
購入しやすい価格帯やサイズ感から、軽自動車のEV(以下、軽EV)が人気を集めています。とくに日産「サクラ」は軽自動車全体のなかでも販売上位に入るほどの人気ぶりです。では、そもそも軽EVにはどんな車種があるのでしょうか。軽EVのバッテリー容量や航続距離、軽EVに向いているタイプ、利用できる補助金などと併せて、軽EVの魅力について解説します。
※この記事は2024年12月18日に公開した内容をアップデートしています。
- 軽EVは価格が安くて加速性能に優れている!
- 軽自動車のEVにはどんな車種があるの?
- 軽EVはどういう人に向いている? EVとの違いも解説
- 軽EVは補助金を使えば約200万円で購入可能
- 小型で安価な軽EV、今後どうなる?
- 電動化技術の進化で今後ますます軽EVの選択肢が増えていく
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軽EVは価格が安くて加速性能に優れている!

電気自動車(EV)はガソリン車などに比べて走行コストや維持費を安く抑えることができます。一方で、EVのデメリットのひとつとして指摘されるのが車両価格の高さです。しかし、あとで詳しく紹介しますが、日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」の2台の軽EVは250万円台から購入可能で、普通車の国産EV(約408万円〜)よりも約150万円も安く買うことができます。
また、価格がお手頃というだけでなく、軽EVは加速力に優れ、アクセル操作への反応がよくて扱いやすいという特徴があります。
たとえば、日本独自の規格である軽自動車にはエンジン出力の上限を「64馬力」とする自主規制があり、日産「サクラ」、三菱「eKクロスEV」も最高出力はそれぞれ47kW(64馬力)です。ただし、加速性能に直結する最大トルクを見ると「サクラ」「eKクロスEV」ともに195Nmに達します1)2)。これはターボエンジンを搭載するガソリン車の軽自動車の倍に近いスペックです。
1回の満充電で走れる航続距離は、「サクラ」「eKクロスEV」ともに180km(WLTCモード)となっており、ガソリン車と比べると物足りなく映るかもしれません。しかし、日本の自動車ユーザーの1日の平均走行距離は50km以下が9割を占めます3)。日常使いが中心の軽自動車として十分な性能といえるでしょう。
参考資料
1) 日産「サクラ」
2) 三菱「eKクロスEV」
3) 経済産業省「充電インフラ整備促進に向けた指針」P7
軽自動車のEVにはどんな車種があるの?
大手メーカーの軽EVはまだ車種が多くなく、2025年8月時点で乗用車が2車種、商用車の軽バンが3車種販売されています。そのうち乗用車2車種および商用車1車種の特徴に加えて、発売予定の3車種についても紹介します。
※以下、各車種は上位グレードのスペックを掲載しています。
【日産「サクラ」】軽らしからぬ上質さの人気車種

日産「サクラ」は、三菱「eKクロスEV」と基本的なメカニズムを共有する兄弟車で、2023年度にはガソリン車を含めた軽自動車全体のなかでも販売台数トップ15に入った人気車種です4)。
特徴のひとつに、軽自動車の規格に収まっているとは思えないほどボリューム感のある専用ボディがあり、大きなブラックグリルが印象的なフロントマスクは同じ日産のフラッグシップEV、「アリア」と共通のデザインモチーフが採用されています。
また、軽自動車初となる3眼タイプのプロジェクターヘッドランプ、祝儀袋などに用いられる飾り紐の水引にインスピレーションを受けたユニークな意匠のアルミホイールなど、エクステリアの随所に上質さが漂います。

インテリアでは、7インチのフル液晶メーター、9インチのナビゲーションシステムなどの基本的な装備は「eKクロスEV」と共通ですが、水平ラインを強調したインパネデザインは「アリア」譲りで、「サクラ」のオリジナリティを表現するものとなっています。
日産「サクラ」Gグレード 1)
| ボディサイズ | 全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm |
| 駆動方式 | FWD(前輪駆動) |
| 乗車定員 | 4名 |
| バッテリー容量 | 20kWh |
| 航続距離(WLTCモード) | 180km |
| 価格(税込) | 308万2200円 |
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【三菱「eKクロスEV」】SUVテイスト溢れる軽EV

