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映画「ロストケア」(前田哲監督、2023)介護・認知症テーマの社会派サスペンス。 

 

ロストケア」(2023)は介護・認知症など重いテーマの社会派サスペンス。原作は第16回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞の作家・葉真中顕(はまなか・あき)の小説「ロストケア」。Netflixで配信中。

監督は「そして、バトンは渡された」の前田哲、脚本は前田監督と「四月は君の嘘」「ストロベリーナイト」の龍居由佳里との共同脚本。

松山ケンイチ長澤まさみが初共演。連続殺人犯として逮捕された介護士と検事の対峙を描き、重いテーマに正面からぶつかりあう演技が印象に残る。人が人を裁けるのか、といった法についても問題を提起している。

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ある早朝、民家で老人と訪問介護センター所長の死体が発見された。死んだ所長が勤める介護センターの介護士・斯波宗典(しば・むねのり、松山ケンイチ)が犯人として浮上するが、彼は介護家族からも慕われる心優しい青年だった。

検事の大友秀美(長澤まさみ)は、斯波が働く介護センターで老人の死亡率が異様に高いことを突き止める。

取調室で斯波は多くの老人の命を奪ったことを認めるが、自分がした行為は「殺人」ではなく「救い」であると主張。大友は事件の真相に迫る中で、心を激しく揺さぶられる。

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連続殺人犯となった介護士の「(介護の現場におらず自身が)安全地帯にいる人間には(介護の苦しみは)わからない」といったセリフや検事の「人には見えるものと見えないものがあるのではなく、見たいものと見たくないものがあるだけかもね」というセリフも記憶に残る。

検事(長澤まさみ)の母親が認知になり、自分のことも覚えていないつらさ。母・加代が「よしよし」と幼いころから頭をなでてくれたのが思い出されるが「お母さん、本当は老人ホームに入りたくなかったのに、安心させるために入ったんでしょ。私が娘で幸せだった?」と述懐する。

             

一方、斯波宗典の父・正作が折り鶴の紙に「俺の息子に生まれてくれてありがとう」という言葉を残して、宗典が涙するシーンがあるが、いずれも親子の絆を描いている。

宗典は、家族の絆がときにそれにより縛られることがあるとも語っている。まったく意思疎通ができずに生きているだけで、それが本人や家族にとって幸せなことかを問いかけてもいる。

この映画の最大の見せ場は、拘置所での斯波と大友検事のガラス越しの対面シーン。一方がガラス越しに映り込み二人の表情が同時に映るシーンは「天国と地獄」のラストを彷彿とさせる。

長澤まさみ松山ケンイチの迫真の演技にくぎ付けにされる。

共演の柄本明の老人役で苦しむ姿もリアル。ほかに鈴鹿央士、坂井真紀、藤田弓子らが共演。他人事でない介護・認知症問題に見ていて締め付けられる思いにもさせられる。

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<主な登場人物>

■斯波宗典:松山ケンイチ介護士。狂気の42人の連続殺人犯。「殺人」でなく「救い」と主張。検事と敵対する。

■大友秀美:長澤まさみ…検事。正義感あり。斯波を裁こうと対立するが、自身も過去の行動に悔いを残し、斯波に一定の理解も示す。

■椎名幸太:鈴鹿央士…検察事務官。数学に強い。

■斯波正作:柄本明…宗典の父。宗典に死なせてほしいと懇願。宗典に感謝のメモを残す。

羽村洋子:坂井真紀…認知症の母を持つシングルマザー。

■梅田美絵:戸田菜穂…介護と仕事と子育てに疲弊。

■猪口真理子:峯村リエ…ベテランの介護士

■足立由紀:加藤菜津…新人介護士

■春山登:やす(ずん)…洋子の恋人。

■柊(ひいらぎ)誠一郎:岩谷健司…検事正。

■団元晴:井上肇…ケアセンター長。

■川内タエ:綾戸智恵…万引きをしたホームレスで、取り調べを受ける女性。

沢登保志:梶原善…刑事(警部補)。

■大友加代:藤田弓子…秀美の母。認知症で入院中。

 

 

2023年製作/114分/G/日本

配給:東京テアトル、日活

劇場公開日:2023年3月24日

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