
2025年8月13日、台湾のPCゲーマーコミュニティで衝撃的な事例が報告されました。それは、ZOTAC製のNVIDIA GeForce RTX 5090グラフィックカードが、人気FPSゲーム『Battlefield 6』のオープンベータをプレイ中に実際に発火したという重大な不具合です。しかも今回の発火は、これまで多く報告されていた12VHPWR(電源コネクター)のトラブルとは異なり、GPU本体の電源回路そのものに問題が発生していた可能性がある点で注目を集めています。
🔴この問題は、ZOTAC RTX 5090 AMP Extremeモデルの設計上の弱点に起因する電源ラインの過熱・ショートが直接の原因とみられており、現在ZOTACおよび販売代理店が対応を協議中です。
対象となるユーザーは、RTX 5090 AMP Extremeモデルを利用しているゲーマー全般、特に自作PCではなく、完成済みのBTOパソコンを購入した一般ユーザーです。今後の保証対応にも影響を及ぼす可能性があるため、類似環境で使用中の方は十分な注意が必要です。
- 発火はBattlefield 6のプレイ中に発生:PC内部が黒焦げに
- 電源コネクターは無事、焦点はMOSFETとVRMへ
- ユーザーはアンダーボルテージ運用を実施していたが…
- 修理・保証対応はまだ未定:ZOTAC公式は沈黙中
- 他ユーザーの事例と報告:すでに複数の発火例が確認されている
- ZOTAC RTX 5090 AMP Extremeの設計的な問題とは?
- 回避策はあるのか?ユーザーができる防止対策
- BTOパソコン所有者が特に注意すべき点
- 今後の保証対応とメーカーの姿勢に注目が集まる
- RTX 5090の設計は“リスク前提”?設計思想の見直しを求める声も
- Battlefield 6ベータは50万人が参加中、ただし類似事故は確認されず
- 過去の類似不具合と比較すると?
- まとめ:RTX 5090の“限界”が浮き彫りに
発火はBattlefield 6のプレイ中に発生:PC内部が黒焦げに
2025年8月13日、台湾の人気フォーラム「Gamer.com.tw」にて、ユーザー「york4517」氏が、自身のPCで発生した異常を投稿しました。ZOTAC製RTX 5090 AMP Extreme(ビルド番号未記載)を搭載したPCで、Battlefield 6のオープンベータ版をプレイしていたところ、突然画面がフリーズし、内部から閃光と焦げたような臭いが立ち込めたとのことです。
その直後、GPUは約10秒間にわたって発火し、PC内部が黒焦げになるという深刻な損傷が発生しました。この発火により、GPUだけでなく、
- マザーボード
- SSD
- 水冷CPUクーラーのチューブまでもが焦げた
と報告されています。フォーラムの投稿には、実際の写真も添付されており、GPUの周囲に焼損痕がはっきりと確認できます。とくにマザーボードの下部エリアに焼け跡が集中していたことから、メモリー系電源ライン(MSVDD)に何らかの異常が発生した可能性が高いと指摘されています。
電源コネクターは無事、焦点はMOSFETとVRMへ
⚠️今回の事故で特筆すべきなのは、過去の多くのRTX 4090/5090トラブルと異なり、12VHPWR電源コネクターには問題が見られなかった点です。
UNIKO’s Hardwareによると、焼損箇所の中心はMSVDD(メモリーパワーサブシステム)であり、MOSFETの短絡(ショート)や電圧レギュレータモジュール(VRM)フェーズの破損が主な原因である可能性が高いと報告されています。
このような回路は、GPUが大きな負荷を受けているときに安定した電力供給を行うために非常に重要ですが、フェーズ回路の一部が故障することで、異常な電流が発生し、短時間で高温に達して燃焼することがあります。報告によれば、PCB(基板)自体が一部溶けていたとも言われており、回路の損壊がいかに激しかったかがうかがえます。
ユーザーはアンダーボルテージ運用を実施していたが…
投稿者によれば、GPUは標準設定よりも若干電圧を下げた「アンダーボルテージ」状態で運用していたとのことです。この設定は一般的に発熱を抑え、GPUの動作を安定させるために用いられます。しかし、今回のような大規模なトラブルと直接関係があるかどうかは不明で、過去に同様の設定で炎上事故が発生したケースは報告されていません。
NVIDIAのRTX 5090シリーズは、特に高負荷時に電圧が最大1.1Vまで自動で上昇する特性があり、これが回路に過剰な負担をかけた可能性も考慮されています。
さらに、RTX 5090では電流バランスを調整する安全回路が廃止されたという内部仕様の変更が、こうした電力供給の不均衡化を助長している可能性もあると、一部専門家は警鐘を鳴らしています。
修理・保証対応はまだ未定:ZOTAC公式は沈黙中
現在、「york4517」氏が購入したPCは、パーツ単体の自作構成ではなく、BTOによるプレミアムモデルであったため、販売店がZOTACの現地代理店と連絡を取り合って対応を協議している最中です。
