
2025年12月のセキュリティ更新(いわゆるパッチデー)を当てた直後から、Windows 10/Windows Server 2016/2019で、MSMQ(Message Queuing:メッセージキュー)が急に止まる、IIS(Internet Information Services:Webサーバー)が500で落ちる、ログが「空き容量足りない」って嘘つく──そんな報告がまとまってきました。企業システムで静かに動いていた“裏方の行列(キュー)”が詰まるので、地味に見えて被害はデカいタイプです。 (heise online)
- 何が起きた?まず結論だけ
- 発生日時と対象:どのKB・どのビルド?
- エラー表示:見えているメッセージはこのへん
- 原因:なぜ“権限”でMSMQが死ぬの?
- 公式の対応状況:直った?まだ?
- 他ユーザーの報告:フォーラムの“生の声”はこう
- で、どうする?現実的な選択肢は2つ
- 手順:まず影響確認、次に“最小の復旧”へ
- コメント欄をフォーラム化:あなたの環境、どれ?
何が起きた?まず結論だけ
12月更新でMSMQのセキュリティモデルが変わり、C:\Windows\System32\MSMQ\storageのNTFS権限(NTFS permissions:アクセス許可)が原因で書き込み不能→MSMQ送信が失敗します。 (Microsoft Learn)
症状はわりと典型で、たとえば「Insufficient resources to perform operation(操作を実行するためのリソース不足)」でIISが落ちたり、キューがinactive(非アクティブ)になったり、「The message file '…storage*.mq' cannot be created(メッセージファイルを作れない)」が出たりします。しかも「There is insufficient disk space or memory(ディスク領域またはメモリが不足)」みたいなミスリードまで混ざる。 (Microsoft Learn)
発生日時と対象:どのKB・どのビルド?
確認されている中心は“2025年12月9日公開”の月例セキュリティ更新で、12月12日に既知の問題として追記されました。 (Microsoft Learn)
今回の話を“自分の環境”に落とすなら、まずここです(ビルド番号も大事)。
Windows 10 22H2(ESU:Extended Security Updates/延長セキュリティ更新)
OS Build 19045.6691、KB5071546 (Microsoft Learn)
Windows Server 2016(+Windows 10 version 1607系)
OS Build 14393.8688、KB5071543 (マイクロソフトサポート)
Windows Server 2019(+Windows 10 version 1809系、LTSC 2019含む)
OS Build 17763.8146、KB5071544 (マイクロソフトサポート)
「Windows 10って全員?」と聞かれると、家庭PCはそもそもMSMQを使ってないことが多いので、体感ゼロの人も普通にいます。逆に、業務アプリやIISの裏でMSMQが動いてる会社ほど“気づいた時には止まってる”になりやすい。 (Windows Latest)
エラー表示:見えているメッセージはこのへん
現場で一番刺さっているのは「System.Messaging.MessageQueueException: Insufficient resources to perform operation」です。 (Microsoft Learn)
ほかにも、メッセージファイル作成失敗の文言(storage*.mq)や、ディスク/メモリ不足を装うログが並びます。リソース監視して「余ってるじゃん!」ってなるのに落ちるので、初見だと沼。 (マイクロソフトサポート)
原因:なぜ“権限”でMSMQが死ぬの?
Microsoftの説明は明快で、MSMQのセキュリティモデル変更+storageフォルダーの権限変更で“MSMQ利用者が書けない構成”が増えた、という話です。 (Microsoft Learn)
ここがややこしいポイントで、MSMQはサービス自体は動いて見えるのに、実際のキュー操作(送信・作成)が“裏のファイル書き込み”で詰まる。IISのアプリプールID(IIS_IUSRS)や、LocalService/NetworkServiceみたいな制限アカウントで動かしてると、ドンピシャで踏みます。 (Microsoft Learn)
「管理者(administrator:管理者権限)なら影響しにくい」とされるのも、この書き込み権限の話と一致します。 (Microsoft Learn)
公式の対応状況:直った?まだ?
