
「オットーという男」(原題:A Man Called Otto、2022)を見る。フレドリック・バックマンの原作のスウェーデン映画「幸せなひとりぼっち」のハリウッド版リメイク。
監督は「プーと大人になった僕」のマーク・フォースター。主演は「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」などの名優トム・ハンクスで製作も兼ねている。
町内一の嫌われ者の人生が、向かいに越してきた一家との交流を通して一変していく様子を描くヒューマンドラマ。
トム・ハンクスが妻を亡くして以来、自分と関わる全ての人間に対して、嫌みや皮肉や文句を言う、とにかく気難しい人物を演じている。そんな中でも近隣とのふれあいや、嫌いだった猫にも愛着を持ち、再生していくストーリー。
トム・ハンクスが潔癖症で、嫌われ者の上、口うるさいが、憎めない老人役を演じているのが最大の見どころ。
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ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の長屋に住む63歳のオットー・アンダーソン(トム・ハンクス)は、外出する際にテーブルの皿の中にある25センㇳコインを必ず手にしてから出かける。

このコインは、若いころ、プロポーズした女性ソーニャがお守りとしてくれたコインだった。
オットーは、自分の住む住居の一角に車の違法駐車があるかなどをチェックするのを日課としている。女性が子犬を連れて散歩をしていると、オットーは「その子犬がおしっこをしていたぞ」というと、女性もさるもの(老人のたわごとと受け流し)「証拠はないんだから」と返す。子犬でないなら「あんたがやったのか」(笑)と憎まれ口をたたくのだった。
UPSの車が配達のため一時駐車しているのをみて、許可を得ているのかとクレームを言うのだ。

私道に無許可で車を止める輩がいるかパトロールも行うオットー。
ホームセンターで、ロープを5フィート分の長さに自分で切って会計しようとすると、店員から2ヤードなので3ドル47セント頂戴しますと言われる。
店員が「うちはヤード計算ですので」というのでオットーはフィートに直すと33セントの違いがあると、計算もできないのかと店員をなじる。
「店長を呼べ」出た~ぁ、カスハラ(笑)。「店長はランチで出ています」「副店長は?」とさらに畳みかけると、若い女性の副店長が現れる。
副店長を見て「高校生か?」と嫌み。会計に後ろに並んでいた男性が「差額の33セントを払いましょうか」と申し出ると「金額の問題じゃない」とオットー。
副店長が「ロープを1フィート追加しましょうか」と提案するのだったが…。(これから首を吊ろうとしているのに1フィート追加ってなんだよ~と思ったに違いない。笑)
そう、このオットーが購入したロープは首つり自殺のためのものだった。オットーが、何度も自殺を試みたのは、半年前に養護教諭だった妻ソーニャを亡くして、皮肉屋で潔癖症の口うるさい老人になり、生きる目的も気力もうせて、死んで早く妻のもとに行こうと考えたからだった。
製鉄所での仕事を定年退職に追い込まれたオットーは、従業員たちが、サプライズで用意したケーキにオットーの顔があり、その真ん中にナイフを入れたことにも苦々しく思い、勝手にその場を去っていくというありさま。

電気・ガス・電話を解約し、亡き妻を追って自殺を計画していたのだった。首吊り自殺をしようと首に縄をかけていたら、向かいに引っ越してきた夫婦が縦列駐車できずに騒いでいるため邪魔をされる。
向かいに越してきたトミー(マヌエル・ガルシア=ルルフォ)とマリソル(マリアナ・トレビーニョ)の夫婦はオットーにメキシコ料理を差し入れし、六角レンチを貸してくれるよう頼みに来た。
【自殺失敗①】彼らが帰ったあとに、オットーは再び首を吊ろうとするが、縄の留め具が天井から抜け落ちてしまう。床に倒れ込んだオットーは、首つり後に床を汚さないように敷いていた新聞に掲載された花束の2束8ドルという特売広告を見つける。
自殺を中断して花束を買いに行き、ソーニャの墓を訪れ、亡き妻に新しい隣人たちのことを報告するのだった。
【自殺失敗②】オットーは、その後、車庫にとめた車の排気ガスを車内にホースで引き込んで一酸化炭素中毒死を試みるが、昔のことを回想しながら意識が朦朧としていると、向かいのマリソルがけたたましくガレージのシャッターをたたき、オットーの自殺を中断させる。
オットーが貸した梯子から隣人のトミーが落ちて足をけがし救急で運ばれたので、オットーはマリソルと2人の子供を病院に連れて行く。2度目の自殺も失敗。
オットーは脳裏にソーニャ(若き日:レイチェル・ケラー)に結婚を申し込んだときのことを思い返しながら、ホームから列車に飛び込んで自殺を図ろうとした。


