さて、今回も色んな形で出会ってきた音楽をアーティスト別に紹介していきます。前回はこちら。
自宅待機を義務付けられていた頃から月日が経ち、外食に出歩くことを特別罪を意識を抱く必要もなくなりましたが、まだ「自粛癖」は抜けてません。というか、完全にシミついちゃった。決して引き籠りが得意な訳ではないので過度な自宅待機はストレスですが、クセになってしまったら逆に外出がダルくなりますね。習慣って怖い。
そんな時は回想に耽りまくるのも良いでしょう、ということで、後編は主に高校時代後半と、大学時代以降に出会った音楽達について語ります。時代やジャンルを超えて、たくさんの「好き」が増えました。
- サカナクション
- きのこ帝国
- 在日ファンク
- ペトロールズ
- Sammy Nestico & The SWR Big Band
- Rob Parton's Jazztech Big Band
- Pat Metheny Group
- Michel Camilo
- UNISON SQUARE GARDEN
- King Gnu
サカナクション
・お気に入り曲:「目が明く藍色」
・お気に入り作品:『DocumentaLy』
まずは続・高校時代に出会ったアーティストについて。1組目はサカナクションです。
おそらく一番最初の出会いは、偶然観たミュージックステーションで披露された「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」。タイトルにまず驚き、横一列に並んで奇妙な音楽を淡々と演奏する5人組集団の姿に、ミュージシャンに抱いていたイメージを覆されました。それ以来彼らの虜になり、YouTubeで過去曲の映像を漁り、TSUTAYAまで自転車を走らせ『DocumentaLy』『kikUUiki』『NIGHT FISHING』『GO TO THE FUTURE』辺りを一気にレンタルした記憶があります。
サカナクションは日常によく馴染む音楽が多く、通学時に聴き続けていましたが、ライブに行くまでには至りませんでした(どう考えても最高が確約されているのに...)。この自粛期間中の配信ではじめて、彼らのパフォーマンスを画面越しに体感することになりました。創意工夫の絶えないバンドという印象通り、大胆なアレンジが多く、同じ曲でも毎ツアー印象が違う。全く飽きない。
お気に入りは7分半の大曲、「目が明く藍色」。当時は「構想9年」という触れ書きに疑いの目を向けていましたが、歳を食うにつれて、こんなとんでもない楽曲を形にするにはそりゃ時間かかるよな、と納得。当時のディレクターである関口さんのお陰で世に出すことができた*1、と10周年ライブにて一郎さんが泣きながら話していたことから、メンバーからの思い入れの深さも伺えます。静寂から始まり、幾重にも物語が展開し、最後に景色が開けた瞬間のカタルシスといったら。
お気に入りの作品は『DocumentaLy』。代表曲の「アイデンティティ」「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」は勿論、重厚な楽曲たちが勢ぞろい。本来のサカナクションが持つ内向きの音楽性と、大衆に広く届けるためのアイデアが徐々に交わり始めた時期です。
きのこ帝国
・お気に入り曲:「夜鷹」
・お気に入り作品:『フェイクワールドワンダーランド』
2組目はきのこ帝国。出会いはやはり『SCHOOL OF LOCK!』。生放送教室史上最も印象深いあーちゃん先生と佐藤先生の回で、真摯に生徒の話へ耳を傾ける優しく思慮深い人柄と、衝動的で暴力的な楽曲とのギャップにガツンと殴られました。「やさしい人たち」から生まれた曲が、神秘的で禍々しくて、心がザワつきまくり。技術の授業で作った小さなラジオを抱きしめながら、眠れなくなったあの日のことを今でも覚えています。
多分きのこ帝国の音楽に出会ったのは、たまたま聴いたこのラジオだと思う。「生放送教室にきのこ帝国先生来校!」の文字をみて、「なんだこの変な名前(笑)」と思ったのが第一印象。でもこの回でかかった「ユーリカ」「ロンググッドバイ」「春と修羅」「夜鷹」に衝撃。特に後半2曲にやられた。所謂ポストロックというジャンルに出会った瞬間がこれである。「東京」以降も好きだけど、この頃を思い出すと初期のアルバムはやっぱりいいなと思うのです。
曲も良いけど、生徒に優しく話しかける佐藤先生とあーちゃん先生がまた良くて。特に最後の生徒「蒼 あおい」さんとの会話はすごい覚えてる。確か、最後の提供を読み上げるところに食い込むくらい話し続けてたんだよね。どこで聞いたのか忘れたけど、番組が終わっても逆電を続けてくれたらしくて。そんな、生徒の悩みに真剣に向き合うきのこ帝国のお2人の姿がまさに「先生」で、感銘を受けた。
私とSCHOOL OF LOCK! 「ラジオの中の学校」に登校した日々 - 零れ落ちる前に。
