
「続・深夜食堂」(2016)を見る。前作「深夜食堂」(2015)は限定公開だったが、2億5,000万円のシングルヒット。「続」も負けず劣らず、おもしろい。
繁華街の路地裏にひっそりと佇む、“めしや”。そこは深夜0時から朝7時までの営業で、“深夜食堂”と呼ばれる。
カウンターだけの狭い店に、メニューは「豚汁定食と酒類だけ」。ただ材料さえあればマスター(小林薫)は客の希望にこたえてくれるので、その味と居心地の良さに結構忙しいほど客が集う。
春夏秋冬、ちょっとワケありな客が現れては、マスターの作る懐かしい味に心の重荷を下ろし、胃袋を満たし、心を癒しては新しい明日への一歩を踏み出して行く。

「続」では、葬式で思わぬ出会いをした女性(河井青葉)と香典泥棒(佐藤浩市)、詐欺にかかったらしい老婆(渡辺美佐子)、恋に悩むそば屋の息子(池松壮亮)と子離れしていないような母(キムラ緑子)。路地裏にたたずむ"めしや"を舞台に、個性豊かな客たちが織り成す悲喜こもごもが描かれる。
登場人物のキャラが見どころ。
なかでもキムラ緑子は、いつもながら引き込まれる、あるあるのとぼけた演技。
息子が「会ってもらいたい人がいる。結婚を考えている」というと、会おうとしない。キムラ緑子は、めしやで偶然隣の女性が「年下の男性からプロポーズされている」と聞くと「こんないい人、絶対に味方するからね」という。

「実は私なんです、お義母(かあ)さん」
「おかあさんって」
だが、後で息子が店にやってきて、相手が息子とわかったとたんに、バツが悪そうに出ていってしまう。「15歳も離れて、お前が45になったときに相手は還暦。ちゃんちゃんこだ。だめだめ」の一点張りなのだ。
長崎から、息子に現金を渡すために東京にやってきた老婆を演じる渡辺美佐子。現金受け取り男が、息子の同僚という、お決まりのオレオレ詐欺のパターン。
こういうおばあさんがいるから詐欺はなくならない(笑)。

ナンの疑いもなく200万円の封筒を渡してしまうのだが、よく簡単にだまされてしまうものだと思うが、実は・・・という事実が明かされる。一瞬、そういう背景ならありかとも思ってしまった。「オレオレ詐欺」の次は「来て来て」詐欺なんだとか。電話口で、切羽詰まったような声で、(お金を持ってくるように)息子役が叫ぶので、声が似ている似ていない以前に、受けた側は動転してしまうようだ。
佐藤浩市が、葬式に参加して、現金を盗む香典泥棒を演じるとは・・・笑。




とりたてて大きな事件はないが、日常をさまざま切り取って、味わい深い映画になっている。出される料理がうまそうで「焼き肉」などは食べたくなる。

■「深夜食堂」記事: