
Atlassian開発をWindowsで進める人のための「つまずき」大全:Forge CLI・Rovo Agent・Jira/Bitbucket SDKの失敗パターンと解決手順
Windows環境でAtlassian製品の開発や運用を進めると、同じようなエラーに何度も遭遇します。Forge CLIが入らない、企業端末だとnpmが通らない、WSL2絡みでログインが落ちる、Jira Data CenterのSDKと手動インストールの整合が取れない――。本記事では、Windowsで頻出する失敗パターンを「原因の型」に分解し、再現性のある直し方をチェックリスト形式でまとめます。読み終えたら、次に同じ現象が出ても最短で復旧できる状態を目指します。
- Atlassian開発をWindowsで進める人のための「つまずき」大全:Forge CLI・Rovo Agent・Jira/Bitbucket SDKの失敗パターンと解決手順
- Windowsで起きがちな“根っこ”はだいたい5種類
- Forge CLIがインストールできない:まず見るべき最短チェック
- Forge CLIのログインで落ちる:WSL2/libsecret系の落とし穴
- テンプレートが落ちない・ダウンロードできない:通信とキャッシュが9割
- Forge Tunnelで「moduleが見つからない」:Nodeランタイムと依存の整合
- Rovo Agentのインストールで詰まる:npm・権限・社内配布制限の合わせ技
- Jira Data Center 10系とSDK:手動インストールとSDKの“ズレ”を理解する
- Bitbucket Server/Data Center 8系をWindowsで開発する:現実的な作戦
- 最後に:エラーを“再現性ある手順”に落とすコツ
Windowsで起きがちな“根っこ”はだいたい5種類
Windows固有というより「企業端末」「PowerShell」「プロキシ」「証明書」「WSL2」の組み合わせで事故が増えます。まずは分類から。
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ネットワーク制約:プロキシ、SSLインスペクション、社内CA証明書、社内DNS
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権限・ポリシー制約:実行ポリシー、管理者権限、アプリ配布制限、EDR/AV
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Node/npmまわり:Nodeバージョン不一致、npmキャッシュ破損、グローバル導入失敗
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WSL2/依存ライブラリ:Linux側依存(例:libsecret)不足、鍵管理系の差異
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SDK/Java/パス依存:Jira/BitbucketのSDKやJava、PATH、長いパス、文字コード
この分類で当たりを付けてから対処すると、試行錯誤が激減します。
Forge CLIがインストールできない:まず見るべき最短チェック
Forge CLI関連は「入らない」「テンプレが落とせない」「トンネルでモジュールが見つからない」が代表例です。最初にここを潰すと成功率が上がります。
1) Nodeのバージョンを固定する
企業端末ほど、勝手に更新されるNodeが事故の温床になります。
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NodeはLTSに寄せる(最新より安定優先)
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可能なら nvm-windows 等でプロジェクトごとに切替
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既存のNodeが複数入っていると、
nodeは動くのにnpmが別物、という状態になりがちです
2) グローバル導入の失敗を避ける
npm i -g @forge/cli が通らない場合、原因は「権限」か「プロキシ/証明書」が大半です。
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管理者権限でPowerShellを起動して一度試す
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それでもダメなら、グローバル先のディレクトリをユーザー配下に寄せる(権限問題を回避)
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npmキャッシュ破損が疑わしい場合はキャッシュクリア(後述)
3) 企業プロキシの壁を越える(ここが最大の山)
企業ネットワークでは、npmやCLIが外部へ出る通信が遮られがちです。対策の方向性は2つです。
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プロキシ設定をnpmへ明示:
npm config get proxy / https-proxyを確認し、必要なら設定 -
社内CA証明書を信頼させる:SSLインスペクション環境だと、証明書が合わずにTLSエラーになります
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Nodeが参照する証明書ストアに社内CAを入れる、もしくは環境変数で証明書バンドルを指定する、などの社内標準に従う
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「自宅回線だと入るのに会社だと入らない」は、ほぼここです。
Forge CLIのログインで落ちる:WSL2/libsecret系の落とし穴
Windows単体では問題ないのに、WSL2を絡めたとたんに「鍵管理」「シークレット保存」まわりで例外が出ることがあります。典型は libsecret の不足や、WSL2側のデスクトップ連携不足です。
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WSL2上でCLIを使う場合、Linux側の依存ライブラリが必要になることがある
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逆にWindows側PowerShellで完結させた方が安定するケースも多い
