
映画「レッド・スパロー」(原題:Red Sparrow、2018)を見る。「ハンガー・ゲーム」シリーズのヒロイン、カットニス役でトップスターとしての地位を不動にした女優ジェニファー・ローレンスが、同シリーズのフランシス・ローレンス監督と再びタッグを組んだスパイ映画。
「世界にひとつのプレイブック」(2012)では22歳という若さで第85回アカデミー賞主演女優賞を受賞。これはマーリー・マトリンに次いで史上2番目に若い受賞者だった。
2013年の映画「アメリカン・ハッスル」ではジェニファーの演技は絶賛され、ゴールデングローブ賞助演女優賞受賞、英国アカデミー賞助演女優賞受賞、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。
「レッド・スパロー」では、175センチの長身でナイスバディを惜しげもなく見せている。中身は「裏切りのサーカス」に近い。いわゆるモグラ(スパイ)探し。


ロシアの諜報部員・通称「スパロー」役を務め、裏切りによってプリマドンナの夢を奪われ、生活苦に追い込まれた主人公がスパイとして危険な任務に身を投じる物語を悲壮感たっぷりに演じている。
体当たり演技というのが陳腐に聞こえるほど、すさまじいシーンが続く。痛いシーンのオンパレード。最初のバレエで怪我を負うところもイタイ。「R15+」指定ということでジェニファー・ローレンスなどの際どいシーン(ヌードや拷問)も多い。
タイトルの「レッド・スパロー=赤い雀」の雀=スパローとはスパイの隠語。で赤いとはおそらくロシアのこと。役割は敵国の諜報員にハニー・トラップを仕掛け、自らの美貌と肉体を駆使してターゲットを誘惑し、巧みな心理戦で相手を意のままに操ること。
原作小説を執筆したジェイソン・マシューズは元CIA諜報部員。数々の国家安全保障に関わる任務をこなしてきたベテランのスパイ活動家。そのキャリアは小説の中にも活かされていて非常にリアルな作品に仕上がっている。
共演は、シャーロット・ランプリング、ジェレミー・アイアンズといったベテラン勢がわきを固めている。
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ロシア・モスクワにあるボリジョイバレエ団のトッププリマであるドミニカ・エゴロア(ジェニファー・ローレンス)はある晩の公演中に足を捻って骨折する大怪我を負ってしまう。

手術を受けたものの以前のように踊る事が難しくなり、バレリーナとしての道を断念せざるを得なくなったドミニカだったが、認知症の母親の介護をしながら活動していたため、これまでの裕福な生活を手放す現実も重なり精神的にも追い詰められていた。
そんな時、ドミニカの元に叔父でありロシア情報庁の幹部でもあるワーニャ・エゴロフ(マティアス・スーナールツ)が訪れてくる。
訪問してきたワーニャから渡されたレコーダーには、同じボリジョイバレエ団のメンバーがトッププリマへと上がるため、ドミニカに怪我をさせるための工作を仕組む打合せの会話が記録されていた。
怒りと悲しみに打ちひしがれたドミニカは感情の赴くまま元パートナーであるコンスタンティン(セルゲイ・ポルーニン)の元へ向かうと、そこでコンスタンティンと新たなパートナーである女性が愛し合ってる様子を目撃する。
現場を見たドミニカは全てを察し、我を忘れて持っていた松葉づえで2人を殴り殺してしまうのだった。
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母親の介護費用などのため、スパイとしてして生きる選択を余儀なくされたドミニカ(ジェニファー・ローレンス)の過酷な運命が描かれるが、拷問、凌辱、暴力を受けながらのミッション遂行のすさまじさ。
スパイ養成所では監察官(シャーロット・ランプリング)の監督、指導の下、スパイを志す若者たちが厳しい訓練を受けていた。

相手の懐に入って情報を引き出すための性的な技術や心理テクニックなどを叩き込まれたドミニカは優秀な成績を修め、天性の才能もあり訓練生の中でも飛びぬけて人心掌握術長けていた。
養成所でのドミニカの様子を見ていたコルチノイ将軍(ジェレミー・アイアンズ)はその才能に期待しドミニカをスパイとして採用、初の任務としてブダペストへ送り込む事が決定する。

その後、ブダペストに到着したドミニカは、現地のスポーツジムでアメリカCIAエージェント・ネイト・ナッシュ(ジョエル・エドガートン)と接触し、ロシア情報庁内に潜む内通者・モグラの正体を聞き出すため親密な関係を作れるよう演出してゆくのだった。
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ドミニカは、モグラの正体を突き止めるが、モグラはあっと驚く意外な人物だった。

ところがドミニカは内通者の本当の正体を告発せず、自分を今の状況にまで追い詰めて来た叔父・ワーニャを内通者・モグラとして仕立て上げる事で現状を打破しようとするのだった。
後日、ロシアに戻ったドミニカは内通者を暴いた功績が認められて表彰を受ける。多くの政府高官が出席し、国を救った英雄を称える拍手喝采で包まれる式典の中、コルチノイ将軍だけは無表情のままドミニカを見つめていた。
再び母と暮らすようになったドミニカ。ボリジョイバレエの演劇を観に劇場へ足を運ぶなど、少しばかりの平穏を手にしたのであった。
<主な登場人物>
■ドミニカ・エゴロア:ジェニファー・ローレンス…元バレリーナのスパイ。認知症を患う母と共にモスクワ市内で暮らす。トッププリマとして金銭的には豊な生活をしていたが、突然の怪我によって舞台から姿を消す事となる。ロシア情報庁の幹部である叔父の誘いでスパイの世界に足を踏み入れる。
■ネイト・ナッシュ:ジョエル・エガートン…アメリカCIAのエージェント。ロシア国内で発砲事件を起こし、ブダペストに活動の拠点を移して任務を遂行。そんな中でドミニカと接触し、互いの情報や立場を理解しあって仲を深めていく。ドミニカが唯一、心を許していた人物。
■ワーニャ・エゴロフ:マティアス・スーナールツ…ドミニカの叔父。ロシア情報庁の幹部。怪我の影響でバレエを断念したドミニカの元に現れ、陥れられた真実を伝えてスパイの世界へ引き込む。冷徹さを持ち合わせたプロの諜報部員。最終的にはドミニカの恨みを買い陥れられた。
■コルチノイ将軍:ジェレミー・アイアンズ…ロシア情報庁のナンバー2の幹部。祖国であるロシアの情報を3年に渡ってアメリカへ流していた内通者・モグラの正体。自分が捕まることで内通者の存在を消し、ドミニカを後継者としてあてがおうとした。しかしドミニカは彼を告発せず、叔父・ワーニャを内通者に仕立て上げる事で一件を納めた。
■監察官:シャーロット・ランプリング…スパイ養成所の監察官。クールで非情。

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