
太陽光発電と蓄電池を一緒に導入するかどうかを悩んでいませんか? 2つの設備を導入するとメリットが多い一方で、初期費用も大きくなるからです。そこでこの記事では、太陽光発電と蓄電池を一緒に導入するメリット・デメリットのほか、初期費用の概算、初期費用を減らす方法をご紹介します。
※この記事は2024年9月24日に公開した内容をアップデートしています。
- 太陽光発電と蓄電池を併用する3つのメリット
- 太陽光発電と蓄電池を併用する2つのデメリット
- 【コラム】蓄電池には「変換ロス」があることを知っておこう
- 太陽光発電と蓄電池の初期費用、いくらかかる?
- 太陽光発電・蓄電池の初期費用を抑える方法
- 電気自動車(EV)があるなら、V2Hを導入するという方法もある
- 太陽光発電と蓄電池の相性はバツグン。ただし、導入費用・方法は検討しよう
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太陽光発電と蓄電池を併用する3つのメリット

太陽光発電と一緒に蓄電池を導入すると、昼間に発電した電気を貯めておけるようになります。では、蓄電できると何がいいのでしょうか? おもな3つのメリットを紹介します。
① 非常時でも、昼夜を通して電気を使える

太陽光発電と蓄電池を導入する方の多くは、災害時の停電を強く意識されていることでしょう。2つの設備を一緒に導入すると、より強固な災害対策をとることができます。
たとえば、太陽光発電だけでも、災害などで停電したときには電気を使えるようになります。しかし、太陽光発電は日が出ているときしか発電しませんから、暗い雨天時や夜間は電気を使うことができません。
一方で、太陽光発電と蓄電池を両方とも導入した場合、蓄電池に電気を蓄えておけば、太陽光で発電できない時間帯でも、電気を使うことができるようになります。
〈図〉停電時に太陽光発電・蓄電池を併用している効果

災害時、停電した自宅で過ごすのは、非常に心細く、苦しい環境でしょう。とくに夜間に灯りがなかったり、夏冬にエアコンが使えなかったりすると、余計不安になるに違いありません。
その点、節電する意識はもちろん必要ですが、エアコンや照明、テレビ、冷蔵庫、スマートフォンの充電などに電気が使えると大きな安心につながります。毎年のように自然災害が起こる昨今、太陽光発電と蓄電池の併用は、大切なライフラインである電気をしっかりとバックアップしてくれるのです。
なお、一般家庭の平均モデルの電力使用量は1日あたり約8.7kWh1)なのに対して、3〜5kWの太陽光発電の1日の発電量の目安は約8.2〜13.7kWhです2)。天候によって発電量は変動しますし、変換効率の問題から、蓄電池に貯めた電気をすべて利用することはできませんが、災害時の大きな助けになってくれるのは間違いないでしょう。
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② 光熱費の削減効果がさらに高まる

太陽光発電だけでも大きな光熱費の削減効果がありますが、蓄電池を併用すると、さらに期待できる効果は大きくなります。
太陽光発電は日中に発電しますが、日中は仕事で不在にしていて、あまり電気を使わない家庭も多いものです。この場合、「使う電気」よりも「つくる電気」の方が多くなります。
蓄電池を設置していない場合、余った電気は電力会社へ売ることになります。もちろん売電するので経済メリットはありますが、近年は売電するよりも自家消費して購入する電気を減らしたほうが経済的メリットが大きい状態なのです。
具体的には、固定価格買取制度(FIT)による10kWh未満の売電単価は1kWhあたり15円3)(2025年度上期認定の場合※1)である一方、電力会社から購入する電力量料金単価の目安は、1kWhあたり31円/kWh4)※2となっています。
※1:2025年度下期・2026年度認定の場合、4年目までは1kWhあたり24円、5〜10年目は1kWhあたり8.3円
※2:基本料金・燃料費調整額・再生可能エネルギー発電促進賦課金は加味していません
〈図〉売電単価と電気料金購入単価の差

蓄電池を導入していれば、日中に使いきれなかった電気を貯めておき、夜間に使うことができるので、経済メリットをさらに得られる可能性があるのです。
③ 卒FIT後も見据えて、自家消費しやすい環境にできる

