
Snapdragon X搭載Surface LaptopでExcel Power Queryが「Unexpected Error」になる原因と直し方(再インストール不要の実践チェック集)
Snapdragon X(ARM)搭載のSurface Laptopで、Excelの [データ] → [データの取得] → [ファイルから] → [Excel ブック] を選ぶと、Power Queryが起動した瞬間に 「Unexpected Error(予期しないエラー)」 で落ちる。再起動、Office修復、再インストール、セーフモード、SFC/DISMまでやっても改善しない――この症状は「壊れている」というより、Power Queryの実行コンテナ(裏側のプロセス)とARM環境の相性・周辺設定で特定ユーザーだけ踏むことが多いタイプです。
ここでは「PC初期化や作り直し」に行く前に、効きやすい順に切り分けと対処をまとめます。
症状の整理:どこで落ちているか
スタックトレースに Microsoft.Mashup... や DataImporter... が並ぶ場合、Excel本体というより Power Query(Mashup)の読み込み~プレビュー生成の段階で例外が発生しています。
つまり、Excelの一般機能ではなく 「取得・変換」だけが死ぬ構図になりやすいです。
まず確認すべき結論:ARM×Power Queryは“個体差”が出る
同じ機種でも「問題が出る人」「出ない人」が混在するのは珍しくありません。違いを作るのは主に次です。
-
Officeの更新チャネルやビルド差(同じ“最新”でも枝が違う)
-
32/64bitやARMネイティブ/互換実行の組み合わせ
-
Power Queryのローカルキャッシュ破損
-
セキュリティ製品/DLP/EDRの“残り設定”(アンインストールしてもフィルタが残ることがある)
-
OneDrive連携や保護されたフォルダアクセス等のWindows側制御
以下は 上から順に試すと、再構築せずに当たりを引きやすいです。
対処1:Office更新「チャネル」を変えて上書きする
「更新したつもり」でも、同じチャネル内で詰んでいるケースがあります。ポイントは “最新にする”ではなく“別枝に乗り換える” こと。
-
現在のチャネルが 月次/半期なら、まず 最新チャネル(Current) へ
-
逆にCurrentで壊れているなら、検証として 半期(Semi-Annual) に落としてみる
-
企業管理なら、管理側のポリシーで固定されていないかも確認
これだけでPower Queryコンテナの不具合が解消することがあります。
対処2:Power Queryのキャッシュを“完全初期化”する
再インストールしても残るのが ユーザーのローカルキャッシュです。新規ユーザーでも再現したなら「端末共通要因」寄りですが、それでもキャッシュは当たりどころです。
-
Excelを完全終了(タスクマネージャーでExcel関連が残っていないか確認)
-
次のフォルダを退避→削除(見つかる範囲でOK)
-
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Office\16.0\PowerQuery\ -
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Office\16.0\Microsoft.Mashup.Container\ -
%LOCALAPPDATA%\Microsoft\Excel\(巨大なら中身を選別してもよいが、検証は丸ごとが早い)
再起動後に同じ操作を試します。「壊れたプレビュー/コネクタ情報」が原因ならここで直ります。
対処3:ハードウェアアクセラレーション無効化
ARM環境では描画周りが引き金になることがあります。
-
Excel → [ファイル] → [オプション] → [詳細設定]
-
「ハードウェア グラフィック アクセラレータを無効にする」 をオン
-
可能なら同画面で表示系の最適化も一時的にオフにして検証
Power QueryのUIが開く瞬間に落ちる場合、これが効くことがあります。
対処4:アドイン“無効”ではなく“切り分け用の隔離”をする
セーフモードでダメでも、**COMアドイン以外の注入系(常駐・拡張)**が残ることがあります。
-
Excelの COMアドイン をすべて外す(無効化ではなく一度外して再起動)
-
PDF作成、会計、暗号化、DLP、クリップボード拡張など「Officeにフックする」系を疑う
-
EDR/AVを消しても ドライバ/フィルタが残る 場合があるので、管理コンソール側で例外設定・隔離ポリシーも確認
「他ユーザーは平気」なのに「特定端末だけ」なら、ここが当たりやすいです。
対処5:同じ操作を“ローカルの単純ファイル”で試す
原因がファイル側/パス側にあることもあります。検証用に:
-
デスクトップ直下に、単純なxlsx(数KB~数MB)を置く
-
OneDrive配下、ネットワークドライブ、長いパス、日本語や記号を含むパスは避ける
-
それで成功するなら、パス・同期・権限・保護機能が原因候補
この切り分けは地味ですが、復旧の近道になります。
対処6:回避策として“別ルート”で取り込みを成立させる
急ぎで業務を止めないための現実的な回避策です。
-
いったん対象ブックを開いてから [データ] → [ブックから] ではなく、
テーブル化→範囲/テーブルから など別入口を試す -
CSVに落としてから取り込む(Excelブックコネクタが落ちる場合の迂回)
-
Power BI Desktopでクエリを作って、結果だけExcelに渡す(運用回避)
根治ではありませんが、原因が「特定コネクタ(Excelブック)でのみ落ちる」なら有効です。
対処7:それでもダメなら“ARMの実行形態”を疑う
Snapdragon X世代では、Officeや周辺コンポーネントが ARMネイティブ/互換実行の混在になり得ます。端末の状態によって、Power Queryの裏プロセスだけ相性が崩れることがあります。
-
OfficeがARM版として入っているか、互換実行が混ざっていないか確認
-
会社配布イメージの場合、追加のランタイムやドライバが古いまま残っていないか確認
-
可能なら同一端末で Officeのインストール形態を変えて上書き(管理者配布での再展開)を検討
「作り直し」ではなく、Officeの形態だけ入れ替えるのがポイントです。
最短で原因を特定する“おすすめ手順”
時間をムダにしない順番はこれです。
-
Office更新チャネル変更(別枝へ)
-
Power Query/Mashup/Excelのローカルキャッシュ削除
-
ハードウェアアクセラレーション無効化
-
ローカル短パスの単純ファイルで再現確認
-
注入系(DLP/EDR含む)を管理側ポリシーまで含めて切り分け
-
Officeのインストール形態(ARM/互換)の見直し
この順で潰すと、「初期化しかない」と言われがちなケースでも、端末再構築なしで収束することが多いです。
まとめ:再インストールで直らないときに見るべきは“キャッシュと実行環境”
今回のように、再起動・修復・再インストール・新規ユーザーでも直らないPower Queryエラーは、Excel本体の破損よりも Power Queryのキャッシュ、裏側プロセス、ARM環境の相性、注入系ソフトの影響で起きやすいのが特徴です。
上の手順を上から当てれば、原因の輪郭がはっきりし、最小の変更で復旧させられます。業務停止を避けつつ、根治に近づけていきましょう。