
Ricoh PMC「Workflow error codes」完全ガイド:スキャンワークフロー障害を最短で切り分ける方法
スキャンのワークフローが失敗すると、管理者に通知メールが届き、そこにエラーコードが記載されることがあります。問題は「どこで失敗したのか」を素早く特定しないと、復旧までの時間が伸び、現場のスキャン業務が止まり続けてしまうことです。
この記事では、代表的なワークフローエラーコードを“原因の系統”で整理し、管理者が最短で切り分け・対処できるように実務目線でまとめます。
- Ricoh PMC「Workflow error codes」完全ガイド:スキャンワークフロー障害を最短で切り分ける方法
ワークフローエラーの見方:まずは「どの工程か」を決め打ちする
Ricoh PMCのワークフローは、ざっくり言うと次のような工程群で構成されます。
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認識処理(OCR、バーコード、ハイライト、ゾーナルOCR)
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文書の構造化(ドキュメント分割)
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マスキング(テキストリダクション)
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外部処理(外部コマンド/API、拡張、スクリプト)
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配送・連携(Box、Dropbox、Email、Exchange、OneDrive、SharePoint、HPRMなど)
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コア処理・サービス到達性(PMC↔WPSの疎通など)
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制限(ジョブサイズ上限)
通知メールにあるエラーコードは、ほぼ必ずこのどれかに紐づきます。復旧を早めるコツは、「エラーコードの接頭辞(WPS-◯◯◯)」で工程を特定してから、設定・権限・容量・ネットワークの順に潰すことです。
1) 認識系エラー(OCR・バーコード・ハイライト・ゾーナルOCR)
スキャン画像の品質や認識設定が原因になりやすい領域です。再現性が低い(ある時だけ失敗)ことも多いため、切り分けは「入力品質→設定→負荷」の順が有効です。
WPS-BARCODE-9999:バーコード認識失敗
よくある原因
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バーコードが小さい/かすれている/傾きが大きい
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解像度不足(一般に低解像度で失敗しやすい)
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バーコード領域が背景に埋もれている、反射で白飛びしている
対処の考え方
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まず同一原稿で再スキャンして再現するか確認
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解像度やコントラストを上げる、原稿の傾きを減らす
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バーコードの位置が固定なら、後述の「ゾーナルOCR」的な発想で“領域指定”を検討(運用設計側の改善)
WPS-OCR-9999:OCR処理失敗
WPS-ZONAL_OCR-9999:ゾーナルOCR失敗
WPS-HIGHLIGHT-9999:ハイライト文字認識失敗
よくある原因
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画像が暗い/ブレ/傾き、背景のノイズが強い
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対象言語や文字種の想定違い(例:手書き混在、特殊記号が多い)
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領域指定(ゾーナル)が実際の帳票レイアウトとズレている
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一時的な負荷(同時実行が多い時間帯など)
対処の考え方
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原稿サンプルを確認し「画像品質の問題」か「設定の問題」かを分ける
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ゾーナルOCRは、帳票の版ズレや余白変更で失敗しがちなので、帳票改定のタイミングで設定も見直す
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同時間帯に大量処理が集中している場合、スキャン投入の平準化やワークフロー分割を検討
2) 文書構造化のエラー(ドキュメント分割)
WPS-DOCUMENT_SEPARATION-9999:文書分割失敗
よくある原因
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分割ルール(区切りページ、バーコード、白紙判定など)と原稿が一致していない
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片面/両面、白紙の混入、差し込み紙など運用要因
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仕分けに必要な識別子(バーコード等)が読み取り不良
対処の考え方
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まず「分割が必要なワークフローか」を見直す(不要なら工程削減が最速の改善)
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分割条件がバーコード依存なら、バーコード印字品質とスキャン設定を優先的に改善
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白紙判定が絡むなら、白紙判定の閾値やスキャン濃度の調整が効く場合が多い
3) マスキング(リダクション)関連
WPS-REDACT-9999:テキストリダクション失敗
よくある原因
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OCR結果を前提にマスキングしている場合、OCR失敗の連鎖で起きる
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マスキング対象のルール(正規表現、キーワード)が過度に複雑
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処理対象が想定外(手書き、画像化された文字のみ等)
対処の考え方
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まずOCR系エラーの有無を確認(上流工程の失敗が原因のことが多い)