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どちらで運用するか(WindowsネイティブかWSL2か)を決め、混在させないのが事故防止になります
運用のコツは「ログインはWindows側」「開発はWSL2側」など中途半端に分けないことです。分けるなら、トークンや設定の持ち方まで含めて統一します。
テンプレートが落ちない・ダウンロードできない:通信とキャッシュが9割
テンプレート取得失敗は、通信制限かnpm系のキャッシュ不整合のどちらかが多いです。
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まずは ネットワーク要因(プロキシ、社内DNS、検閲系ゲートウェイ)を疑う
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次に npmキャッシュ:壊れていると「何をしても同じエラー」が起きがち
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キャッシュクリア → 再インストールで改善することがあります
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EDR/アンチウイルスがダウンロードしたアーカイブを隔離しているケースもあり、ログを確認すると一発で分かります
Forge Tunnelで「moduleが見つからない」:Nodeランタイムと依存の整合
トンネル実行時のモジュール未検出は、次の3点を重点的に見ます。
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依存関係のインストール漏れ:
node_modulesが作られていない、lockが壊れている -
Nodeの実行環境の差:ネイティブNodeと期待するランタイムがズレている
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パス/長いパス問題:Windowsのパス制限や、深い階層に置いたプロジェクトで事故る
特に企業端末は、ドライブ直下に近い短いパスへ移動するだけで直ることがあります。
Rovo Agentのインストールで詰まる:npm・権限・社内配布制限の合わせ技
Rovo Agent系の失敗は、Forge CLIと同じ根っこ(プロキシ/証明書/権限)に加えて、組織の端末管理が強いほど起きやすいです。
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インストーラーの実行権限がブロックされる
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管理ツール(Intune等)によるアプリ制限で、CLIが内部的に呼ぶ処理が止まる
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PowerShellの実行ポリシーでスクリプト実行が拒否される
ここは「個人で頑張る」より、端末管理ポリシーに沿って例外設定・許可申請を通すのが最短です。対症療法を重ねるほど、次のアップデートで再発します。
Jira Data Center 10系とSDK:手動インストールとSDKの“ズレ”を理解する
Jira Data Centerの手動インストールとPlugin SDKの組み合わせで起きる不整合は、概ね次で説明できます。
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製品バージョンに対してSDKが古い/新しすぎる
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Javaのバージョン差(Jira側が想定するJavaと、SDKが使うJavaが違う)
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依存ライブラリの解決方法の差(手動とSDKで読み込む順序やクラスパスが異なる)
対策としては、まず「Jiraの対象バージョン」「推奨Java」「SDKの対応レンジ」を揃えること。揃えたうえで、SDKで起動するJiraと手動Jiraで、同じ設定・同じプラグインが同じ順番でロードされているかを確認します。ズレがあると、インストールは通っても起動時に落ちる、という形で表面化します。
Bitbucket Server/Data Center 8系をWindowsで開発する:現実的な作戦
Bitbucketの8系開発をWindowsで行う場合、環境差で詰まりやすいので「最初から安定する構成」に寄せます。
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SDKやビルドツールが求める Java/環境変数/PATH を固定
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長いパス・空白入りパスを避け、プロジェクトは短い階層へ
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可能ならDockerやWSL2でLinux寄りに統一する(ただし混在は避ける)
Windowsネイティブで完結させる場合は、JavaとSDKの相性確認が最優先です。
最後に:エラーを“再現性ある手順”に落とすコツ
WindowsのAtlassian開発で本当に効くのは、気合いではなく「切り分けの型」です。
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同じ操作を別ネットワークで試す(社内回線 vs テザリング等)
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Windows/WSL2どちらで動かすかを統一
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Node/Javaのバージョンを固定して、更新で壊れないようにする
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プロキシと証明書は個人設定でなく組織標準に合わせる
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パスを短く、権限をシンプルにする(ユーザー配下の運用を基本)
Forge CLI、Rovo Agent、Jira/Bitbucket SDKのエラーは、一見バラバラでも原因の型は驚くほど共通です。分類して、最短チェックから順に潰す。これだけで「同じ時間を二度払う」確率が一気に下がります。