28
2月28日で28歳になった。歌ネットのフレーズ検索に数字を入力して、年齢にちなんだ楽曲を探す恒例行事をするも、ロックスターが亡くなりがちな歳と比べるとどうも少ない。Superflyの「28」や、ART-SCHOOLの「SAD SONG」などが引っかかるも、どうもピンと来ない。検索候補に上がったヤバイTシャツ屋さん「2月29日」の歌詞を読み、28日生まれなりの29日苦悩が蘇る。自己紹介で誕生日が2/28だと言うと「あと1日遅かったら危なかったですね!」と人生で幾度となく言われてきた。「閏年生まれじゃないんです(笑)」と答えるのがテンプレ。あまりにも言われ続けたので2月29日のことが嫌いになりかけていたが、今は一周回って愛着が湧いてきた。エバースのM-1決勝ネタ「桜の木の下」で閏年がイジられたのもなんだか嬉しかったし。
曲のリンクと共に呟きたかったので、なんかちょうどいい曲ないかな...と頭を悩ませていたところ、BUMP OF CHICKENのオタクから「あるやろがい!!!!!」と『orbital period』のリンクと藤原基央の大長文が送られてきた。そうだった。28年周期の興奮を原体験に持ち、未だに同じ熱量で語り続ける男にとって、「28」はどんな数字よりも大切なものだったが、BUMP OF CHICKENを内面化しきれていない私はすっかり抜け落ちていた。ホームシック衛星のリバイバルツアーにも行ったのに。反省。
ということで、28歳を象徴する一曲として選んだのは、「Voyager,flyby」のライブ音源。『orbital period』の最初と最後の曲を合体させた新曲で、当時からのファンは興奮で頭がおかしくなっていたが、100%その興奮を共有できなかったのがくやしい。
しかし、30に近づくにつれ、精神年齢と実年齢がどんどん解離している気がする。焦っています。決定的だったのは、大学時代サークルでお世話になった恩師が退任されるということで、地元で開かれた送別会にて、10代の後輩たちと話したとき。大きな目標を掲げ、活き活きと議論する後輩たちを見て、結構面食らってしまったというか。この子たちが不安なく活動できるようちゃんとサポートせねばいけない立場に、今、いるんやな......という。28歳、焦っています!!!!
伊藤詩織さんのこと
2月半ばくらいから、伊藤詩織さんのドキュメンタリー映画『Black Box Diaries』をめぐる一連の流れを追っていた。きっかけは望月記者が名誉棄損で提訴されたニュース。伊藤さんの取材を続けてきた望月さんが、当人から訴えられるような事態に進展したことに衝撃を受けた。未だに何故わざわざ提訴する必要があったのかはよくわからない。
状況を把握するためにまず読んだのは小川たまかさんの記事。伊藤さんの民事訴訟を長らく傍聴し、伊藤さんに近しい小川さんも、『Black Box Diaries』に関しては伊藤さん側の姿勢に疑問を呈している。
ホテル映像は「決定的証拠」なのか 『Black Box Diaries』議論に足りないもの(小川たまか) - エキスパート - Yahoo!ニュース
続いて提訴された当人である望月記者の主張もArc Timesの放送より確認した。「東京新聞は謝罪・訂正したが、望月記者は誤りを認めていない」という食い違いがよくわからなかったからだ。結果、小川さんの記事にある東京新聞についての言及にある通り、見出しと一部誤読を生む部分を修正したにすぎず、根幹の変更はないため、別に矛盾しているわけではなかった(東京新聞は望月さんをもっと守ってやれよ...とは思ったが、あまりにも急な提訴だったため対応で難しかったのだろうか)。上記番組内で、望月さんはこれまで伊藤さんを心から支援してきた人たちが、不意打ちで全世界に晒されるような形になったことについて悔しさをあらわにし、尾形さんは内部告発者である捜査員Aの身元が関係者からは確実に特定できる形で描いたことについて、ジャーナリズムの基本を守れていないと批判している。
そして2月20日、伊藤さんに映画の修正を求める元代理人の西廣弁護士、佃弁護士、角田弁護士らによる二度目の記者会見が開かれた。本来であればその後に伊藤さんの会見も開かれる予定だったが、伊藤さんの体調不良により中止となり、代わりに声明文が発表された。会見と声明の一次情報はDialogue for Peopleと東京新聞の記事が詳しい。本筋とズレるからかあまり世間で言及されていないが、にれの木クリニック院長の長井チヱ子さんの文章は一読の価値がある。
映画『Black Box Diaries』をめぐる記者会見・声明など - Dialogue for People(ダイアローグフォーピープル/D4P)