上記の②とほぼ同じ要因ですが、FIT終了後を意味する「卒FIT」になってからの環境に対応しやすいこともメリットのひとつです。
電力会社の買取単価が高く維持されるFIT制度の適用期間は、10kW未満の場合は10年間です。言い換えれば、その後の買取単価は低くなってしまい、売電と自家消費の経済的メリットの差は大きくなります。
たとえば、東京電力エナジーパートナーのFIT適用外での買取単価は1kWhあたり8.5円(2025年6月時点)5)です。また、2025年度下期および2026年度にFIT認定を受けた場合、5年目以降の買取単価は1kWhあたり8.3円に下がってしまいます。つまり、卒FITになる前から大幅に買取単価は低くなってしまうわけです。
こうした場合、自家消費率を上げることで経済的なメリットを高く維持させるのが運用のコツなのですが、蓄電池があると自家消費しやすい環境づくりが取りやすいのです。
太陽光発電と蓄電池を併用する2つのデメリット
大きなメリットのある太陽光発電と蓄電池の併用ですが、どのようなデメリットがあるのでしょうか。ここでは2つに分けて解説します。
① 高額な初期費用がかかる

太陽光発電と蓄電池を併用すると、経済的メリットが得られるとお伝えしましたが、その反面で導入費用は高額になりがちです。
導入費用の試算は後述しますが、太陽光発電と蓄電池を合わせると200万円以上かかることも少なくありません。光熱費の低減幅と災害対策としての価値をどのように捉えるかが判断のしどころといえるでしょう。
なお、初期費用が気になる場合には、PPAやリースといった月額費用だけでメンテナンス費も込みのサービスを利用する方法もあります。詳細は後述いたします。
② 設置スペースを考える必要がある

太陽光発電と蓄電池を導入するなら、当然ながら設置スペースを確保しなければいけません。
太陽光発電は、屋根の形状を踏まえて太陽光パネルを載せる場所を考えることになりますし、蓄電池も一般的には屋外に設置しますが、設置スペースの条件があります。容量によりますが、蓄電池はエアコンの室外機くらいのサイズをイメージしておくとよいでしょう。
自分たちだけで考えても限界がありますので、具体的に検討する場合は、専門業者に相談してみることをおすすめします。
【コラム】蓄電池には「変換ロス」があることを知っておこう

デメリットではないですが、蓄電池を導入するなら知っておくべきことがあります。
それは「変換ロス」です。蓄電池は、充電・放電するときに電気の種類を「交流」から「直流」、「直流」から「交流」へとそれぞれ変換しますが、その際にロスが発生してしまいます。
たとえば、変換効率が95%だと仮定すると、充電時・放電時を合計した総合変換効率は約90%(95%×95%)となります。つまり、100kWhの電気を充電・放電して使おうとすると、使用できる量は90kWhに減ってしまうのです。このように、蓄電池では充電した電気を100%使えるわけではないということを覚えておき、容量選びの際などに役立てましょう。
太陽光発電と蓄電池の初期費用、いくらかかる?

では、太陽光発電と蓄電池を導入すると、初期費用にいくらかかるのでしょうか。
国が公表している単価から、新築住宅で「出力5kWの太陽光発電」と「容量5kWhの蓄電池」を導入したケースを試算してみました。
〈表〉初期費用の概算(工事費含む)
| 太陽光発電 | 蓄電池 | ||
| 1kWあたりの平均単価6) | 28.6万円 | 1kWhあたりの平均単価7) | 12.1万円※ |
| 出力 | 5kW | 容量 | 5kWh |
| 小計 | 143万円 | 小計 | 60.5万円 |
| 合計 | 203.5万円 | ||
※補助事業のケース。補助事業以外で導入する場合は17~22万円/kWhとなっている7)。
じつは、太陽光発電と蓄電池の価格は年々下がっており、10年ほど前と比較するとかなり手頃になっています。
しかし、それでも2つの設備を導入した場合、200万円以上になります(実際には価格は上下すると思われます)。安いとは言えない価格だと感じる人の方が多いでしょう。
太陽光発電・蓄電池の初期費用を抑える方法
大きな負担となる太陽光発電と蓄電池の初期費用ですが、じつは軽減することが可能です。ここでは2つの対策方法をご紹介します。
① 補助金を最大限活用する

