
「リアル・ペイン〜心の旅〜」(原題:A Real Pain、2024)をMOVIXさいたまで見てきました。ミニシアターで上映されるような小粒で良質な作品。
ポーランドの第二次大戦時のナチスの強制収容所(ホローコースト)の一部が保存状態もよく観光名所として登場する。ユダヤ人とポーランドなどについて考えさせられる重いテーマながら、脚本(アカデミー賞脚本賞ノミネート)と個性的な役者でじわりじわりとくる映画でした。
アメリカとポーランドの合作映画。ニューヨークに住むユダヤ人で、互いに疎遠だったいとこ同士の男2人が、ポーランド出身の祖母の遺言で、いつかポーランドを訪ねて自分のルーツを見てきなさいという言葉に従って、ポーランド・ツアーに参加する。性格の全く異なる男二人の珍道中的ロードムービー。
「ソーシャル・ネットワーク」で俳優としてマーク・ザッカーバーグを演じたジェシー・アイゼンバーグが監督・脚本・製作・主演を務めている。
「ダーティ・ダンシング」のジェニファー・グレイが、今回6人のツアーメンバーの一人で出演しているが、言われなければわからない。
タイトルの「本当の痛み」とは何かを問う染み入る映画となっている。
第97回アカデミー賞で脚本賞と助演男優賞(キーラン・カルキン)にノミネートされた。キーラン・カルキンは「ホーム・アローン」のマコーレ・カルキンの弟。
ポーランド出身の作曲家ショパンの有名で人気のある「夜想曲第2番 変ホ長調Op.9,No.2」がオープニングで流れるほか、全編を通じてショパンの曲が流れ印象的。
ポーランド・ツアーで、ユダヤ人の2人が豪華列車に乗るというのも皮肉な話。ナチスにより大量のユダヤ人が強制収容所に送られたのはぼろぼろの貨物列車だったからだ。
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ニューヨークに住むユダヤ人のデヴィッド(ジェシー・アイゼンバーグ)と、兄弟のように育った従兄弟ベンジー(キーラ・カルキン)。
現在は疎遠になっている2人は、亡くなった最愛の祖母ドリーの遺言によって数年ぶりに再会し、ポーランドのツアー旅行に参加することになった。
デヴィッドは、まじめな性格で、優等生タイプ。一方のベンジーといえば、定職に就かず、ハッパ(薬物)に手を出し、おばあさん子だったことから、祖母の死により喪失感と悲痛に襲われていた。
そんなベンジーを元気づけようとデヴィッドがポーランド・ツアーに2人で参加することにしたのだった。



時にツアー・メンバーと騒動を起こしながらも、同じツアーに参加した個性的な人たちとの交流や、家族のルーツであるポーランドの地を巡るなかで、40代を迎えた自身の生きづらさに向きあう力を見いだしていく。

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強制収容所(ホローコースト)アウシュビッツのガス室や壁に残された青いシミはアクロンBと呼ばれる洗浄剤の跡だとツアーガイドが説明するなど、悲劇の爪痕を見せつける。
大量に亡くなったユダヤ人の靴が山のように積みあがっている光景も残酷さを物語っている。
映画の冒頭の空港の椅子に座っていたベンジーの物思いにふけった姿が、エンディングで最後にふたたび映し出される。観客は、すべてを知った後で、ベンジーの表情を見ると、冒頭とは全く異なった印象を持つことになる。
煮ても焼いても食えないような壊れた性格のようなベンジーだったが、見終わった後では、おそらくツアー参加者と同じように、苦痛と闘ってきたベンジーを見直すかもしれない。
<主な登場人物>
■デヴィッド・カプラン:ジェシー・アイゼンバーグ…ネット広告を手掛ける。妻と一人娘がいる。
■ベンジー・カプラン:キーラ・カルキン…デヴィッドのいとこ。おばあちゃん子。祖母が亡くなり喪失感に悩む。仕事は定職なし。自己主張が強く変わり者。薬物に依存している面がある。
■ジェームズ:ウィル・シャープ…ポーランド・ツアーのツアーガイド。
■マーシャ・クレーマー:ジェニファー・グレイ…夫を亡くした未亡人。ツアー参加者の一人。
■エロージュ:カート・エジアイアワン…アフリカ・ルワンダ出身の黒人で10年前にユダヤ教に改宗。ツアー参加者の一人。
■ダイアン:ライザ・サドヴィ…マークの妻。ツアー参加者の一人。
■マーク:ダニエル・オレスケス…ダイアンの夫。ツアー参加者の一人。ジェームズの態度に不快感を示す。
2024年製作/90分/PG12/アメリカ
原題または英題:A Real Pain
配給:ディズニー
劇場公開日:2025年1月31日
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