GPUそのものの交換やPC全体の補償についてはまだ決定が出ておらず、SSDなど他部品の損傷も別個に扱われる予定とのことです。なお、ZOTAC公式およびNVIDIAは、本件についていまだコメントを発表していません。
他ユーザーの事例と報告:すでに複数の発火例が確認されている
この「RTX 5090発火事故」が、単発の偶発的なアクシデントではない可能性も指摘されています。実際に、UNIKO’s Hardwareでは、同様のトラブルがこれまでにすでに2件以上確認されていると報じており、そのうちの1件は今回と同じZOTAC製モデルで発生しています。
Redditの「r/hardware」スレッドやX(旧Twitter)でも、一部のユーザーが「高負荷時に画面がブラックアウトし、マザーボードが焦げた臭いを発した」といった類似体験を共有しており、その共通点として以下のような点が挙げられています。
- Battlefield 6やCyberpunk 2077など、非常にGPU負荷の高いゲームをプレイしていた
- アンダーボルテージやオーバークロックなど、標準とは異なる電力設定を使用していた
- ZOTAC AMP Extremeや同等ハイエンドモデルを使っていた
- 電源コネクターやケーブルには焦げ跡なし
⚠️これらの報告はまだ個別のものであり、NVIDIAやZOTACから公式な統計や調査結果は出されていないものの、RTX 5090シリーズが持つ基板設計上の脆弱性や冷却構造の限界が疑われるには十分な数になりつつあります。
ZOTAC RTX 5090 AMP Extremeの設計的な問題とは?
今回話題になっている「ZOTAC RTX 5090 AMP Extreme」は、ZOTACが販売する最上位モデルのひとつで、冷却性能や安定性の高さをうたっています。しかし、テック系メディアの分析によると、その設計にはいくつかのリスク要素が内包されているようです。
とくに注目されているのは、MOSFETやDrMOS(電源制御用トランジスタ)周辺のパーツ密度が高く、冷却エリアが極端に狭い点です。これは、部品配置の最適化を優先した結果であり、基板の端部にかけて高温になりやすいホットスポット(熱溜まり)が発生しやすい構造となっています。
海外メディア「Tech4Gamers」は、MSIやASUSなどの他社モデルと比較して、ZOTACモデルはPCB端からMOSFETまでの距離が約3.8mmと短く、熱がこもりやすい設計だと指摘しています。これは長時間の高負荷動作において、回路の温度上昇が異常に早くなる原因の一つになっていると考えられています。
さらに、RTX 5090シリーズでは12VHPWR電源まわりの電流モニタリング回路が撤廃されているという仕様変更があり、これが過電流検知の遅れや供給不安定化を招いているのではないかと、一部の開発者やリペア技術者の間で指摘されています。
回避策はあるのか?ユーザーができる防止対策
RTX 5090シリーズを使用しているユーザーにとって、「次は自分のGPUが燃えるのでは?」という不安は尽きないものです。現在のところ、ZOTACやNVIDIAから明確な回避策やファームウェアアップデートなどの公式対策は発表されていませんが、ユーザー側で取り得るリスク軽減策として以下が考えられます。
まず第一に、アンダーボルテージやオーバークロックといった手動設定を極力避けることです。今回のような事故では、意図的に電力制御を変えたことが、意図せず不安定な電流配分を引き起こす引き金になった可能性があります。これは、ハードウェアの保護回路が期待通りに動作しないことにもつながりかねません。
次に、ケース内のエアフロー(空気の流れ)を最適化することです。GPUだけでなく、マザーボード周辺の電源ラインも確実に冷却できるよう、ファンの配置やケース選定を見直す必要があります。高性能GPUはそのぶん熱も大きいため、少しの冷却不足が致命傷になり得ます。
また、信頼性の高い電源ユニット(PSU)を使用することも重要です。ZOTAC RTX 5090はTDP(消費電力)が非常に高いため、1000W以上・80PLUS Platinumクラス以上の電源ユニットを選ぶことが推奨されます。安定した電力供給ができなければ、電圧の急変や突入電流が発火の引き金となり得ます。
BTOパソコン所有者が特に注意すべき点
今回のケースがBTO(受注生産型)パソコンで発生したことは、購入者側にも注意喚起を促すものでしょう。BTOモデルは、カスタマイズの幅が広い反面、GPUや電源の初期設定が標準状態でないことも多く、各構成パーツ間の熱的バランスが必ずしも最適とは限りません。
🔴とくにRTX 5090のような極めて発熱の大きいGPUを搭載する場合は、初期状態の冷却性能を疑い、BIOS設定やファン回転数のチューニングなどを慎重に確認することが推奨されます。
中には、標準ファン設定が「静音重視」となっており、必要な冷却が行われていない構成も存在します。こうした構成のまま高負荷なゲームを長時間プレイすれば、温度上昇によって今回のような事故に至るリスクが高まります。
今後の保証対応とメーカーの姿勢に注目が集まる