「eKクロスEV」は、三菱の「ekクロス」というSUVテイストのハイトワゴン・シリーズの一員としてラインナップされている軽EVです。価格的にも走りの面でも、同社の軽自動車における最上級グレードといった位置づけになっています。
日産「サクラ」がEVらしさを追求した上質感のある軽EVだとしたら、三菱「eKクロスEV」はSUVテイストを前面に押し出した最上級の軽EVといえるでしょう。
兄弟車の日産「サクラ」ではオプション設定の充電ケーブルや本革巻ステアリングが「eKクロスEV」では全車標準装備となっており、また、「P」グレードには合成皮革とファブリックのコンビネーションシートもオプション設定されています。

さらに、SUVに装着されることの多いルーフレールがオプション設定されているのもSUVスタイルの軽EVならでは。ここも「サクラ」との違いとして注目したいポイントのひとつです。
三菱「eKクロスEV」Pグレード2)
| ボディサイズ | 全長3395mm×全幅1475mm×全高1655mm |
| 駆動方式 | FWD(前輪駆動) |
| 乗車定員 | 4名 |
| バッテリー容量 | 20kWh |
| 航続距離(WLTCモード) | 180km |
| 価格(税込) | 313万1700円 |
【スペック確認はこちら!】
▶EV車種一覧ページ 三菱「eKクロス EV」
【ホンダ「N-VAN e:」】幅広いニーズに対応する軽バン

2024年10月に発売されたホンダ「N-VAN e:」は、人気モデル「N-BOX」をはじめとするホンダの「N」シリーズの一員である「N-VAN」をベースにした軽バンEV(バンタイプの軽EV)です。
商用車といっても、広い室内空間をもつ「N-VAN」は、商用からキャンプなどのレジャー用途まで幅広いニーズに対応する軽バンと評価されてきました。EV専用モデルとして開発された「N-VAN e:」もその特徴を受け継ぎ、なかでも写真の「e: FUN」グレードにはレジャーシーンにもなじむスタイリングが採用されています。

「N-VAN e:」には普通充電口に挿して使うACタイプの外部給電器(V2L)がオプションで用意され、キャンプなどのアウトドアシーンでさまざまな家電を活用することができます。
ホンダ「N-VAN e:」e: FUNグレード 5)
| ボディサイズ | 全長3395mm×全幅1475mm×全高1960mm |
| 駆動方式 | FWD(前輪駆動) |
| 乗車定員 | 2/4名 |
| バッテリー容量 | 29.6kWh |
| 航続距離(WLTCモード) | 245km |
| 価格(税込) | 291万9400円~ |
トヨタ・ダイハツ・スズキ連合が開発する軽バンEV(2025年度発売予定)

このほかにも、トヨタ・ダイハツ・スズキの企業連合が軽バンEVを開発しています。このEVは、ダイハツの「ハイゼットカーゴ」の車体を利用したもので、リアにモーターを積んだ後輪駆動になるとされています。
本来なら2024年に発売予定でしたが、各社で型式指定の認証不正が相次いだことから、新型軽バンEVのローンチの時期は未定となっており、2025年度中に導入を目指すとしています6)。
【ホンダ「N-ONE e:」】幅広いニーズに対応する軽バン(2025年秋発売予定)

ホンダは軽自動車「N-ONE」のデザインをベースに電動化した「N-ONE e:」を発表。2025年秋に正式発売される予定で、現在先行予約を受け付けています。
これまで軽EVの代表だった日産「サクラ」、三菱「eKクロス EV」の180kmを超える、航続距離270km以上を達成するなど期待値が膨らみます。
【BYD】日本専用設計の軽EVを国内導入決定(2026年後半予定)
まだどのようなモデルが発表されるのか、全容が明らかになっていませんが、中国の自動車メーカー・BYDも日本向けの軽EV販売に乗り出すことを発表しています8)。日本専用設計の軽EVで、2026年後半に導入することを想定。海外勢の軽EVは初となり、安価な価格設定となると見込まれています。
参考資料
5)ホンダ「N-VAN e:」
6)トヨタ「スズキ、ダイハツ、トヨタ、商用軽バン電気自動車の導入時期を決定」
7)ホンダ「先行情報サイト | N-ONE e:」
8)BYD「2026年後半に日本専用設計の乗用軽EVの国内導入を決定。BYD乗用車は「乗用軽EV」、商用車は「EVトラック」の人材増強を加速」
軽EVはどういう人に向いている? EVとの違いも解説

