ってもらったあとは、延々と光栄の『三國志』で遊び、マイコン雑誌のプログラムを夜ふかしして入力し続けていたんだよなあ。親の立場になってみると、きっと僕の親も遊びにしか使わないことは「お見通し」で買ってくれたのでしょうね。
何年か前に復刻版が出て、家にもあるはず(パッケージを開けずに積んである)ゲーム&ウォッチの実機をみて、「こんなに液晶画面小さかったのだなあ」と感慨深いものがありました。
こんな小さな画面の、あんなに単純なゲームに、小学生だった僕は魅了されていたのです。
なぜか、ゲームウォッチの『ボール』をはじめて友達の家で遊んだときにご馳走してもらった『出前一丁』の味まで思い出してしまった。あのとき、はじめて友達の家でご飯を食べさせてもらったんだよなあ。
うちの親はあまりインスタントラーメンを食べさせたがらなかったので、すごく新鮮な体験だったのです。
ギャラリーに並んでいるゲームのパッケージがちょっと汚れていたり、箱のフチがつぶれていたりするのをみると、このゲームやパッケージが辿ってきた時間を想像せずにはいられません。
このギャラリーでケースに入れられているゲームたちは、僕が子どもの頃には「そこらへんにゴロゴロ転がっているもの」だったり、「ゲームショップのワゴンセールに雑に放り込まれているもの」でした。
自分にとって「日常」だったものが、いつのまにか「歴史」になり、「貴重なものとしてショーケースに入れられるもの」になってしまった。
半世紀近く生きる、というのは、こういうことなのか……
今年の9月にできた『アートギャラリー』で、ゲームキャラクターの原画や設定資料が見られるのも興味深いものでした。
『スプラトゥーン』のキャラクターの髪型に細かい注釈がついていたり、『スーパーマリオブラザース』の企画書(設定書?)に、「画面はマリオの移動速度にあわせて右にスクロールしていく、一度右に進むと左方向(進行方向と逆)にはスクロールせず、後戻りはできない」というような説明が書かれているのを読んで、「ゲームをつくる」というのは、プレイする側が当たり前のように操作していることも、ひとつひとつルールを決めて「設定」しているのだ、ということを痛感しました。
以前、任天堂で企画開発をされていた方が書いた本を読んだことがあります。
僕が最初に『スーパーマリオブラザーズ』で遊んだとき、WORLD1-1で、「まさかこの土管に入れたりして……」なんて↓を押したら、本当に入れて驚いたのを思い出します。
2025年には「そりゃ、土管に入れるのなんて当たり前だろ」とみんな思っているでしょうけど、あの時代には容量やハード性能の制約も大きくて、あの土管のような存在は「背景、あるいは障害物」だというのが当たり前だったんですよね。
任天堂の歴史を見ていくと、すべてがうまくいったわけではなくて、『ロボット』とか『バーチャルボーイ』のような「野心的な(商業的には)失敗作」が数多あることも痛感します。
いまの任天堂は、株価も上がり、世界に冠たるエンターテインメント企業となりました(ニンテンドーミュージアムには外国人観光客もたくさんきていて、それぞれの国の言葉でニンテンドー愛を語り合う声があちこちから聞こえてきました)。
その一方で、あまりにも大きな企業になってしまったがゆえに、「挑戦して失敗することへの恐れ」が、以前よりも大きくなってきてもいるのでしょう。
「ハズレが少ない」のは嬉しいけれど、昔のような「ホームランか三振か」みたいな野心的なハードもみてみたい、そんな気もしています。
ワークショップは体験できず、カフェは正直、やや値が張る普通のハンバーガーショップ(写真撮ってくれるけど)でした。
ワークショップなしだと、体験展示が空いていれば、ゲームソフトのパッケージにノスタルジーを感じるオールドゲーマーでなければ所要時間は2時間くらい、じっくり眺めたい、体験展示が混雑している場合は3~4時間。ワークショップまで体験するのであれば5~6時間くらい、といったところでしょうか。
ただ、あくまでもこの施設は「ミュージアム」であって、「テーマパーク」ではなく、子どもたちを遊ばせるためというより、大人が懐かしむため、任天堂とテレビゲームという文化を後世に遺すためのものだと思います。
立地がもっと行きやすければ、と思っていたのですが、京都駅から電車1本+徒歩で10分未満で着けるので、イメージほど「不便な場所」ではなかったです。周辺に他の娯楽施設はないけれど。
あと、ショップはマリオやゼルダのようなゲームキャラクター関連の商品は少なくて、歴代のゲームのハードをモチーフにしたキーホルダーやTシャツ、文具などが多い印象でした。コントローラー型大型クッション欲しかったけど、電車移動と1万1000円という価格で断念。
全国各地に展開しているオフィシャルストアとは違うラインナップを意識しているようですが、マリオ40周年記念Tシャツとか以外は、「人を選ぶ(ニンテンドーの歴代ハードに思い入れが強い人向け)」だと思います。
最後に、少しまとめてみると、僕自身にとっては「来てよかった、1年に1回くらいはノスタルジーに浸るために来たい」施設でした。
ただ、あくまでも「ミュージアム」であって、「テーマパーク」ではないし、エンターテインメント性を過度に期待すると物足りないのではないかと。
関西圏で「遊びたい」のなら、優先順位はUSJのほうがずっと高そう。でもUSJはオッサンには疲れるからなあ。
とりあえず、一度は行ってみたかった『ニンテンドーミュージアム』。行けてよかった。
そして、僕にとってのゲームは「娯楽」であるのと同時に「人生の伴走者」でもあることをあらためて感じました。
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