ZOTACやNVIDIAからは、2025年8月14日現在も本件に関する公式声明は一切発表されていません。問題のグラフィックカードは、台湾国内の販売代理店を通じてZOTAC本社に送られる予定となっており、交換・返金・補償のいずれの方針もまだ決定していない段階です。
ユーザー「york4517」氏によると、PC自体はBTOで構成されたものであり、保証書に明確な「オーバークロック禁止」や「アンダーボルテージ不可」といった記述はなかったといいます。このような曖昧な保証規定が、今後の判断に影響を与える可能性もあります。
さらに、同PCに搭載されていたSSDやマザーボードも焼損していることから、GPU単体ではなくシステム全体の損害補償が求められる可能性も高く、BTO販売店およびZOTACの対応が問われる場面となりそうです。
RTX 5090の設計は“リスク前提”?設計思想の見直しを求める声も
今回の事例に関連して、専門家の中には**「RTX 5090はそもそも消費電力と発熱が常軌を逸しており、空冷・水冷の限界を超えている」**との声もあります。
NVIDIAが搭載している最新の「Blackwell」アーキテクチャは、従来のAda Lovelace世代を凌ぐ高性能を発揮する一方で、その電力要求と放熱量も大幅に増加しています。RTX 5090は公称TDPが600Wを超えるモデルも存在し、標準的なPCケースや市販の冷却システムでは安定稼働が難しいとも言われています。
⚠️特にZOTAC AMP ExtremeのようなOCモデル(出荷時にクロック上昇済みのモデル)は、動作クロックだけでなく、内部電源ラインへの負荷も上昇していることから、回路設計そのものを見直す必要があるという意見もあります。
このような状況を受け、今後のGPU開発には以下のような方針転換が求められるかもしれません。
- 高性能化と同時に、熱設計および安全回路の強化を並行する
- 自作/BTO市場での冷却性能基準の標準化
- 回路異常をリアルタイムで検知・制御するスマート監視機構の導入
GPUが単なる演算装置から「家庭用発火リスクを伴う発熱体」へと変貌するリスクを回避するためにも、安全性の再定義が今求められています。
Battlefield 6ベータは50万人が参加中、ただし類似事故は確認されず
今回の事故はBattlefield 6のオープンベータテスト中に発生したため、「ゲーム側に起因する過負荷ではないか?」という憶測も一部にありました。
しかし、SteamおよびEAの発表によれば、Battlefield 6ベータには世界中で約50万人以上が同時参加しており、他に同様のGPU損傷や発火に関する報告は確認されていません。
これは、ゲーム自体が特別な負荷をかけたというよりも、RTX 5090(特にZOTAC AMP Extremeモデル)固有の構造的問題である可能性が高いことを意味します。
また、同時期に同じ構成でプレイしていたユーザーの中には、「PCケースが異様に熱くなった」「GPUファンが異常音を立てた」といった異常の予兆的な現象を報告しているユーザーも複数存在しており、単一事象として片付けるには危険性が高いと警戒されているのです。
過去の類似不具合と比較すると?
今回の事故に似た過去事例としては、RTX 4090登場初期に頻発した12VHPWRコネクタの溶損事故が思い出されます。これは新規格の電源端子が着脱不良に弱く、差し込み不足によって発熱・焼損が発生するというものでした。
その際には、NVIDIAが設計仕様を見直し、改良版のコネクタ「12V-2×6」を導入し、電源メーカー各社と連携して対策を施しました。
🔴今回も同様に、電源ラインの安全設計を再度見直し、設計段階で「最悪の事態」を想定した冗長性(バックアップ回路など)を持たせる設計思想が求められるでしょう。
ZOTACは、すでに一部モデルに**セーフティインジケーター(通電異常時に通知するLED機能)**を搭載しているとされていますが、今回のような急激なフェーズ破損に対しては効果を発揮しなかった可能性があります。
まとめ:RTX 5090の“限界”が浮き彫りに
このZOTAC RTX 5090 AMP Extreme発火事故は、次のような重要な教訓を残しました。
- RTX 5090は非常に高性能だが、それゆえに電源回路と冷却性能の両立が難しい構造である
- 特にZOTAC AMP Extremeモデルは設計密度が高く、熱がこもりやすいリスクがある
- アンダーボルテージやオーバークロックなどの手動設定は、安全回路を回避する危険性がある
- BTOパソコンユーザーは、構成の初期設定(冷却・電源設計)に十分な注意が必要
- 保証対応の曖昧さが、今後の信頼性問題にも発展しかねない
今後、NVIDIAおよびZOTACがどのような対応を見せるのか、またユーザーがどのような対策を講じるべきかは、今後のハイエンドGPU市場全体にとっても大きな試金石となるでしょう。RTX 5090というフラッグシップ製品の実力と限界、その両面を突きつけた今回の事件は、PCゲーミングの未来に警鐘を鳴らす一件といえます。