[BfR]ECJは二酸化チタンの分類「吸入すると発がん性の可能性がある」を覆すことを支持
01/08/2025
欧州司法裁判所(ECJ)は、EU司法裁判所(CJEU)の決定を支した。したがって、粉末状の二酸化チタンを「吸入すると発がん性がある可能性がある」と分類することは無効のままである。
2020年に欧州委員会は粉末状の二酸化チタンを「吸入すると発がん性がある可能性がある」と分類した。その後、この物質は EU 全体の化学物質の分類・表示・包装を規制するCLP 規則 (EC) No. 1271/2008 に含まれた。この分類は吸入で肺に入る可能性のある粒子にのみ適用された。
欧州連合司法裁判所 (CJEU) は、基礎となる研究の方法論的欠陥と CLP 規則違反を理由に、2022 年にこの決定を取り消した。その後、この判決に対して控訴が提起された。照会への対応として、BfRは二酸化チタンについて以下の情報をまとめた。
・2021年にEFSAが二酸化チタンの遺伝毒性の可能性が排除できないと結論した。そのため2022年8月8日以降食品添加物E171を含む食品は販売できない
・2006年にIARCが高用量の二酸化チタン吸入後に肺がんが検出された動物実験を根拠に二酸化チタンを「ヒト発がん性の可能性がある(カテゴリー2B)」と分類した。
・2020年に欧州委員会が粉末状の二酸化チタンを「吸入すると発がん性がある可能性がある」(カテゴリー 2, H351i)と分類し、CLP規制Annex VIに掲載した。
・2022年にCJEUが根拠となる科学研究の方法論的欠陥(肺過負荷や粒子の性質の検討が不十分)があるとして分類を覆した。それに対する訴訟が起こされた。
この文脈ではリスク評価とハザード評価を区別することが重要である。リスク評価はばく露評価を伴ってヒトへの健康影響を検討する。CLP分類ではハザードの可能性のみが検討される。分類はハザードのクラス(どんな有害影響か)とカテゴリー(ダメージの重症度)に基づく。CLP規制による評価はリスク評価ではなく実際の健康リスクについて一般的結論は出せない
・二酸化チタンの研究状況はいくつかの理由で不明確で曖昧である。既存の研究は方法が異なり、ある研究は動物(in vivo)で、ある研究はin vitroで行われている。調べた二酸化チタンの粒子の大きさ、結晶構造、表面コーティングなどが多様で、さらに暴露経路が異なる
(以下略)
(ハザード分類で揉めている。)
論文
-陰謀論を信じることと医療における自然療法嗜好
Lorenzo Gagliardi Acta Psychologica Volume 259, September 2025, 105343
陰謀論と自然志向が同時に起こりやすことの心理的説明を目指す文献レビュー
-信頼性の危機:米国のワクチンデマの世界的コスト
A crisis of credibility: the global cost of US vaccine misinformation
Heidi J Larson ∙ Simon J Piatek
THE LANCET Comment Volume 406, Issue 10504p668-670August 16, 2025
McGill OSS
-マクドナルドが片頭痛の治療?流行のMcMigraine言説の嘘を暴く
Eva Kellner BASc and Hosna Akhgary | 15 Aug 2025
TikTokの最新のウェルネストレンドは、マクドナルドのコーラとフライドポテトが片頭痛の奇跡の治療法であるという話である。これを掘り下げてみる。いつものことだが、オンラインのトレンドは医師の代わりにはならない
(以下略)
-中国研究
The China Study | Office for Science and Society - McGill University
Joe Schwarcz PhD | 13 Aug 2025
中国の健康的食事から学ぶことがあるか?アメリカの生化学者T. Colin Campbellによれば、ある。
2005年に、現在コーネル大学名誉教授のColin Campbellが“中国研究The China Study”という本を書きベストセラーになった。その主張は健康的食生活は動物を食べず野菜や果物からなるというもので、根拠は1980年代に中国政府が支援してコーネル大学オックスフォード大学が共同で行った大規模疫学研究だった。当時の中国では住民は生涯同じ地域で暮らし、がんの発生率は地域により100倍も違っていて研究に値すると考えられた。50の省の2つの村の核65家族を無作為に選択し、血液と尿と3日間の食事記録を集めた。そのデータを10年間の約4ダースの各種がんや病気について解析し、全体的に動物性たんぱく質の摂取量がおおいほど病気が多かった。そしてCampbell博士は動物たんぱく質を一切
食べないことが理想的な食事であると推定した。
このデータの解釈には熱狂的支持者もいれば批判者もいる。栄養学の世界ではよくあることで、多くの専門家が理想的な食事がわかったと主張しているが、どうすればそれが実行できるかについての同意はない。低脂肪食、低炭水化物食、ビーガン、肉食、原始人食…それぞれ教祖がいる。Colin Campbellはビーガン陣営に根付いている。しかしビーガンは彼の研究した中国人の食事とは異なる。中国人は、北米ほどの量ではないがあらゆる種類の肉を食べる。そしてCampbell博士の結論はデータによって支持されず、先入観に合わせるようにデータを掘ったと統計学者からの批判がある。そして彼は中国での胃がんの多さには言及しない。
議論は行ったり来たりを繰り返し双方が「汚い」統計を投げつけあう。
我々はこれら全体をどう考えればいいのか?北米が肉を食べすぎであるという根拠は十分あり、酪農業界は乳製品を米食食べるべきだと納得させることに成功しているが根拠はない。ナッツやアボカドが有害であるという根拠はない。食事は植物がベースであるべきというコンセンサスはあるがそれは動物製品を排除せよという意味ではない。
Campbell教授は自分の方法に従って91才になった今でも活動している。それには考慮すべき何かはあるだろう。
-見えない来客者:あなたの家のラドンを心配すべき?
