
Windows Server 2025で「グループポリシーのファイアウォール設定が勝手に戻る」「Firewallタブが開けない」原因と直し方
「GPOから外したはずのWindows Defender Firewallが、なぜかまた有効化される」「GPO編集画面で“Windows Defender Firewall with Advanced Security”のタブ(スナップイン)が開けない」。さらにGPMCのステータスで“Detect Now(検出)”を実行すると、別DCが“Inaccessible(アクセス不可)”扱いになる——。
こうした症状は、単発の不具合というより (1) GPOの適用経路が複数ある/優先順位が負けている、(2) 管理端末側のMMCスナップイン不調、(3) DC間の名前解決・SYSVOL/複製・権限・到達性のどれかが揺れている、の“合わせ技”で起きがちです。この記事では、 inherited(引き継ぎ)ドメインでありがちな地雷も含めて、切り分けと復旧の手順を実務目線でまとめます。
- Windows Server 2025で「グループポリシーのファイアウォール設定が勝手に戻る」「Firewallタブが開けない」原因と直し方
1. 「FirewallをGPOから外しても勝手にONに戻る」ありがちな原因
原因A:別のGPOが上書きしている(リンク・優先度・継承・強制)
一番多いのはこれです。GPOから設定を消しても、別のGPO(上位OU、ドメイン直下、サイト、セキュリティベースライン等)が同等のポリシーを再適用します。特に「継承されたドメイン」だと、過去のセキュリティ強化GPOやテンプレが残っていて、気づかないうちに勝ち続けていることがあります。
Windows Defender FirewallのGPOパスはここが本丸です。 Microsoft Learn
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Computer Configuration > Policies > Windows Settings > Security Settings > Windows Firewall with Advanced Security
やること(最短コース)
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対象サーバーで
gpresult /h c:\temp\gp.htmlを取り、Firewall関連の勝者GPOを特定 -
そのGPOが「どこにリンクされているか」「Enforced(強制)」「Block Inheritance(継承のブロック)」の有無を確認
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“設定を削除したGPO”ではなく、実際に勝っているGPO側で意図通りに直す
原因B:「未構成」に戻しただけで、別経路(ローカル/スクリプト/製品)が有効化している
GPOを外しても、以下が残っているとFirewallが復活します。
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ローカルセキュリティ/ローカルGPOで有効
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起動時スクリプト、構成管理(例:過去の運用スクリプト)で
netsh advfirewall set allprofiles state on等が走る -
セキュリティ製品がポリシーを再注入する
やること
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ローカルで
Get-NetFirewallProfile(PowerShell)で各プロファイルの状態と管理元を確認 -
タスクスケジューラ、起動/シャットダウンスクリプト、構成管理ログ(SCCM等)がある環境は“設定復活の実行者”を探す
2. 「GPO編集でWindows Defender Firewallタブ(スナップイン)が開けない」切り分け
これは“対象サーバー”の問題ではなく、GPOを編集している端末(DC/管理端末)側のMMCスナップイン不調で起きることが多いです。Microsoftの案内でも、Firewallの高度な設定はGPO編集で該当ノードを開く運用が前提になっています。 Microsoft Learn
よくある直接原因:Firewall関連サービスが止まっている/依存サービス不調(0x6D9系)
「Windows Defender Firewall with Advanced Security スナップインを開けない」「スナップインがロードできない」系では、Firewallサービスが止まっているなどでエラーが出る事例が報告されています(エラーコード 0x6D9 など)。 Microsoft Learn
やること(管理端末/編集しているDCで)
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Windows Defender Firewall(MpsSvc) と Base Filtering Engine(BFE) が動いているか確認
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停止しているなら起動、起動できないならイベントログ(System、WFP/Firewall)を確認
もう一つの定番:MMCスナップイン/ポリシー系コンソールの初期化不良
MMC系で「Snap-in failed to initialize」類の問題が出ると、GPOやセキュリティ系スナップインが開けなくなります。 Microsoft サポート
やること
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管理端末で 管理者として GPMC/GPMEを実行