若き日のオットーとソーニャ。
ところが、めまいで気を失った老人が先に線路に転落してしまい、誰も助け上げようとしないので、オットーがその老人を助けるはめになる。
【自殺失敗③】線路に残ったオットーは、そのまま列車に轢かれる覚悟をしていると、屈強な男性が手を差し伸べて「早く上がれ、轢かれるぞ」と引っ張り上げられ、間一髪でまたしても自殺は未遂に終わる。


マリソルがオットーに運転免許をとる手伝いをしてくれないかと頼んでいるところに、長屋に居着いている猫が積雪の中で弱っていたのを引き取っていた近所のジミーが、猫アレルギーで飼い続けられないと段ボール箱に入れて連れてくる。

猫アレルギーなので預かってほしい猫をオットーに渡すジミー。

雪が降り積もっている日、オットーが雪かきをしているところに、丸めたチラシを投げて配っていく地元の青年、マルコムがやってきたので苦情を言う。
「アンダーソンさんでしょう?」と返したマルコムは、ソーニャが自分の先生であったこと、トランスジェンダーである自分を受け入れてくれた数少ない一人であることを語る。二人の間には友情が芽生え、オットーはマルコムの自転車を修理してあげるようになる。
マリソルの運転の指導をしながら、二人はかつて、ソーニャとオットーが通ったお気に入りのパン屋を訪れる。
パン屋で彼は、ルーベンという男との友情について話す。2人は、オットーが町内会の役員を務め、ルールと秩序を確立するために協力してきた。
ルーベンがオットーのシボレーよりフォードやトヨタを好むようになり、オットーに代わって会長を務めるという「クーデター」を起こしたことから、2人は疎遠になった。
脳卒中で倒れたルーベンは、現在車いすを使い、妻のアニタと近所のジミーに介護されている。
【自殺失敗④】家に戻りショットガンを顎の下にあて、4度目の自殺を試みるが、娘がジェンダーチェンジしたことに怒った父親から追い出されたマルコムが、泊めてもらいに来て激しくドアをたたくので、またしても自殺は失敗するのだった。

マリソルの子供の女の子がオットーに絵本を読んでほしいと頼む。

子供が描いたオットーの絵だと見せるマリソル。


毛嫌いしていた猫だったが愛着がわき亡くなった妻のベッドで寝ている。
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<主な登場人物>
■オットー・アンダーソン: トム・ハンクス…ペンシルベニア州ピッツバーグ郊外の長屋に住む63歳の寡夫。皮肉屋で気難しく偏屈で近寄りがたい。(若い頃のオットー: トルーマン・ハンクス)
■ソーニャ: レイチェル・ケラー…オットーの妻。
■マリソル: マリアナ・トレビーニョ…オットーの向かいに越してきた女性。トミーの妻。郷土料理(メキシコ)が得意。
■トミー: マヌエル・ガルシア=ルルフォ…マリソルの夫。
一般的に、人は歳を取ってくると、考えが凝り固まっていき、気に入らないとちょっとしたことにも文句をつけたくなるようだ。テキトー男・高田純次が言っていたようだが、嫌われる年寄りにならないためには、三つのことに気を付けよう。昔話をする、自慢話をする、お説教をする。オットーの場合は、お説教が多いようだ。おっと、他人事ではないぞ。オットーにならないように気を付けよう(笑)。
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