〈全文〉「伊藤詩織さん、真実から目を背けないで」 8年半支えた弁護士が指摘する「映像無断使用」「約束違反」:東京新聞デジタル
まずは、西廣さんらが訴えた通り、協力者らの音声や映像に編集を加え、個人が特定できないように修正する旨が伊藤さんから宣言されたことにほっとした。公の場で宣言した以上、さすがにこれ以上の撤回はないだろう。一方、防犯カメラ映像の使用については、公益性の観点から一部編集し引き続き使用する旨を述べている。この点は西廣さんらと引き続き協議することになるのだろう。「誓約書を書いたのだからちゃんと守れ」という主張も、「この映像がなければ被害が虚偽だと思われかねないから映像表現において必須なんだ」という主張も、わかる分落としどころが難しい。
色々な人の記事を読み、ドキュメンタリーというメディアの難しさも感じた。尾形氏が指摘した「ジャーナリズムの基本」も、弁護士らによる指摘も、ドキュメンタリーの性質をあまり考慮してくれていない。ドキュメンタリーの場においては許容される「グレー」を一切許さない構えは、彼らの立場上正しくはあるのだが、その正しさを優先しては描けないこともある、と伊藤さんはよくわかっていて、不義理と言われようと突破しようとしたのだろうが、その結果公の場で対立する形になってしまった。
ドキュメンタリーの性質については以下の記事が詳しい。すべての出演者に許諾を取ることの困難さや、時に強行突破することで獲得できる社会的意義について綴られている。
閉ざされたBLACK BOXを開けるために |Atsushi Funahashi
『ブラック・ボックス・ダイアリーズ』で交錯する視点──伊藤詩織監督の「表現」と法律家の「倫理」の相克(松谷創一郎) - エキスパート - Yahoo!ニュース
この件で思い出したのは、東日本入国管理センターの面会室での映像を隠し撮りし、入管の問題点を追究したドキュメンタリー映画「牛久」のこと。公益性の観点でこうしたグレー...というかアウトに近い表現行為が許されるケースもあるのだと知った。公的機関の隠し撮りとは意味合いが異なるが、ドキュメンタリーにおける証拠映像の重要性をこの作品から知った身としては、監視カメラ映像の使用は認められてほしいと思った。弁護士や記者らが誓約書の存在を見逃せないのもわかるのだけど、この映像はやはり伊藤さんにとって作品の核なのだと思うし。観てもないのに言うのもなんだが...(結局日本語圏で観られる人/観られない人で線引きされてる状況が事態をややこしくしたんだよね)
ただ、伊藤さん側の根回しがうまく行かなかったのは確か。西廣さんが会見の中で「修正を要求したら伊藤さん側から「上映を妨害する意図を認めざるを得ず、底知れぬ悪意を感じる」と批判された」と語っていたが、相手方の切実な要求を強い表現で封じ込めるようなやり方はやっぱり変だなと思う。望月記者への不意打ちの提訴といい、伊藤さんがやるとは思えず。伊藤さんの今の代理人弁護士が強硬姿勢を推奨しているのでは?と勘繰ってしまう。
また、西廣さん側にも気になる点はあって、特に角田さんの主張が蛇足すぎた。「普通の日本人なら『恩を仇で返すな』という感覚は幼い頃から叩き込まれている」などといった道徳観をあの場で披露する必要は果たしてあったのだろうか。長らく性暴力事件を戦ってきた角田さんが、被害者である伊藤さんに道徳観を振りかざして圧をかけた意図がよくわからなかった。それに、水面下の調整がうまく行かなかったとはいえ、大きく注目を浴びることをわかっていながら、公の場で会見する必要があったのか?というのもなんだか腑に落ちない。
何にせよ、これ以上対立が起きるのは見ていてつらいし、うまい落としどころが見つかってほしいと願うばかり。「使用許諾を取らずに公開した映画」というイメージがついたまま広まり、映画の社会的意義や伊藤さんの社会的信頼が不用意に損われてしまうことは、西廣さんらだって望んでいないだろう。この件で得するのは伊藤さんの被害をなかったことにし二次加害を続ける加害者らだと思うと最悪だ。一方で、伊藤さんを守る一心で西廣さんら批判者を強く糾弾する人たちにもうんざりさせられた。Twitterなんて見るもんじゃない。
この機会に今更ながら『Black box』を読んだけど、山口氏の悪辣な加害行為や非協力的どころか制圧にかかる警察や検察に対して最悪な気分になったし、こんな最悪な気分をずっと抱えたまま戦い続けている伊藤さんの胸中を思うと苦しかった。伊藤さんが当時でいうところの準強姦被害を受けた時から性犯罪周りの法改正が進み、昨年「不同意性交等罪」という「同意」を軸とする罪状へと変化した。伊藤さんの被害も、『Black box』内で引用された鹿児島ゴルフ指導者準強姦事件も、現在の法だったら不起訴処分や無罪判決になどならなかったのではないかと思うと、法の進展は喜ばしいことだが、この間に失われたものは大きい。
