以下の内容はhttps://filmmer.hatenablog.com/より取得しました。


新生活にLAMYのJetstreamはいかが?

おもしろき こともなき仕事を おもしろく かえうるものは 文具なりけり

 

昔の偉い人はすごい名言を残したもんだ*1

仕事も勉強も、その何割かはまったく興味もなければ面白くもないことばかりなのだから、道具くらいは面白いものを使っていたい。

 

1,2年に1回くらいの頻度でうっかりLAMYを買ってしまう悪い癖が付いている。

仕事で壁にぶち当たっていたり、悪い意味で煮詰まっている時に気分を変えたくなることが原因なんだけど、そんな時に限って色鮮やかな限定色が目に留まってしまう。LAMYが定期的に展開するSafariの限定色は、色味がポップでちょっとずるい。

 

先日たまたま在庫を見つけてしまったSafari x Jetstreamインクの限定色。

発売からずいぶん時間が経ってしまっているので、何を今更って感じではあるが、遂にJetstreamインクを採用したLAMYのボールペンが発売されたことは感慨深いものがある。2025年1月発売なので展開開始から1年以上経っているのだが、限定色といいつつ数量を作ってくれるのはLAMYの良心ではないだろうか*2

 

LAMY製品についてくる保証書には三菱鉛筆の文字が。そういえば三菱鉛筆がLAMYを買収したんだった。

 

この限定色のサンセットがまぁ素晴らしくいい色。

サンセット色というより濃いめのピンクで、イエローのSafariと並べると映画「エンドレスサマー」のポスターを思い起こさせる*3

かなりマットな素材なので、色の主張は激しいけど上品に纏まっており、触り心地がサラサラしていて気持ちいい。ポップな見た目と裏腹にしっかりした剛性感と重量感。ペンとしてのバランスの良い長さ、重心の位置が丁度いい低さに決まっている製品だと思う。触っていて気持ちがいい。

 

佇まいがよいと思うんですよ。これくらい強い色がペンケースにあっても良いのではないだろうか。

早速M63インクを採用したLAMYローラーボールと書き比べてみたら、Jetstreamインクの書き心地の良さにびっくりした。LAMYや他の筆記具にJetstreamインクを入れようと、文具マニアの貴兄があれこれ工夫をしていた理由がようやくわかった。

 

LAMYローラーボールに採用されているM63インクは、旧来LAMYで使われていたクラシックな高粘度の油性インクに比べてサラサラ書けることが売り文句の水性インクだが、書き出しから続く気持ちよさは圧倒的にJetstream。

 

M63インクは水性のくせに書き出しが掠れるしネチャ感がある。

「氵」や「 灬」みたいな細かいパーツを書こうとすると「どうせインク出ないんでしょ」感があり、案の定書いた後の後味が悪い。インクが紙に乗らないのに、ペン先が走ったところが凹むのがとてもムズムズする。

 

画数の多い感じを書いてみるとその差は一目瞭然。M63インクはやはりちょっと厳しい。

 

紙にインクを綺麗に乗せるなら万年筆を使ったほうがいいんだけど、インク量が減ってくると書き出しは荒れるし、あまり雑に扱えない。

インクがきちんと出て雑に走り書きできて、触っていて気持ちの良いSafari x Jetstreamはまさにこのムズムズの間を埋めるプロダクトじゃないだろうか。「ちょっと背伸びした普段使いのボールペン」って感じ。

 

上手な字でなくて申し訳ない。JetstreamインクとM63インク、T-10インクを使った時のお気持ちがこちら。

 

LAMY Safariシリーズの良さって、見た目がポップなのに作りがしっかりしていて長く使えるところ。写真映えしないので、Amazonや楽天で見るとチープさが勝っちゃうけど、ペンケースに納めてみると全然安っぽくないところもいい。

蛇腹が不均一にぐしゅっとなるのが可愛い

 

M63を好む人がいると思うが、自分の場合はインクを紙に乗せようとすると疲れるので、LAMYは万年筆とこのJetstream Safariの2トップにしようと思う。ゆっくり書く時は万年筆、仕事なんかで走り書きするときはJetstream Safari。

 

4月から新年度の社会人、学生の方には手帳の新調と一緒にぜひお薦めしたい。200円程度で買える安物Jetstreamとインクの出方は一緒だけど、文字を書く時の感触も気分も別物だから。

 