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MMCキャッシュ破損を疑い、プロファイル側のMMC関連キャッシュ整理(運用ルールに従って実施)
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可能なら 別の管理端末(別ユーザー) で同じGPOを開けるか試し、端末依存か切り分け
3. GPMCのステータスで「Detect Now後に別DCがInaccessible」になる理由
GPMCには「Group Policy Infrastructure Status(インフラ状態)」という、GPO配布・SYSVOL・複製などを俯瞰する機能があります。 Microsoft Learn
ここで“Detect Now”を叩いたときに 片方のDCがInaccessibleになるのは、次のどれかが揺れているサインです。
パターンA:権限/アクセスの問題(GPMCは見に行けないがAD自体は見える)
「ADUCでは見えるのに、GPMCの状態だけNG」というケースは、SYSVOLやポリシーフォルダへのアクセス権、あるいはGPMCが参照する一部パスへの権限・到達性が絡むことがあります。Microsoft Q&Aでも“Inaccessible”表示に関する議論があり、権限や環境要因が原因になり得ます。 Microsoft Learn+1
やること
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\\ドメイン\SYSVOLと\\ドメイン\Policiesを、両DC・管理端末から参照できるか -
当該GPOのGUIDフォルダ配下(gpt.ini等)にアクセスできるか
パターンB:SYSVOL複製の遅延/途中(“Replication in progress”系)
GPO変更直後など、複製が完了していないタイミングでGPMCが警告や不整合を出すのは、運用現場でよくあります(一定時間後に自然解消することも)。 Server Fault
やること
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repadmin /replsummaryで複製の失敗がないか確認 -
repadmin /syncallなどで同期を促し、GPMCを更新
パターンC:DNS/ファイアウォール/到達性(RPC・SMB)が欠けて“状態取得だけ”失敗
「Firewallが勝手にONになる」事象と同時に起きるなら、DC間や管理端末→DCの通信が、Firewallルールやネットワークで部分的に欠けている可能性があります。GPMCの状態取得は、ADの参照だけでなくSYSVOL(SMB)やRPC等の到達性に依存するため、**“片方向だけ見えない”**が起こり得ます(古い環境からの継承ドメインで特に)。関連の切り分け話はコミュニティでも繰り返し出ています。 Server Fault
やること
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DC間で名前解決(A/AAAA、SRV)と疎通(SMB/RPC)が成立しているか
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DCのFirewallで ファイル共有、RPC、リモート管理 などの基本ルールが意図せずブロックされていないか
4. 失敗しない復旧手順(現場でのおすすめ順)
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gpresultで“勝っているGPO”を特定
「削除したGPO」ではなく、勝者を叩かない限り直りません。 -
GPOのFirewall設定は“1つの方針に集約”
複数GPOにFirewall設定が散ると、継承・強制・優先度で事故が増えます。Microsoftの手順どおり、該当ノード配下にまとめるのが安定します。 Microsoft Learn -
スナップインが開けない問題は“編集端末側”を疑う
サービス(MpsSvc/BFE)、MMC初期化、端末依存の切り分け。該当エラーの考え方は事例として参照できます。 Microsoft Learn+1 -
GPMCのInaccessibleは“SYSVOL/複製/DNS/到達性”を順に潰す
GPMCのインフラ状態ビューが何を見ているかを理解し、repadminとSYSVOL参照で裏取り。 Microsoft Learn+1
5. 継承ドメインで特に気をつけたい「見えない地雷」
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“昔のセキュリティGPO”がドメイン直下にあり、OU側で何をしても負ける
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DC用OU/コンテナにだけ強制リンクがあり、DC関連の状態取得が崩れる
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SYSVOL複製方式の移行痕跡(FRS→DFSR)や、アクセス権のカスタムが残っている
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Firewall設定が「複数GPO」「スクリプト」「手動変更」で三重管理になっている
これらは、一度きれいに棚卸しして“誰が最終決定権を持つのか”を一つにするだけで、驚くほど安定します。
まとめ
今回の症状は、単に「Firewallが言うことを聞かない」のではなく、GPOの勝敗(優先順位)、管理端末のMMC/サービス不調、**DC間のインフラ健全性(SYSVOL・複製・到達性)**が絡んで発生している可能性が高いです。
まずは gpresult で勝者GPOを確定し、次にスナップイン問題を“編集端末側”で切り分け、最後にGPMCのInaccessibleをrepadminとSYSVOL参照で裏取りする。この順で進めると、遠回りせずに原因へ到達できます。