EVはガソリン車に比べるとまだまだ車種が少ないですが、最近では輸入車を中心に車種の選択肢が増えてきました。そのなかから、あえて軽EVを選んだほうがいいのはどのような人なのでしょうか。軽EVに向いている人を3タイプに分けてご紹介します。
タイプ①経済性を重視する人
まずは「経済性を重視する人」です。ガソリン車に比べてEVは走行コストや維持費を安く抑えられますが、実際は同じEVでも電費(交流電力量消費率)には優劣があります。
たとえば、日産「サクラ」の電費は124Wh/kmですが、日産「アリア(B6)」は166Wh/kmです9)。いずれも1kmを走るために必要な電力量を示したもので、当然、充電にかかる電気代はこの数字が小さいほうが安く済むことになります。
これだけ電費が違うわけですから、長い目で見たら軽EVと普通車のEVではかなりの差が出てくるのは明らかです。単に車両価格だけで考えるのではなく、こうした経済性を重視する人は軽EVを選ぶべきかもしれません。
参考資料
9)日産「アリア」
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タイプ②近距離走行が多い人
さらに「近距離走行が多い人」も軽EVに適しています。日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」は、ともに1回の満充電で走行できる航続距離がカタログ値で180kmです。EVは外気温や冷暖房の使用などによって航続距離が左右されますから、充電の心配をまったくせずに走行できる距離は120km程度でしょう。
120kmということは、往復で考えると60km圏内となります。1日120km以内の車移動が多い人などでしたら、普通車のEVを選ばなくても、軽EVで十分かもしれません。
タイプ③小さな車に乗り換えたい人
最後は「大きな車は手に余るので軽自動車が欲しいが、安っぽい車には乗りたくない」という人です。このタイプは、いわゆる「ダウンサイザー」と呼ばれるユーザーです。
ある世代には、子育てが終わって大きな車が必要なくなり、小さい車に乗り換える人がいます。このように車体の大きな車から小さな車へと乗り換える人のことをダウンサイザーといいます。
装備が充実した大きな車に乗っていた人は、小さな車のインテリアの質感が気になるものです。その点、日産「サクラ」などはEVらしい上質さを売りにしているのできっと満足できるはずです。
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軽EVは補助金を使えば約200万円で購入可能

