

「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」などの映画音楽を手掛けた映画音楽界の巨匠ミシェル・ルグランにフォーカスしたドキュメンタリー「ミシェル・ルグラン 世界を変えた映画音楽家」(2025)を今年オープンしたミニシアター「オットー(OTTO、さいたま市大宮区)」で見てきた。

ミニシアター「OTTO」の1階のカフェ・カウンター
映画は、ミシェル・ルグランの軌跡を辿りつつ、2019年1月に86歳で逝去した彼が、その前月にフィルハーモニー・ド・パリで行われた「人生最後のコンサート」に向かう姿に密着。
映画界、音楽界の大物との交流も深く、オーソン・ウエルズ、マイルス・デイヴィス、バーブラ・ストライサンド、クインシー・ジョーンズ、クロード・ルルーシュ、ジャン=リュック・ゴダール、シャルル・アズナブール、ジーン・ケリー、アニエス・ヴァルダ、スティング、ナナ・ムスクーリ、コスタ・ガヴラスら45名以上の音楽家や映画監督、家族たちの証言を交えたドキュメンタリー作品が改めてルグランの偉大さを浮き彫りにしている。
ルグランの創作への厳格な姿勢、栄光の裏に隠された挫折と苦悩など、知られざる素顔が描かれている。
若いころからジャスに造詣が深く、80歳を超えてもピアノを弾く姿が感動的だった。天才的なピアニストでもあり、「華麗なる賭け」の主題歌「風のささやき」も歌い、歌手としても素晴らしかった。友人から「歌手でもあったんですね」と聞かれて「(私も)初めて知った」と冗談ぽく語っていた。
「華麗なる賭け」
アメリカ映画「おもいでの夏」や「愛のイエントル」などもルグランの作曲だ。うーん、クール。
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「シェルブールの雨傘」は画期的で、セリフの代わりにすべてが歌。まるでオペラのレチタティーヴォのよう。映画では「シェルブールの雨傘」「ロシュフォールの恋人たち」「華麗なる賭け」「太陽が知っている」「ロバと王女」「レ・ミゼラブル 」をはじめ、ルグランが携わった30作以上の名場面が登場する点も見どころだった。

「シェルブールの雨傘」を見たルグランのある友人は「映画を見始めて3分で(劇場を)出ようと思ったが、最後まで引き込まれた」という。またルグランは、楽譜の途中に「ここでハンカチ1枚、さらにここでハンカチをもう一枚…」と関係者に言うと、ハンカチが何枚あっても足りないと笑わせた。
「ラ・ラ・ランド」のデイミアン・チャゼルは「〖シェルブールの雨傘〗を見終わったとき、僕の人生は一変していた」と語っているほど影響をあたえている。
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2年前に公開されたエンニオ・モリコーネのドキュメンタリー「モリコーネ 映画が恋した音楽家」もそうだったが、生前の内に様々な当人の苦悩や業績などについて業界関係者のインタビューや本人の言葉などを映画として残したのは記録としても貴重で「ルグラン」も知られざる一面がわかりよかった。
特に、若き日の映像や音声、個人的なアーカイブなど、貴重な秘蔵映像が豊富に盛り込まれている。





<手がけた映画音楽>(すごすぎる!)
女は女である Une femme est une femme (1961)
5時から7時までのクレオ Cléo de 5 à 7 (1961)
エヴァの匂い Eva (1962)
女と男のいる舗道 Vivre sa vie: Film en douze tableaux (1962)
シェルブールの雨傘 Les Parapluies de Cherbourg (1963)
はなればなれに Bande à part (1964)
ポリー・マグーお前は誰だ Qui êtes-vous, Polly Maggoo ? (1966)
タヒチの男 Tendre voyou (1966)
ロシュフォールの恋人たち Les Demoiselles de Rochefort (1967)
愛すべき女・女(め・め)たち Le Plus vieux métier du monde (1967)
華麗なる賭け The Thomas Crown Affair (1968)
太陽が知っている La piscine (1969)
大反撃 Castle Keep (1969)
殺意の週末 The Lady in the Car with Glasses and a Gun (1970)
ロバと王女 Peau d'Âne (1970)
嵐が丘 Wuthering Heights (1970)
恋 The Go-Between (1971)
おもいでの夏 Summer of '42 (1971)
栄光のル・マン Le Mans (1971)
ビリー・ホリデイ物語/奇妙な果実 Lady Sings the Blues (1972)
三銃士 The Three Musketeers (1973)
オーソン・ウェルズのフェイク Vérités et mensonges (1974)
うず潮 Le Sauvage (1975)
ハンター THE HUNTER (1980)
アトランティック・シティ Atlantic City (1980)
愛と哀しみのボレロ Les Uns et les autres (1981)
結婚しない族 Best Friends (1982)
ネバーセイ・ネバーアゲイン Never Say Never Again (1983)
愛のイエントル Yentl (1983)
想い出のマルセイユ Trois places pour le 26 (1988)
スイッチング・チャンネル Switching Channels (1988)
ガスパール 君と過ごした季節 Gaspard et Robinson (1990)
プレタポルテ Prêt-à-Porter (1994)
レ・ミゼラブル Les Misérables (1995)
リュミエールの子供たち Les Enfants de Lumière (1995)
マドレーヌ Madeline (1998)
DISCO ディスコ Disco (2008)
100歳の少年と12通の手紙 Oscar et la dame rose (2009)
チャップリンからの贈り物 La Rançon de la gloire (2015)
風の向こうへ The Other Side of the Wind (2018)

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