お気に入り曲はこのラジオで出会った「夜鷹」。いわゆる「ポストロック」というジャンルで、轟音の中で<シリアス、ベガ、アルタイル、ティコの星>と唱え続ける宇宙的な曲なのですが、その世界観の虜になりました。
作品単位だと「東京」「クロノスタシス」等名曲揃いの『フェイクワールドワンダーランド』。やっぱり外せませんね。活動休止は残念ですが、彼女たちが鳴らした音楽をこれからも生活の一部として染み込ませていきたいです。
在日ファンク
・お気に入り曲:「才能あるよ」
・お気に入り作品:『爆弾こわい』
スクールカーストというくだらない概念で縛られていた高校時代、決して自分と交わることのなさそうな「陽の者」から教えてもらった在日ファンク。その人は家族全員で在日ファンクが好きだそうで、理由は「なにも考えずに聴けてハッピーになれるから」。そんな音楽を、たとえばMONGOL84とか、GReeeeNじゃなくて、在日ファンクから享受してるってところがなんか良いなと思い、その人の影響で聴き始めました。お気に入りはその人から借りて聴き込んだ『爆弾こわい』の全曲。強いて1曲挙げるなら「才能あるよ」。バンドメンバー同士で「〇〇の才能あ~りません!」と笑い合う間奏が超ハッピー。
ペトロールズ
・お気に入り曲:「ホロウェイ」「雨」
・お気に入り作品:『Renaissance』
長岡亮介がフロントマンを務める3ピースバンド。余白、行間さえも自分たちの音楽として取り込むことができる最強のギターロックバンドだと思っています。前編で言及した東京事変を通して仲良くなった親友から教えてもらった、私にとって替えのきかないミュージシャンです。
お気に入り曲は「ホロウェイ」。これぞペトロールズ!な1曲で、7分間の中でテンポが二度がらりと変わる大胆な構成が癖になります。ライブだと「Not in service」とぶっ続けて計10分超演奏されるのが定番です。「雨」は長岡亮介の弾き語り動画を見た日から殿堂入り。作品単位だと初のフルアルバムで満足度の高い『Renaissance』かなあ。正三角形のパッケージがインパクト大で、棚に綺麗に収まらない......笑
2024年11月26日、ドラムスの「ボブさん」こと河村俊秀さんが急逝されました。未だに現実として受け入れ難い。早すぎる。しかし、今年の夏、私にペトロールズを教えてくれた上述の親友からペトロールズとカネコアヤノの対バンライブに誘われ、一緒に見ることができたのが唯一の救いでした。間に合ってよかった。
Sammy Nestico & The SWR Big Band
・推し曲:「Blue Samuel」「Time Stream」「The Heat's On」
・推し作品:『Fun Time』
ここからはジャズ編。前述の親友が、幼少期から地元のジャズバンドに参加しており、彼の影響を受けて(あまりにも影響を受けすぎている)私は大学時代ビッグバンドサークルに所属することになります。そこで知ったバンド、楽曲の中から気に入ったものをいくつか紹介させてください。
まずはジャズサーの先輩に「ジャズって言ってもかなり広いですが、何から聴いたらいいですか?」と質問した際、真っ先に挙がったSammy Nestico。アメリカの大御所作編曲家で、世界的に有名なスウィングジャズバンド「Count Basie Orchestra」でも数々の名曲を作曲されました。そんな彼がドイツの名門ビッグバンド「The SWR Big Band」とコラボしたアルバムが4作あり、サークル入部当初はその作品群をひたすら聴いていました。ジャズ初心者でも聴きやすい曲が多いんじゃないかと。
お気に入りはコラボアルバム第3弾の『Fun Time』。1曲目の「Blue Samuel」が出だしから豪快で、ビッグバンドサウンドを全身で浴びることができる名曲です。他の作品だと疾走感のある「Time Stream」や「The Heat's On」が大好きで何度も聴きました。
Rob Parton's Jazztech Big Band
・お気に入り曲:「Two Different Days」「Main Street News」
・お気に入り作品:『Two Different Days』
トランペット奏者のRob Partonが率いるビッグバンド。正直どんな背景を持つバンドなのかあんまりよく知らないのですが、楽譜が多く流通されており、学生バンドで選曲される機会が多いことで、アルバムを聴き込む内に自然と好きになっていきました。華やかで初心者の耳に馴染みやすい曲もあれば、複雑かつ重厚な大曲もあり、ビッグバンド入門編としてちょうどいいバンドです(たぶん)。前者だと「Main Street News」、後者だと「Two Different Days」が好み。
Pat Metheny Group