LAMY safari – JETSTREAM inside yellow イエロー - 本 シリーズに「クセになる、なめらかな書き味。」の『JETSTREAM(ジェットストリーム)』インク搭載モデルが登場!- ボール径 F 黒インク(LAMY M17内蔵)

  • LAMY
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今回試し書きの紙としてMDノートを使った。

紙質がしっかりしていて裏抜けもなく、カバー無しで使っても頑丈な表紙とぱたんと180度開く優秀なプロダクト。それでいて良心的な価格。普段使いのノートの傑作じゃないだろうか。

 

DESIGNPHIL ミドリ(MIDORI) ノート MDノート A5 無罫A 15293006

  • ミドリ(MIDORI)
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手帳の新調に併せてSafari x Jetstreamもどうぞ…なんて書いたけど、僕は手帳を使わない(MDノートやそこらの裏紙に書いちゃう)ので、手帳に関してはこれと言ったお薦めができない。

4月始まりのちょうどいい手帳っていうと、真っ先に上がるのはほぼ日手帳だろうか。インクの乗りはとても良かった記憶があるのだけど。

 

ほぼ日手帳 2026 本体 オリジナル[A6/1日1ページ/4月/月曜はじまり]

  • ほぼ日
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*1:これは高杉晋作と野村望東の短歌のパロディね。

*2:転売需要まで見込んでSNS噛ませて、なんなら炎上まで込みでモノを売ろうとする最近のトレンドって心底軽蔑する。マクドナルドとか。

*3:

エンドレス・サマー デジタルリマスター版(字幕版)

  • マイク・ヒンソン
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今月のあとがき: 2026年2月

窓の外から差し込む陽光が少しずつ明るさを増す2月。

冷えた部屋の気温はさっぱり上がらず、ベッドから出るのがまだ億劫な季節。僕の脇の下ですやすや眠る猫を起こさないようにベッドから出ようとすると、置いていかないでとばかりにぎゅっと爪を出して掴まれる。

ぐずる猫を撫でているとあっという間に二度寝して遅刻する。そんな毎日。僕は猫に飼われているのだと思う。

生活の中心はいつも猫だ。

福豆が売ってないからマカダミアナッツを投げた

節分の日の帰り道に福豆を買いにスーパーに行ったら、どの棚にも福豆らしきものが売っていない。店員さんに聞いたら「終わっちゃいました」とのこと。

 

いくら夕方とはいえ節分に豆がないとは。

あまりにびっくりして口から飛び出しそうになった「まだ節分終わってないですよ?」という返事を飲み込み、別のスーパーに足を運ぶも同様に品切れ。見切り品の棚に目を向けたら、萎びた柊に添えられた鬼のお面と目が合った。

きみらはもう見切られたのか。

 

節分なのに投げるものがないのは寂しいので、マカダミアナッツのパックを買ってきた。

福豆のようにばら撒くわけにもいかず、一粒摘んでお茶缶に投げたらコツンと乾いた音がして床に落ちた。コントロールは良好。

ふた粒目を摘み「鬼は外」…と呟こうとした瞬間、なんか馬鹿馬鹿しくなってしまった。

所謂日本の自称インテリ、リベラル知識層は「鬼は外」なんていう日本国民を摘み上げて「排外主義だ」となじるだろうか。

 

最近の世の中を考えながら飲んでいたらあっという間に1パックが消えてしまった。豆は体にいいはずだ。

 

世の中的こんなこと言ったら怒られるんだろうけど、今の日本には外に追い出すべき問題が多すぎる。

僕らの社会の変質はあまりに急すぎて、日本の秩序や文化を破壊する外国人や企業、世界中の争いごとのことを考えたら、この世界は鬼だらけじゃん豆足らないじゃんって無力感が頭をよぎり、仕方なく摘んだマカダミアナッツを口に放り込んだ。

「福は内」

 

福豆とか柊のような単価の低いものを敬遠し、商業主義にレイプされたフードロス製造機の恵方巻きにシフトする小売業の経営判断を僕は酷く軽蔑する*1。ちゃんと福豆を売れよ小売業。僕は好き放題豆をばら撒いた後の福茶が好きなのだ。

それを世間ではエネルギー切れと呼ぶ

「身体が重いしやる気が出ないけど朝は起きれる」

「お腹は空いてるしご飯はめちゃくちゃおいしい」

「仕事が全然面白くない…というか仕事以外もワクワクしない」

「やりたいことがなくて焦ってるのに空回りだけはする」

「なぜみんな仕事に没頭できるの?」

「自分の未来が想像できない」

 