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ルールを段階的に簡素化し、どの条件で落ちるかを切り分ける
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“完璧な自動化”より、例外を別フローに逃がす設計も現実解
4) 外部処理・拡張・スクリプト系エラー
ワークフロー内で外部コマンドや拡張、スクリプトを呼ぶ場合は「相手側の失敗」が多く、ログ確認と責任分界が重要になります。
WPS-EXTERNAL-9999:外部処理ステップ失敗
WPS-EXTERNAL-0002:外部コマンドが非ゼロ終了(ログのAPI exit code確認が必要)
よくある原因
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外部コマンドの戻り値がエラー(環境変数、引数、認証、タイムアウト)
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API連携先が一時障害/レート制限/仕様変更
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連携先の入力データ不正(サイズ、文字コード、形式)
対処の考え方
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まず「外部処理に渡している入力」を確認(ファイル形式、サイズ、必須項目)
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WPS-EXTERNAL-0002は“外部側が失敗した”サインなので、ログからexit codeを取り、連携先ベンダー/開発側で原因特定する
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タイムアウトや一時障害が多いなら、リトライ設計やキューイングの導入を検討
WPS-EXTENSION-9999:拡張コネクタでエラー
WPS-SCRIPT-9999:スクリプトコネクタでエラー
よくある原因
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スクリプトの例外、依存ライブラリ不足、実行権限不足
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コネクタ設定値の不足(URL、トークン、パラメータ)
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実行環境差(テスト環境では動くが本番で落ちる)
対処の考え方
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直近の変更(スクリプト更新、設定変更、証明書更新など)があればそこから疑う
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エラーが特定ユーザー/特定原稿でのみ発生するなら、入力データ差分を比較する
5) 配送・連携(Box/Dropbox/Email/Exchange/OneDrive/SharePoint/HPRM)
ここは「認証」「権限」「容量制限」「接続性」が主因です。エラーコードが具体的なので、復旧は比較的早い領域でもあります。
Box / Dropbox
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WPS-BOX-9999:Boxアップロード失敗
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WPS-DROPBOX-9999:Dropboxアップロード失敗
切り分けポイント
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連携トークンの期限切れ・無効化
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保存先フォルダ権限
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ファイル名規則や禁止文字
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ファイルサイズ上限・同時アップロード制限
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WPS-EMAIL-9999:メール送信失敗(総合)
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WPS-EMAIL-0001:クライアント未認証
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WPS-EMAIL-0002:SMTPのサイズ制限超過(最大ジョブサイズ設定を確認)
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WPS-EMAIL-0003:ユーザープロファイルにメールアドレス未設定
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WPS-EMAIL-0004:接続拒否(SMTP稼働・設定を確認)
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WPS-EMAIL-0005:同時接続数制限超過
最短復旧の順番
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0003ならユーザーのメールアドレス設定を埋める(即復旧)
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0001なら認証設定(SMTP認証、資格情報)を確認
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0004ならネットワーク到達性とSMTPサーバ稼働確認
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0002ならサイズ圧縮、分割送信、または最大ジョブサイズ設定の見直し
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0005ならピーク時の同時送信を減らす(投入時間分散、キュー制御)
Exchange
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WPS-EXCHANGE-9999:Exchange送信失敗
対処の考え方 -
認証(OAuth/資格情報)と権限(送信権限、代理送信)を確認
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組織側のセキュリティ変更(MFA必須化、基本認証無効化など)が影響しやすい
OneDrive / SharePoint Online(OAuth系が多い)
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WPS-ONEDRIVE_BUSINESS-9999 / WPS-ONEDRIVE_BUSINESS_OAUTH2-9999:OneDriveアップロード失敗