・お気に入り曲:「Have You Heard」
・推し作品:『The Road To You(Live)』
ジャズギタリストPat Methenyがリーダーを務めるフュージョンバンド。一番最初の出会いはジャズサークルに入る前。『ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース エジプト編』のEDテーマに起用された「Last Train Home」でした。1、2部アニメのYes「Roundabout」に始まり、海外のバンド曲をEDテーマに据えるのがお決まりでしたが、3部エジプト編のエンディングはこれまでとは毛色の異なるInstrument曲でインパクト大。その時はPat Metheny Groupを掘り下げることはありませんでしたが、ジャズサークルで再びPat Methenyに出会い、彼の超絶技巧に惚れました。完コピは全然できなかったけど、彼のソロを必死になって練習していたあの頃...。
お気に入りは変拍子でありながらキャッチーなメロディが極めて自然に進行する聴き心地最高の名曲「Have You Heard」。ライブ盤が客席の熱気込みで大好き。またこれはPat Metheny Groupとは別のUnity Bandというカルテット編成の楽曲なのですが、「New Year」という楽曲が色気の塊…。
Michel Camilo
・お気に入り曲:「Not Yet」
・お気に入り作品:『essence』
ドミニカ共和国出身のラテンジャズピアニスト、Michel Camilo。こちらも学バン時代に出会い、人間離れした超絶技巧とエモーショナルな表現のバランス、そして「顔で弾く」を極めた演奏時の楽しそうな姿に一目惚れ。東京在住の頃、2〜3度の来日公演を逃さず観に行くくらい大好きなミュージシャンになりました。
お気に入りの曲は、間奏明けの俊敏なカミロおじちゃんが可愛すぎる以下のライブ映像を見てハマった「Not Yet」。作品だとビッグバンド編成でカミロの名曲達に最新のアレンジを施した『Essence』。「On Fire」の魂を燃やし尽くすかのような演奏ぶりに毎回スタンディングオベーションしたくなるほど大興奮。
UNISON SQUARE GARDEN
・お気に入り曲:「アトラクションがはじまる (they call it “NO.6”)」
・お気に入り作品:『Catcher In The Spy』
大学後半、サークルを引退した辺りで、一気に楽曲ジャンルの揺り戻しが起こり、UNISON SQUARE GARDENをかけながらドライブしまくりたい時期が唐突にやってきたのでした。その際に一番聴いていたのは「アトラクションがはじまる (they call it “NO.6”)」。語感の気持ち良さとキメの多さ、楽曲のドライブ感で一気にバンドの虜になりました。作品だともう10年前のリリース作ですが、当時は特に『Catcher In The Spy』をヘビロテしていました。
King Gnu
・お気に入り曲:「Teenager Forever」
・お気に入り作品:『Sympa』
揺り戻し期間にハマったロックバンドpart.2。元々J-POP畑じゃない人達が作るポップスということで、展開が複雑かつ技巧的、なのにポップス的なエモさがある...。つってまんまとハマりました。今でも好きって公言できるほど最近は聴いてないけど...。ベースの新井和輝さんは一度国立音大NEWTIDE JAZZ ORCHESTRAのメンバーとして山野ビッグバンドジャズコンテストに出場しており、その時の音源をハイライトCDで聴いていた...という点ではある意味ジャズサークル時代と繋がっているかも。
アニメ「BANANA FISH」の主題歌「Prayer X」からアルバム『Sympa』を知り、仄暗い世界観にドハマりし、続いて『CEREMONY』にもどっぷり漬かりました。「Teenager Forever」の思いっきり駆け出したくなるような開放感、演奏は巧みなのにめちゃくちゃ青臭い、そのバランスがたまらない...!
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当記事は「ブログクリーンアップ Advent Calendar 2024」15日目の記事でした。冒頭の文章でお気づきかと思いますが着手したのは3~4年前のコロナ禍真っ只中です。三日坊主な私が「前編」「第〇回」と名付けておいて途中で断念してしまったシリーズ記事は数知れず。そのうちのひとつを救済するきっかけを作ってくださった木本さんには足を向けて寝れない。楽しい企画をありがとうございました!
その後、堂島孝平やゆっきゅん、和田彩花とオムニバス、lyrical school、Laura day romance…といったかけがえのない音楽が増えていった話はまた別の機会に。
