優等生な Zeiss Otus の写り
FUJIFILM とNikon のフュージョンモデル FinePix S3 Pro に Zeiss の弩級レンズ、Otus 55mm F1.4 を装着して曇天の秋空の下、わんこ散歩に出掛けてきた。

APS-C の S3 Pro だとOtus 55mm は換算焦点距離 83mm くらいと、ほぼポートレートレンズになる。絞り開放でもフォーカスポイントはシャープに浮き立たせる一方、背景にアートな収差は現れず、いたって真面目な描写を追求したレンズだ。

Otus の合焦は勘勝負
Otus は Nikon F マウント用を使用しているが、レンズのマウント側には電子接点があるので デジタルカメラや 電子接点のあるフィルムカメラでは各種撮影モードが使える。これは地味に便利だ。但し、AF 機能は一切ないので、小さく暗い S3 Pro のファインダーでフォーカスを合わせるのは簡単ではない。じっくりと三脚撮影ではないし、Nikon 得意の○印の合焦指標も頼りに、最後は勘勝負。
あの日のフジカラー
S3 Pro はその名前の通り、全国のフジカラーのお店で記念撮影をしてくれていたプロのラボが使う事を目的に開発された機種だったようだ。なので、当初から「フィルムシミュレーション」メニューは標準機能で、フジカラーやフジクロームの写りの再現が追求されていた。

その傾向は後継機のS5 Pro よりもこの S3 Pro の方が強く、XシリーズやGシリーズのものとも違う、唯一無二のデジタルフジクロームになっている。

私は S3 Pro のデジタルフジクロームの写り(フィルムシミュレーション F2モード)を見る度に、昭和のあの日、どこかで見た写真の記憶が蘇ってくる。

背面液晶パネルは将来肉眼で読むのが難しくなるかもしれない極小サイズだし、一枚撮影する度にいつまでもCFカードに書き込みをしているし、ファインダーは同時期の Olympus E-1 よりちっちゃいうえに暗いし、機械的には石器時代のカメラと言える。

それでも「フシャッ」という静かなシャッター音の感触と、PCで画像ファイルを開いた時のにんまりが忘れられず、昭和の玉手箱をふらりと開くわけです。