現時点(2025年12月16日)では“Confirmed(確認済み)/Investigating(調査中)”で、恒久パッチや明確な回避策はまだ出ていません。 (Microsoft Learn)
MicrosoftのKB(KB5071546/1543/1544)にも既知の問題として追記が入り、次の案内待ち、という書き方です。 (マイクロソフトサポート)
他ユーザーの報告:フォーラムの“生の声”はこう
「KBを戻したら直った」「IIS_IUSRSやLocalServiceがmsmqフォルダーに書けなくなった」が、かなり共通しています。 (Microsoft Learn)
Microsoft Q&A(公式フォーラム)では、Server 2019でKB5071544をロールバックしたら復旧、Server 2016でもKB5071543を戻したら復旧、という報告が具体的に出ています。 (Microsoft Learn)
Reddit側は温度感がバラけていて、技術というより「また壊れた」系の愚痴も多い。とはいえ、こういう“現場の空気”が先に広がって、あとからKBが追記される流れは、パッチデーあるあるです。 (Reddit)
で、どうする?現実的な選択肢は2つ
結局は「セキュリティ更新を維持したまま権限を調整する」か「更新を外して復旧優先にする」かの二択になりがちです。 (Microsoft Learn)
前者(ACL修正:Access Control List/アクセス制御の調整)は、うまくいけば“止血しつつ更新維持”ができます。ただし権限を広げる=セキュリティ設計に触るので、組織だと稟議が必要になりやすい。しかも「手で直しても元に戻されるっぽい」という報告もあって、これがまたイヤなところ。 (Microsoft Learn)
後者(ロールバック)は即効性が強い一方、12月の脆弱性修正を捨てるので、期間限定の暫定措置にするのが現実的です。なお、MSMQ自体にも特権昇格(Elevation of Privilege:権限昇格)のCVEが12月に出ています(CVE-2025-62455)。ここ、判断が割れそう。 (NVD)
手順:まず影響確認、次に“最小の復旧”へ
焦っていきなり全部戻す前に「自分が踏んでるのがMSMQ問題か」を切り分けるのが最短です。 (Microsoft Learn)
(1) 影響端末/サーバーで、OSビルドとKBを確認します。winver、または「更新履歴」→「インストールされた更新プログラム」からKB5071546/1543/1544が入っているか見ます。 (マイクロソフトサポート)
(2) エラーが「Insufficient resources to perform operation」やstorage*.mq cannot be created系か、イベントログとアプリログで確認します。 (Microsoft Learn)
(3) MSMQを実際に使っている実行主体(IIS_IUSRS、特定サービスアカウント等)が、C:\Windows\System32\MSMQ\storageへ書き込める前提だったかを確認します。 (Microsoft Learn)
(4) 暫定復旧を急ぐなら、まずはロールバック(KB削除)を検討します。Windows 10なら「設定」→「更新とセキュリティ」→「更新履歴」→「更新プログラムをアンインストール」、サーバーなら運用手順に沿って該当KBを外し、再起動で戻るケースが報告されています。 (Microsoft Learn)
(5) ロールバックが難しい場合のみ、セキュリティチームと相談のうえでstorageフォルダーのACLを“必要最小限”で調整します。ここは組織ごとに正解が変わるので、闇雲に「Everyoneにフル権限」は絶対におすすめしません。 (Microsoft Learn)
コメント欄をフォーラム化:あなたの環境、どれ?
いま一番ほしいのは「どの構成で踏んだか/踏まないか」の具体例です。
よかったら、コメントでこの3点だけでも教えてください。Windows 10は22H2(ESU)なのか、Serverは2016/2019なのか。KBは5071546/1543/1544のどれか。MSMQの実行主体はIISアプリプールなのか、サービスアカウントなのか。あと、キューがinactiveになったのか、IISが500になったのか、ログだけ騒いで実害はないのか……この差が、次の対策のヒントになります。 (Microsoft Learn)
「ロールバックで凌いだ」派は、戻したKBと再発の有無もぜひ。
「ACLで凌いだ」派は、どこまで権限を広げたか、そして“勝手に戻された?”の体験談が知りたいです。 (Microsoft Learn)
最後に、今回の発端を報じたHeiseの元記事も押さえておくと流れが追いやすいです(2025年12月15日掲載)。 (heise online)