色々書いてきたけど。とにかく私が願うのは、協力者らを傷つけることなく映画が日本でも無事に上映されること。伊藤さんをはじめとする、性被害を訴えている方への二次加害がなくなること。そして、性犯罪の悪どさが正しく認識され、加害者が正しく裁かれる社会になること。
エンタメ月報
me and you club加入
あるインタビュー記事を読んで興味を持ち、入会してみたものの、まだ全然うまく活用できていない。発言するのに緊張感がある。まずは何か日記を書いてみるところからかなあ。慣れたらオンラインイベントに参加してみたい。
街ブラ-1グランプリ
バッテリィズの寺家さんが予想通り千鳥からいたく気に入られ、エース父とのもんじゃ焼き会で虚無顔がカメラに抜かれた際の瞬間最大風速がものすごく、街ブラ-1史上最も笑った回だった。
春ねむり My Best
以前から存在を認知してはいたが、2月半ばのある日、急に春ねむりの音楽がダイレクトに刺さった。春さんの詩は「絶対に受け手に誤解されねえぞ」という意思が強く、不足なくダイレクトに伝わってくるところが好き。怒りを込めて丹念に研いだ刃を生命を冒涜する世界へ突き付けると同時に、踏みつけられてきた生命を強く抱きしめる。そんな春さんの音楽が持つ強さに圧倒された。上のプレイリストは特に気に入った楽曲をセレクトし、セットリスト風に組んでみたもの。中でも好きなのは、都市開発に伴う環境破壊を強烈に批判する「森が燃えているのは」、婚姻制度と異性愛至上主義に中指を立てる「Don't make love vow feat.Pyra」、谷川俊太郎の詩を大胆に引用しリズミカルに鼓舞する「生きる」。あとは「夜を泳いでた」の終盤の一節が好きすぎて抱きしめてる。いつか生演奏を浴びてみたい。
あとこれはただの妄想だが、Jaguar Jonzeとの共作曲「don't call me queen」は曲調も詞も佐藤優樹さんに似合いすぎるのでいつかカバーいただけないでしょうか? ‘Don’t call me queen!!! I’m a human being!!!’と髪を振り回しながら叫ぶ佐藤優樹さんを妄想してニヤついてます。
tricotワンマン
長らく聴いていたけど何気にライブは初のtricot。material clubのワンマンでついにキダ先輩にメロってしまったことでようやくチャンスが訪れた......くせに入場の際ぼーっとしすぎてキダ先輩がまったく見えない位置についてしまった。何しとん。イッキュウがバチクソカッコよかったからいいけど。ミステリアスで緊張感のある演奏と、関西ノリのお笑いMCとのギャップが好みど真ん中だったのでまた行きます。中嶋イッキュウの喉を守る「加湿人」としての使命を果たすためにも......。

ライブ数日前に公開されたキダ先輩の「くい」カバーがキダ・モティフォの原液って感じででろんでろんに溶けた。聴いてるか米咲......。
超英雄祭2025
東映特撮との距離間が「序盤数話と最終話だけ見る」「超英雄祭だけ見る」になってしまった。作り手への冒涜すぎる。ライブにおける戦隊楽曲の煌めきには抗えず、最新作をちゃんと追ってなくても超英雄祭だけは拾っておきたくなる。私的ハイライトは初手「全力キング」と、世代を跨いた戦隊ダンスメドレー。曲ごとに退場しなかったお陰でジュウオウダンスを踊るキョウリュウジャーが見られたのが嬉しいサプライズ。
映画『ロボット・ドリームズ』
フォロワーの猛プッシュで鑑賞。ロングランたすかる。EW&Fの「September」がやたら流れるので学バン所属時代の記憶が蘇って頭を抱えたけど、100億満点の使い方をされたので浄化。途中の小鳥のシーンが好きすぎて、2月は「Whistling Danny Boy」のメロディを事あるごとに口ずさんでいた。私の第一印象は「『パスト ライブス/再会』じゃん!!!」です。フォーカスするポイントが違うので似て非なるものではあるが。Sara Varonの原作も読んだけど、あのドライな話をよくここまでドラマチックに膨らませたもんだ。配給会社の公式YouTubeに挙がっていた制作風景も面白かったので必見。実写畑の監督だからこんな画になったのか!という発見がある。
激プッシュしてきたフォロワーの感想ラジオ(最後以外ほぼネタバレしてなくてすごい)と、あらゆる感想のなかでいちばん共感したラジオを添えておきます。