まず注目したいのは、国や自治体からの補助金です。
近年、災害対策やカーボンニュートラルの観点から、太陽光発電や蓄電池には、補助金が出るケースが多くなっています。
たとえば、東京都の2025年度の「住宅用太陽光発電初期費用ゼロ促進の増強事業」8)では、太陽光発電・蓄電池に対して、出力や機能に応じて大きな金額が交付されます。
〈表〉【太陽光発電】出力1kWあたりの交付金額
| 出力 | 新築住宅 | 既築住宅 |
| 3kW以下 | 15万円/kW | 18万円/kW |
| 3kW超 | 10万円/kW ※1 | 12万円/kW ※2 |
| 機能性PV ※3(上乗せ) | 機能性の区分に応じて、最大8万円/kW | |
※1 3kWを超え3.6kW以下は一律36万円
※2 3kWを超え3.75kW以下は一律45万円
※3 機能性PVとは、「都市特有の課題の解消に資する機能を有する太陽光発電システム」として認定された製品を指す
〈表〉【蓄電池】容量1kWhあたりの交付金額
| 新築住宅 | 既築住宅 |
| 12万円/kWh | |
先ほどの条件で、新築住宅に太陽光発電(5kW)と蓄電池(5kWh)を導入した場合、東京都の補助金が適用されると、太陽光発電には50万円、蓄電池には60万円、合計で110万円の補助金が交付されることになります。もとの合計額が203.5万円ですから、自己資金93.5万円で両方とも設置できます。
2025年6月時点で、自治体だと東京都が最大規模の補助金額となりますが、自分が住んでいる地域で補助金や助成制度等がないかどうか、対象となるかどうか、設置業者や自治体に必ず確認しましょう。
なお、補助金や助成制度には対象要件のほか予算枠、対象期間、締め切りなどがあります。機会を逸することがないように早めに十分な確認が大切です。
② PPA・リースサービスを利用する

太陽光発電や蓄電池の初期費用を抑える方法として、リースやPPA(Power Purchase Agreement)を検討することが挙げられます。
これらのサービスでは、設置時の初期費用はゼロにしたうえで(場合によって一部支払いの場合あり)、サービス利用料を月々定額で支払うことなどにより、太陽光発電や蓄電池を利用できるようになります。
PPA、リースについて詳しくは以下をご覧ください
▶︎太陽光発電のPPAモデルとは?初期費用無料で自宅に太陽光発電を導入できる仕組みを解説!
総支払額は、一括購入の導入費用よりやや高くなるケースがほとんどですが、初期費用としてまとまったお金が必要なくなるため、家計管理が考えやすくなる、というメリットがあります。
なお、東京電力グループでもリースやPPAサービスをご提供しています。
「エネカリ」は、初期費用は0円で月々定額の利用料のみで太陽光発電や蓄電池などの設備を導入することができるサービスです。また、太陽光発電で余った電気を売って収入を得ることができます。利用期間中は故障時の修理費用も原則無料で、風水害や落雷などの自然災害補償も付いています。
「エネカリプラス」※もエネカリと同様に、太陽光発電設備と蓄電池をおトクに利用できるサービスです。エネカリプラスは、売電収入が得られませんが、その代わりエネカリと比較して月額利用料を安く抑えられます。
各家庭の事情や予算に合わせて選択できますので、詳細は以下のサイトで確認してください。
※エネカリプラスは別途足場代等の費用がかかる場合があります。
電気自動車(EV)があるなら、V2Hを導入するという方法もある

ここまで、太陽光発電と蓄電池を併用することを前提にご紹介してきましたが、もし電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)をお持ちであれば、蓄電池の代わりにV2H機器を導入する、という方法もおすすめです。
V2H機器は自宅とEVをつないで、EVのバッテリーを蓄電池として利用するための装置です。家庭用の定置型蓄電池は3〜12kWh程度が一般的ですが、EVのバッテリーは軽自動車でも20kWh以上あり、大容量バッテリーを積んだ車種では100kWhを超えます。
もちろん、V2H機器の導入にも費用はかかりますが、蓄電容量は家庭用蓄電池の数倍〜数十倍になるため、EVを自宅に駐車していることの多い家庭の場合、蓄電池代わりに効率よく利用できる可能性はあるでしょう。
興味のある方は、V2Hの仕組みや費用、またV2Hと蓄電池を導入する際の違いについて、以下の記事でご確認ください。
太陽光発電と蓄電池の相性はバツグン。ただし、導入費用・方法は検討しよう
太陽光発電と蓄電池を導入すると、太陽光で発電した電気を利用できる幅が広がり、日常・非常時ともにメリットが大きくなるでしょう。
ただし、先立つ資金はそれなりに必要になるため、補助金やPPA・リースサービスなどを活用して、ご家庭に合わせた資金計画を立てることが大切です。また、EVやPHEVを所持していたり、購入を検討したりしている場合には、蓄電池ではなくV2H機器を導入することも検討範囲に入ります。
たくさんの選択肢の中から、ライフスタイルやニーズに合った選択をするのは難しいかもしれません。迷った場合には、信頼できる専門業者に相談をして、じっくり検討することをおすすめします。
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