Sophie Tseng Pellar BSc | 15 Aug 2025
それは無色無臭で知らないうちに家の中に侵入している可能性がある。非喫煙者の肺がんの主な原因であるもののカナダ人のほとんどは調べていない。それは変える必要がある
2024年、カナダ全土ラドン調査で、カナダ人の約5人に1人がラドン濃度が国の安全ガイドラインである200Bq/m³を超える家に住んでいるという悪いニュースがいくつか出された。それは「些少な問題」ではない。それは「必ず何かをすべきだ」という領域でである。
(以下略)
-動画
ドバイチョコレートの熱狂
Cup o'Joe-Dubai Chocolate Frenzy
ピスタチオ入りのクランキーチョコレート"Can't Get Knafeh Of It.”がブームになり類似品が市場に溢れた。
そこにサルモネラ汚染によるリコールがおこった
その他
-医学への社会正義の侵入
Social Justice Encroachment into Medicine - by Sally Satel
Aug 09, 2025
イデオロギーによる医学の転覆についての意見
過去25年間、医療の最も重要な使命を健康の改善から社会正義の推進に変えられてきた記録。特にジェンダーケアの周辺で厄介な問題
-「予防原則」が意思決定をどう歪めるか
How the “Precautionary Principle” Can Distort Decision-Making
August 2025
安全性を追求しすぎることの危険性
「リスク」と「ハザード」は同じではない―そしてその違いこそが公衆衛生にとって重要
最近の平均的アメリカ人は何かを減らすよう脅迫されている。
どこを向いてもウェルネスインフルエンサーが、何かがあなたをがんにしているという:医療、食品、ケムトレイル等。人々の不安感は増加しているが、幸いなことは現実世界のデータからは心配することはない。
(略)
例えば食品添加物や成分のうち米国で合法なのに欧州では禁止されているものが多くあると聞くことがよくある。すると米国の規制機関は健康に無関心であるかのように思えるかもしれないが、その違いは予防原則の適用方法である。アメリカ当局はリスクについて心配する傾向があり欧州はハザードに注目する。些細な違いのように聞こえるかもしれないが極めて大きな差になることがある。例は色素と日焼け止め、そしてゴールデンライス。
-何故合成食用色素が消えつつあるのか
Why are Artificial Food Dyes Fading Out? - Dirt to Dinner
By Hayley Philip August 16, 2025
私たちのお気に入りの食品の鮮やかな色が褪せつつある。大食品企業が合成色素を排除する方向に動いている。それはこれらの色素が有害だったという意味か?
科学がこれら色素の危険性を証明したからではない。消費者が要求し規制機関が規制を強化し製造業者が代替品を見つけたからだ。
これまで合成色素が使われてきたのはそれが安価で大量に供給可能で鮮やかで安定した色を提供できるからだ。
最大の未知数は人々が鈍い虹色を食べるかどうかである。それは消費者心理である。
色そのものは味がなくても視覚は経験を変える。
食品ブランドはそれを知っているので今後「自然な見た目がいい」といったキャンペーンを行うだろう。
-RFK Jr.の反ワクチンキャンペーンが有効な理由
Why RFK Jr.’s Anti-Vaccine Campaign Is Working - The Atlantic
By Katherine J. Wu August 13, 2025
トランプ政権の新型コロナウイルス復讐キャンペーンは、ケネディのより大きなアジェンダの基礎を築く
(新型コロナウイルスへの復讐ではなくてウイルス対策を主導してきた人たちを敵にしたてあげて(自分たちを重んじなかった社会に)「復讐」している。)