映画『雪子 a.k.a.』
別のフォロワーの熱い感想連投を見かけて鑑賞したが、もうぼろっぼろに泣いた。平日は淡々と小学校教師の仕事をこなし、休日はラッパー仲間と趣味を謳歌、恋人との関係も決して悪くない29歳の主人公が抱える、漠然とした不安感が痛いほど伝わってきたし、むくむくと膨らんだ不安が破裂した先で巡り合う血の通った連帯や、故郷長崎で挑むラップバトルを通して「本音」を見つけていく過程、自分の本音を認めたことで果たせた生徒との心からの交流...などなど、地道に積み上げられた物語にまっすぐ心を打たれた。大好きな映画「偶然と想像」の占部房子さんが重要な役を担っていたのも嬉しかった。
るんちょま
「にじさんじの人がBEYOOOOONDSに言及した」というツイートから知ったるんちょまことルンルンさん。あまりにも可愛すぎて、YouTubeのアルゴリズムが完全にジャックされた。フォルムの愛らしさ、言葉の節々から滲み出る聡明さ、ホラゲ実況時の異様なほどの怯えよう...などを見てちょっとずつ良さがわかってきたところに、好きな音楽にamazarashi、BUMP、きのこ帝国を挙げていると知りとどめを刺された。

中でもamazarashiは特別なようで、カバー曲として挙げたり、縛りの歌枠をやってたりする。アニソン枠で「1.0」を歌うのはさすがに強火すぎるが。懸命に、切実に歌う様に心打たれます。
堂島孝平生誕フェス2025
配信で観た。今年は過去曲も多く、全体的にクールな構成だったが、それもこれもアンコール明け盆踊り大会の前振りだった。笑いの神が降りまくり。新曲「真夜中のファンファーレ」がまっすぐにBIG LOVEを歌う大名曲で、いまのところ現場限定販売なのがくやしい。歌詞のすべてをアンジュルムの卒コンに重ねて涙。「「ごめんね」の真ん中には「だいすき」って意味もある」と歌い、旅立っていく相手を「いつだって私は味方」と送り出す2番の歌詞が特に好き。
INIソロコン(「浮遊生物」「KiDS」)
許豊凡さんの「浮遊生物」と西洸人さんの「KiDS」を購入。好みのジャンル、持っている世界観、ファン層が全然異なるからか、カラーの異なるライブでどちらも楽しかった~。許さんは映像や楽曲を組み合わせてひとつの物語をじっくり描いてくれたことで、一本の映画を観たような満足感があった。「エイリアンズ」はもちろん最高だったし、YUIで青春を送った身としては「Good-bye Days」がグッときた。大名曲だけどそこまでスポットが当たっているイメージがなかったので、許さん的に「青春曲」を1曲ピックアップするとそれなんだ!というおもしろさ。ファンの世代を意識してくれたのかな。オリジナル曲の「Like Water」も素晴らしかったなあ。一方西さんはDJパートと歌唱パートで構成し、後者は全曲オリジナル。遊び心に溢れていて、子どものようにはしゃぐ西さんの姿にときめいた。「KATAKI」が楽しすぎてずっと頭に残った。
『付き合ってくれてもいいかな』完結
つきかなまで終わってしまった!なんか最近好きな漫画がどんどん完結するんですけど...。また別記事で書きますが、とりあえず一言。環ちゃん!!!愛してるぜ!!!!!
FLASH THE FIRST TAKE
祝!BEYOOOOONDSがTHE FIRST TAKEに!本篇ではなく60秒間の別枠起用ではあるが、3夜連続公開で結果的に3分間の枠をもらったった。第2夜のSeasoningSプレミアムが愛おしすぎて泣いた。うーみよは最強のシンメ!
【連載】「アイドルになってよかった」と言いたい 第3回
ものすごく勇気の要る開示だったと思う......。パートナーの話はファンコミュニティ内でしかしないと思っていたから。家族の話も。「家族との時間を犠牲にしてまでアイドルになってくれてありがとう」、的な美談にされがちだけど、そうはしたくない。抱きしめるように読んだ。
3月の目標
・SQLの勉強をがんばる
・Pocketアプリに溜めたWeb記事を読む
・SNSをなるべく断つ
・代わりに読書する
・崩したい積読本
- 山本龍彦『アテンション・エコノミーのジレンマ 〈関心〉を奪い合う世界に未来はあるか』
- 斉藤章佳、にのみやさをり『性暴力の加害者となった君よ、すぐに許されると思うなかれ 被害者と加害者が、往復書簡を続ける理由』
・聴いているPodcastに感想メールを送る
・me and you clubに何か投稿する
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