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WPS-ONEDRIVE_BUSINESS_OAUTH2-0001:ユーザーがOneDriveを認可していない
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WPS-SHAREPOINT_ONLINE-9999 / WPS-SHAREPOINT_ONLINE_OAUTH2-9999:SharePointアップロード失敗
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WPS-SHAREPOINT_ONLINE_OAUTH2-0001:SharePointを認可していない
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WPS-SHAREPOINT_ONLINE_OAUTH2-0003:SharePointサイトが見つからない(サイト名設定確認)
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WPS-SHAREPOINT_ONLINE_OAUTH2-0004:ライブラリが見つからない(ライブラリ名設定確認)
最短復旧の順番
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0001は“認可未実施”なので、ユーザーに認可フローを実施させる
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0003/0004は“名前不一致”がほとんど。サイト名・ライブラリ名の表記揺れや移設を確認
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9999系は権限、トークン期限、M365側の制限・障害も含むため、直近の変更履歴と併せて確認
HPE Records Manager
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WPS-HPRM-9999:HPRMコネクタでエラー
対処の考え方 -
コネクタ側設定(接続先、認証、API仕様)と、HPRM側権限・受付条件を確認
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外部連携のため、障害切り分けは「PMC→コネクタ→HPRM」の順でログを追う
6) コア処理・サービス到達性
WPS-CORE-9999:スキャンファイル処理失敗
よくある原因
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一時的なサービス不調、処理基盤の負荷、ファイル破損
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上流工程の失敗が表面化しているケースもある
対処の考え方
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同時間帯に同種エラーが多発しているか確認(多発なら環境側の問題が濃厚)
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まずは対象ジョブの入力(ファイル)とワークフロー設定の変更履歴を確認
SQ-WPS-9999:PMCがWPSサービスに到達できない
よくある原因
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ネットワーク疎通(DNS、FW、プロキシ、ルーティング)
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サービス停止、メンテナンス、証明書更新に伴う通信失敗
対処の考え方
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まず到達性確認(名前解決→TCP接続→TLS/証明書)
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直近のネットワーク変更、証明書更新、メンテ有無を確認
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このエラーが出ている間は“認識や配送以前に基盤が使えない”ので、個別設定より先に復旧作業を優先
7) 制限系:容量・サイズが原因のエラー
WPS-RESTRICTION-0001:スキャンジョブのサイズ上限に達した
よくある原因
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高解像度・フルカラー・ページ数過多でジョブが肥大化
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画像形式や圧縮設定が非効率
対処の考え方
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画像圧縮・解像度・カラーモードの見直し(業務要件に影響しない範囲で)
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大量ページは分割スキャン、または別ワークフローへ逃がす
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Email連携も併用している場合は、SMTP側のサイズ制限(WPS-EMAIL-0002)とセットで設計する
実務で効く「最短の切り分け手順」テンプレ
最後に、管理者が迷いにくい手順をテンプレ化します。
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エラーコードの接頭辞で分類(認識/分割/外部/配送/到達性/制限)
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0001〜0005など具体番号があるものは“指示通り”に潰す(認証、サイズ、ユーザー属性、接続、同時接続)
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9999系はログと変更履歴を確認(直近の設定変更・権限変更・外部サービス障害)
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入力データ(原稿)依存か、環境依存かを判定
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特定原稿だけ→画像品質・帳票ズレ・ルール設計
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同時多発→基盤負荷・ネットワーク・外部サービス
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再発防止は“例外設計”が鍵(特殊原稿は別フロー、サイズ大は分割、認可は事前チェック)
まとめ:エラーコードは「原因」ではなく「場所」を示す
ワークフローの障害対応で大事なのは、エラーコードを暗記することではなく、どの工程で止まったかを即断し、設定・権限・容量・ネットワークを順番に潰すことです。
特に、OAuth認可不足(0001系)、SMTPサイズ超過(0002)、ユーザー属性不足(0003)、接続拒否(0004)、同時接続(0005)は復旧が早い反面、運用で繰り返しやすいので、事前チェックやガードレールを整備すると効果が出ます。
この整理をベースに、通知メールのエラーコードを見た瞬間に“次の一手”が決まる状態を作っていきましょう。