合鴨を使うという発想は、未だない。
昭和六年、香川県農会が稲田に放った水禽は、これ悉くアヒルであった。
大野村、多肥村、鷺田村、田佐村、十河村、田中村、等――香川・木田の両郡に亙り、およそ二千七百羽の購入斡旋を行っている。
この当時、香川名物はうどんにあらず、むしろ良米の産地としてこそ名を馳せていたものだった。
「讃岐米は、阪神地方の

本書をいくら捲ってみてもうどんの「う」の字も見当らぬ、後世に於ける中毒ぶりは皆無といっていいだろう。
君らの子孫は「うどんアイス」を生み出すほどに、この食い物に病みつきになっちまうんだぜ――と、嘗ての彼らに教えてやれたら、どんな顔をするだろう。目を回すほどに驚くのではあるまいか。
まあ、それはいい。
とまれ声価を得ている以上、更に磨きをかけたいと、ブランド力を伸ばしたいと欲するのは必然だ。
讃岐米を発展さすべく、多くのことが試された。
一年後、すなわち昭和七年に、飼育者たちの感想を綜合したる「実験結果」左の如し。
○性温順にして作物を荒さず何時も群集外敵の襲来に注意深く品行方正の模範生で稲田放飼に好適
○一挙両得七、八月のころは稲田の雑草や虫類が多く殆ど給餌の必要なく、飼育田の雑草、蛙、昆虫類は殆ど見られなくなり、青虫や螟蛾を好んで食し害虫駆除に効果多し
○鶏舎の如くガッチリした必要なくただ野犬の入らぬ様設備さへすればよい
○適数毎日の如く稲田に遊び戯れるをもって風化作用を助け其上糞も相当肥効あり、五畝歩に五十羽飼ひ稲が出来過ぎた、小区域に多数飼育は考へもの
○販売は既定の荷造りをなし県農会の斡旋で阪神市場に出荷する
おおよそに於いて現下宣伝されている合鴨農法の利点と大差ないだろう。
前史として、一定の価値はあるかもしれない。
そう思い、掘り返させていただいた。
かの稲作ゲー、『天穂のサクナヒメ』のアニメ放送も
時宜は得ている筈である。
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