いくら普通車のEVに比べて軽EVの車両価格がお手頃だと聞いても、「さすがにガソリン車の軽自動車に比べるとまだまだ高いのでは…」と思う人もいるかもしれません。
そこで、2025年8月時点で軽EVはどれくらいの価格で購入することが可能なのか、また、ガソリン車と比べてどの程度の価格差があるかについて見ていきましょう。
軽EVの車両価格は普通車のEVより150万円近く安い
まず軽EVの各グレードの車両価格からご紹介していきます。日産「サクラ」には「X」「G」の2グレードが用意されていますが、このうち価格の安い「X」グレードは259万9300円(税込)となっています1)。
一方、三菱「eKクロスEV」には「G」「P」の2グレードが用意され、このうち価格の安い「G」グレードの車両価格は256万8500円(税込)となっています2)。以下の表では、主要グレードの車両価格をまとめています。
〈表〉軽EVの車両価格一覧
| 車種 | グレード | 車両価格 |
| 日産「サクラ」 | X | 259万9300円 |
| G | 308万2200円 | |
| 三菱「eKクロスEV」 | G | 256万8500円 |
| P | 313万1700円 |
※すべて税込価格です。
表からもわかるように、価格の安いグレードなら、軽EVは250万円台から購入可能ということになり、普通車の国産EVでもっとも価格が安い日産「リーフ」(約408万円〜)に比べて単純に購入費用が150万円近く安くなるわけです。
ガソリン車の軽自動車と比べると軽EVは割高?
ただし、従来の普通車EVより安いといっても、ガソリン車の軽自動車と比べると軽EVの価格が高いのは事実です。
ガソリン車の軽自動車はボディタイプなどによってさまざまなカテゴリーに分類されていますが、その価格帯のおおまかなイメージは、「エントリーモデル」が約90万~150万円、「ハイトワゴン」が140万~200万円、「スーパーハイトワゴン」が160万~240万円です。
日産「サクラ」、三菱「eKクロスEV」はともにハイトワゴンに分類されますから、その差は歴然です。ガソリン車の軽自動車とは最大で100万円以上の価格差があります。
国の補助金を使えば200万円余りで軽EVを買える
しかし、車両価格だけを見ると割高に感じますが、EVには購入時に国と自治体が交付する補助金を活用できるメリットがあります。当然、軽EVも車両価格よりずっと安く購入することが可能です。
国が交付する2025年度の補助金額の上限額は、軽EVは58万円です10)。補助金を利用すれば、軽EVのエントリーグレードなら購入費用を200万円前後に抑えることができます。
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都の補助金を併用すれば購入時に最大158万円も優遇
国の補助金に加え、地方自治体が交付する補助金を期待できるケースもあります。
たとえば、東京都では2025年度、条件によりEVに60万~100万円の補助金を交付していますので、国の58万円と合計すれば、購入時に最大158万円が補助されることになります11)。つまり、エントリーグレードなら購入費用は約100万円となり、ガソリン車と同等以上の安さで購入することが可能です。
もちろん、EVは重量税や軽自動車税の減税もあるので、ガソリン車と比較すると購入費用がよりおトクになるといえるでしょう。
軽EVはガソリン車の軽自動車よりお手頃に購入可能
なお、前述のように、日産「サクラ」と三菱「eKクロスEV」は軽自動車のカテゴリーでは「ハイトワゴン」に分類されます。日産の場合、このカテゴリーのガソリン車は「デイズ」です。
日産「デイズ」(2WD)の価格は約144万~200万円(税込)です12)。つまり、国や東京都の補助金を利用する前提で考えると、軽EVはガソリン車の軽自動車よりお手頃になる可能性があるのです。
※補助金の交付に関する最新情報は、国や自治体等のホームページにてご確認ください。
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小型で安価な軽EV、今後どうなる?

日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」は一般ユーザーに向けた乗用タイプの軽EVですが、全体としては商用ユースから電動化を進めていくのが日本のトレンドです。物流の最後を担う軽商用車を電動化して商用軽EVの普及を進めていくのは、ゼロエミッションに対する貢献が大きいだけでなく、軽EV全体のコストダウンにつながる技術革新を呼び込むことも期待できます。
ただし、駆動用バッテリーやプラットフォームの技術進化などにより、世界では中国を筆頭に「コンパクトで低価格なEV」が人気を集めていますし、国内でもホンダ「N-ONE e:」やBYDの軽EVが登場します。今後、より手頃な価格のEVが多くなってくるでしょう。
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電動化技術の進化で今後ますます軽EVの選択肢が増えていく
2022年に初めて軽EVが登場し、2024年は軽バンEVが注目を集め、2025年には新しい軽EVが登場してきます。軽バンEVに使われたバッテリーやモーターなどの技術要素は乗用車の軽EVにも応用可能でしょうから、全体的なボリュームアップによるコストダウンが進み、軽EVの普及に弾みがつくことでしょう。
また、広島県のベンチャー企業・KGモーターズが1人乗りの超小型EV(※)を税込110万円で予約販売しているように、軽自動車規格よりさらにサイズの小さいEVも登場しています。こうした小型のEVというのは、欧州や中国などで増えつつあるコンパクトEVを日本市場向けにアレンジすることでも生み出せますので、今後はますます軽EVの選択肢が増えることとなりそうです。
※KGモーターズが発表したEVは、原付ミニカー規格で最高速度は60km/h(高速道路は走行不可)。詳細は記事「超小型EVの開発者が考えるモビリティの未来」をご覧ください。
※本記事の内容は公開日時点での情報となります