…と、まるで鈴木ジェロニモのように最近のことをぶつ切りにしてChatGPTに放り込んだら、「典型的な軽〜中等度の消耗状態(バーンアウト寄り) で、生きる方向性がすぽっと抜けている」と現状分析が返ってきた。

 

いわゆるHSP気質の自分にとって周辺の音や会話が時々大きな負荷になるのだが、これが回復可能な負荷を超えてきている。

贅沢な希望だと怒られるかもしれないけど、1日のうち3-4時間は誰にも話かけられたくないしTeamsの通知なんて見たくも聞きたくもない。放っておいてほしいのだ。予測不可能な会話や不快な音楽はリソースをどんどん消耗する。

 

ChatGPT先生によると、何も考えずぶらぶら写真撮りながら歩き回るのが回復への道らしい。写真を作品にするとかシリーズものにするとかノルマを考えずに、撮り歩くだけ。そんなことやっていていいのか…許されるのか…。

仕事辞めて二ヶ月くらい自由になりたい。

いい歳した大人が雪に興奮する

海沿いの街に雪が積もったのは何年ぶりだろう!

高々数センチの積雪に胸を高鳴らせ、掌の感覚がなくなるまで雪合戦やって雪だるま作って雪を堪能した。たった数時間だけど。

 

M11-DとC Biogon 2,8/35の組み合わせ。白の深みって言葉がふと思いついた。

 

雪国の人から見たら馬鹿げた光景かもしれないが、関東人にとって積雪はライフイベント。誇張でも何でもなく一大イベントなのだ。

着ていたパーカーがぐしょぐしょになり隣人からニヤニヤされて風呂に飛び込むまでが関東の雪遊びだ。

また来年…まで待てないからさっさと降れ!あと3回くらい!

クロード・モネ展@アーティゾン美術館

アーティゾン美術館で開催中の「クロード・モネ— 風景への問いかけ展」へ行ってきた。

今年はモネ没後100年に当たる年ということで、オルセー美術館から41点が来日し修復後初公開となる「かささぎ」も展示されるとあり、雪の降る初日だというのに、足元のお悪い中大変な大入り大盛況。

 

大盛況の館内で時折気になるのが作品撮影。

たくさんの人がせっせとスマホで絵を撮っている光景はとても滑稽で、絵画は二の次で「体験消費をしている現代人」という構図がとても面白かった。せっかく展示に来たならもっと近寄ってディテールを見ればいいのに。何しに美術館きてんのよ。図録買った方がいいって。

 

美術展はもはや体験消費の場なのだ。僕は図録買った方が100倍価値があると思う。

 

もちろんモネの作品群がこの展示の主役なのだが、個人的にはスタイケンが撮影したベネチアの写真と、ヘンリー・エマーソンが撮影した「睡蓮の採取」がとてもよかった。エマーソンのプリントは1886年にガラス乾板で撮影されたもののプラチナプリント。ディテールも豊富で、昨日撮ってきたのではないか?と思わずにいられない。そんなクオリティの写真。全然古くなっていない。

 

展示数の多さに引きずられるように図録も豪華。

大規模な回顧展であり入館者数を制限しているので中平卓馬展の時のように図録売り切れはないと思うけど、興味のある方はぜひお早めにアーティゾン美術館に足を運んでいただきたい。モネ展は5月24日まで。

今年もCP+に足を運びます

もうすぐ開催される CP+へ今年も行こうと思う。

今年も開催されるシグマ図書館、DxO主催のハービー山口が登壇するセミナーとFilmPackの説明をしてくれるセミナー、コシナのブースに行こうと思う。入手困難となった写真集を惜しげもなく読めるシグマ図書館は素晴らしいので、写真が好きな人はぜひ足を運んでほしい。正直製品なんてそっちのけでいいから写真を見にいく。これ大事。

 

昨年のシグマ図書館の様子。レアな写真集を含めてこれだけ沢山の写真集を一度に見れる機会は中々ない。

 

今年もシグマ図書館にずっと居座っている可能性が高いのだが、可能な限り世の中を見てこようと思う。古いカメラとレンズでフィルム写真ばっかり撮っていると世の中のことがわからなくなっちゃいそうで怖いから。

*1:最近、恵方巻きのフードロス問題を聞かないなぁと思ったけど、今年もしっかりフードロスに貢献していた。みんな食糧価格に困ってるんだから、さっさとこんなクソ習慣やめたらいい。1万円超えも登場 恵方巻730億円市場の裏で16億円が廃棄される理由 - coki (公器)

