
「危険な関係」(原題:Les Liaisons Dangereuses、1959)は、恋愛心理の駆け引きを巧みに描写したフランスの作家コデルロス・ド・ラクロの同名古典小説の映画化作品。舞台は原作の18世紀フランスの貴族社会から、現代の上流社会となっている。
監督は「バーバレラ」「悪徳の栄え」のロジェ・ヴァディム。原作の18世紀フランス貴族社会を製作当時の現代パリの上流社会に置き換え、互いの恋愛を報告し合う夫婦の退廃的な官能美を、スタイリッシュなモノクローム映像とモダンジャズに乗せて描いた。特に終盤のジャズの演奏が印象的だった。ジェラール・フィリップの遺作となった作品。肝臓がんにより享年36歳の短すぎる生涯だった。
22歳の妻バルドーの「素直な悪女」(1956)で、28歳で映画監督としてデビューしたヴァディム。
ヴァディム
そのヴァディムが冒頭に登場してこの映画の概要を語る。
「(前半省略)現在若い女性は、性の社会的束縛から解放され、自由を味わい輝いている。その姿を私はブリジット・バルドーですでに描いてきました(注:「素直な悪女」)。
一方、道徳意識の強い女性たちは世論と対立せず、平等を求めている。仮面をつけ 手段も違う。この映画の主役はその種の女性で、ジャンヌ・モローのジュリエットです。
フランスの人妻の大多数は違う。彼女は例外で女性の役割を拒む女性。欲望や感情のまま自由に生きる女性です。
多くの女と遊ぶの男はドン・ファンで、情事を重ねる女は娼婦。彼女はそれに反発する そんな女性が主題です」
ヴァディムの作品の中では、最もヌーヴェル・ヴァーグに近づいたものとなったといわれる。
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外交官夫妻のバルモン(ジェラール・フィリップ)とジュリエット(ジャンヌ・モロー)はパリの社交界でも洗練されて目立つ存在だ。しかし、実際の二人は互いの情事の成果を報告しあう奇妙な夫婦関係を続けていた。
バルモン夫妻
ジュリエットは、愛人だったアメリカ人のコートが18歳のセシル(ジャンヌ・バレリー)と婚約したことを知り、嫉妬心からバルモンにセシルを誘惑するよう持ちかける。
セシルを追って冬のメジェーヴまで来たバルモンは、そこで貞淑な人妻マリアンヌ(アネット・ヴァディム)と出逢い、本気になってしまう。



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出演は、ジャンヌ・モロー(「恋人たち」「クロワッサンで朝食を」)、これが遺作となったジェラール・フィリップ(「モンパルナスの灯」)、ジャン=ルイ・トランティニャン(「男と女」「暗殺の森」)、当時のヴァディム監督の妻アネット・ヴァディム、そして伝説的作家ボリス・ヴィアン。
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ヴァディムは自分の妻を撮りたいがために映画を作っているのかと思わざるを得ない。ブリジット・バルドーしかり、この映画の当時の妻アネット・ヴァディムしかり。ジェーン・フォンダ(「バーバレラ」)もそうだった。
女優陣のジャンヌ・バレリー、アネット・ヴァディムなど美女ぞろいで見どころ。
映画監督と同様、プレイボーイとしても知られるロジェ・ヴァディム。著書に「我が妻バルドー、ドヌーヴ、J・フォンダ」がある(笑)。「我、ドン・ファンなり」といった映画でも撮ればよかったかもしれない。

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