Kentmere200、廉価版を超えた常用フィルム

コダックがDouble-Xの供給をやめてしまって以降、新たな常用フィルムはFomapan200だと思っていたのだが、増感しようが現像液変えようがどうにも解決できないFomapan200の「いなたさ」に匙を投げ、お試ししたKentmere200が想像以上に良かったので所感を書き残しておく。

モノクロフィルムの現在地

モノクロフィルムに関しては、乳剤設計から製造までを行なっているのは世界中で5社しかない *1

 

聞いたことのないメーカーのフィルムは、ほぼ全てこれらのメーカーが作った原反や長巻きロールを詰め直しただけの代物なので、源流を辿っていくとその中身はFomapanかKentmereのフィルムだったりする。

コダックのフィルム価格が高止まりする中、今のモノクロフィルム写真を支えているのはこの2社と言ってもいいだろう。

Kentmereの立ち位置について

Kentmereの歴史は意外に古く、1906年にイングランドで創業した老舗ブランドだ。

Harman Technologyが2000年台にブランドを買収後、高価格帯をILFORD、低価格帯のフィルムブランドにKentmereをあてがった。

 

元々Kentmereはミッド、ローエンドな製品を作っていた会社のようで、買収後もそのままILFORDのセカンドラインに収まっているものの、製造はILFORDと同じ設備で行われているので、違いがあるとすれば乳剤設計くらいだ。

Kentmere200、2025年に新発売された古典粒子フィルム

2025年に発売されたこのフィルムはKentmere 100やKentmere 400の改良版ではなく、新設計の乳剤を使ったフィルムのようだ。

 

過去に何度かKentmereを使った印象がちょっと微妙で、コントラストが薄くて黒も締まらない、どっちつかずの安物フィルム…みたいな印象を抱いていたのだが、宣伝文句の「しっかりコントラストの新設計フィルム!」というくだりに惹かれて使ってみたら、Kentmereに抱いていた印象がすっかり変わってしまった。もちろん良い意味で。

 

まずは一枚目を見てほしい。

精細さとコントラスト、ハイライトの気持ち良い抜けとパンチ力ある黒の説得力よ。

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

 

Kentmere=コントラストが薄い=なんか微妙…って思い込みがあるので、一段増感してISO400とし、攪拌の回数をデータシート通りの4往復で処理した*2

 

中央部分を100%切り出し。

粒子が目立ちやすいAcurol-Nで増感現像しても十分に精細で、ハイライトの抜け感とコントラストの強さはどことなくDouble-Xに近い気がしないでもない。ISO100として減感処理した作例を見ると、さらに精細になっているので風景写真に使うのもありだと思う。

 

100% Crop. EPSON GT-X 980 Silverfast9 @3200dpi

 

古典粒子乳剤なのでTmaxやILFORD Deltaに比べてざらついた粒子感があるものの、同シリーズのKentmere 400やFomapan200に比べるとかなり精細だしコントラストも現代的。シャープネスの強さはAcurol-Nの恩恵かもしれない。

夜のストリートに持ち出せる常用フィルム

一段増感しても粒状性は好ましい水準を保っているKentmere200は、東京のストリート写真にもぴったりだと思う。長巻なら1本あたり¥850-¥900となり、Double-Xよりちょっとコスト増になるけど、1本あたり¥1,000を下回ってくれると気軽にがんがん使える。

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

Kentmere200はなにが省かれているのか?

Harman Technologyが販売するフィルムは、ファーストラインがILFORDで、Kentmereはセカンドライン扱いだ。少なくとも価格の上では。

 

差別化のポイントは使用する銀量を削減したこととアンチハレーション層を省いたことの2点らしい。公式なリリースには何も述べられていないため真偽のほどは定かではない。

 

まだプリントしていないのでなんとも言えないけれど、増感しても暗部の締まりも良さそうだしハイライトもディテールが残っているので、銀量が絶対的に足りないというわけではなさそう。

以下は引き続き1段増感して現像している*3。シャドウとハイライトの粘りと締まりは問題ないと思う。Kentmere400よりも良い。

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N EI400


アンチハレーション層についてはデータシートに書いていないので、もしかしたら省かれているかもしれない。そう言われると光源の周りが薄らぼんやりしてるようにも見えるけど、これは多分気のせい・・・と言いたいが、光源から光が溢れ出すようなブルーミングに見えなくもないし、コントラストの高さと相まってこのフィルムのアイデンティティだだろう。

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, SPUR Acurol N

Fomapan200とKentmere200、それぞれのいいところ

Fomapanの名誉のためにも、少し書き添えておきたい。

冒頭で押しても引いても現像液を変えても「いなたい」と書いたけれど、そもそもFomapanとDouble-Xではキャラクターが違いすぎるのだ。あるいはAcurol-Nとの組み合わせが良くない(僕の好みと違う)だけかもしれないが、ハイライトがどんよりしてしまう。

 

暗部からハイライトまで直線的に伸びるDouble-Xの良さはアメリカ的な快活さであり、ミドルが寝てしまうFomapanは詩的なグレートーンが得意なのだ。Fomapan200の現像はもう少し試行錯誤してみようと思う。

 

LEICA M6, Summicron-M 50mm F2, Fomapan200 SPUR Acurol N

 

ISO100としてRodinal現像すると、ミドルトーンを維持しつつコントラストが改善する。

Fomapan200の使い所はこんなシーンなのかもしれない。

 

LEICA M6, Voiktlander Color-Skopar 28mm F2.8 Aspherical TypeII, Rodinal EI100

まとめ: Kentmere200は価格に対して素晴らしいクオリティ

長巻を買って一ヶ月ほど現像時間や攪拌、希釈を変えてKentmere200をいじり回してみたのだが、Kentmere200は想像以上にモダンで素性の良いフィルムだった。

改めてモノクロフィルムには安かろう悪かろうが存在しないという結論に達した。銘柄によって異なるのはクオリティの高低ではなく横の広がり、フィルムの個性でありバラエティなのだ。

 

カラーネガフィルムだとこうはいかない。

惜しまれつつ廃盤となってしまった「フジ記録用」やコダカラー200のような最低価格ラインのフィルムと、これまた惜しまれつつ廃盤となってしまったPro400HやKodak PORTRAとは天と地ほどの差があり、信じられないような色や雑な粒がペラペラのネガの上に乗ってきたりする。

 

メーカー資料によればKentmere200は学生や初心者向けのフィルムらしいが、モノクロフィルムは現像液や現像手技、その後のプリントで結果がまるで変わってしまうからエントリークラスもハイアマチュアもなく*4、価格が2倍のTri-X*5がKemtmere200に優っているかといえば、それは好みの違いでしかない。

 

多くの人がKentmereに抱く「廉価版フィルム」の印象は、Kentmere200によって過去のものになるだろう。価格こそ廉価だがクオリティは素晴らしく、これからの写真文化を守るフィルムになると言っても言い過ぎではない。

とりあえず2-3本買って試してみて欲しい。

 

参考記事・備考

本記事に掲載した写真は、すべてSPUR Acurol Nで現像しEPSON GT-X 980でスキャンした。Silverfast9でスキャンを行いNegafixは適用せず(Monochrome設定)、露出などのパラメータは0を指定した。

Silverfast9によるスキャンの素晴らしさは以下の記事を参照。

filmmer.hatenablog.com

Kentmere 200 120の作例や純正現像液による現像作例は、以下の記事を参照。

www.joachimsenphotography.com

RodinalやHC110、D76現像の作例が豊富な記事。中盤になると解像度が飛躍的に上がる。

www.alexluyckx.com

*1:5社の内訳はHarman Technology(Ilford, Kentmere) とEastman Kodak、Foma Bohemiaのビッグ3と、それに続く小規模な企業としてAdoxやORWOの2社を加えた5社だ。富士フィルムはモノクロフィルム製造から撤退しているのでここにはカウントしない。

*2:ISO200のフィルムをISO400のフィルムとして露出を決定し、現像する時に現像時間を延長して帳尻合わせたこと。増感処理をすると精細さを失う代わりにコントラストが上がる。

*3:Redditのスレッドによれば2段増感してEI800として使ってる事例もある。かなり荒れているようにも見えるが、これくらいの荒れ具合なら用途があるかもしれない。Has anyone pushed Kentmere 200 to 800?

*4:ハイエンド製品に関しては生産管理、工程管理を厳格に行いロット間のばらつきを抑えているという昔話を聞いたが、一次資料に当たれないのでここではその話題は割愛。コダックが南米で牧場買っていた話だとか。

*5:2026年2月時点でのヨドバシ価格はTri-X 400 が¥2,590、Kentmere200は ¥1,080




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