
はじめに
こんにちは。プロダクト本部に所属しているエンジニアの孫です。 誰が、何の業務に、何時間使ったのかを可視化できるクラウド型工数管理・プロジェクト管理ツール「クラウドログ」の開発を担当しております。
今回は、私が実際にAIを利用して作業をスムーズに進めた経験について紹介いたします。 日々の業務でどのようにAIを活用しているかを説明し、AI利用で初心者の方々の参考になれば幸いです。
背景
近年、AI技術の発展により、業務の効率化や生産性向上が期待されています。
ところが私自身も含め、AIを活用することに慣れておらず、反復作業やデータ整理などのタスクを手作業で行った方がまだまだいらっしゃると感じました。
最近では指導を仰ぎながらさまざまな作業にAIを取り入れて見まして、作業時間の短縮ができるようになりました。
こうした経験から、AI活用のノウハウを社内外に共有し、業務効率化を図りたいと考え、このブログを執筆しました。
ターゲットとしている読者
- エンジニア・QAの業務に携わっていて、AI活用が行えていない方
- AIとやり取りすることに不安を感じられる方
- 作業においてAIに助けを求める方法について迷っている方
基本的に初心者の方をターゲットとしているので内容は比較的やさしいものです。
このブログで伝えたいAI活用を行う上での重要なポイント
- やりたいことを明確にし、「要件」としてまとめる
- 実現方法が明確になったら、箇条書きで「指示」に整理する
- プロンプトで「要件」と「指示」を一斉にAIに伝える
AIと会話することは、「情報の整理」が全てであって、やはり人と人の間に会話を行うことと一緒ではないでしょうか。
AI活用の事例
概要
ここ最近AI活用におけるケースの中に、特に効果的だったと感じた事例を3つご紹介します。
これらの事例を通して、どなたでも多岐にわたる作業においてAIとの連携を活かし、成果を効率的に創出することができるという可能性を実感していただければと思います。
事例1)AIを活用して機能テストのテストデータ作成にかかる工数を削減
開発において、テストを行うためにテストデータを作成することはよくあると思います。
特に、ユーザーの本番利用を想定したデータをテスト環境で再現するようなテストデータを手作業で大量に作ることは、時間と労力がかかり、現実的ではありません。

今回テストを行うにあたって、作業単位になっている作業データを日単位の工数情報にまとめる必要があったので、そのデータ成型にAIを活用できないかと考えました。
最初は、プロンプトでサンプルデータや命令を個別にAIに送信してみました。
AIの回答を確認しながらプロンプトのメッセージを調整し、何度もやり取りを繰り返しましたが、生成されたものは一つもテストデータに利用できませんでした。

困っていたところにチームの先輩から良いアイデアを授けてくださいました。
「ChatGPT-4oのアップロード機能を利用して、情報を構造化にしてエクセルファイルへまとめてからAIに読み込ませる」
手順は以下の通りです。
- 構造化された指示をエクセルにまとめる
- プロンプトでエクセルをChatGPT-4oにアップロードする
- テストデータをテンプレートに自動生成させる
- テストデータをダウンロードして機能テストで利用する

上記の「構造化された指示」の一部を具体的に挙げます。
- シート:テストデータに関連するDBテーブルの構造(詳細を省き)
- シート:サンプル値のセット

- シート:テストデータの出力テンプレート

- シート:テストデータ生成の要件
- 「テーブル構造」シートは工数情報に関わるテーブルの構造を記述した内容です。
- 作業する目的は、「データ」シートで列挙されたセット値から、テンプレートの各カラムの値を生成して、最終的にテストデータをインポートすることです。
- シート:テストデータ生成の命令
これで、プロンプトでChatGPTに伝える内容は一言です。

このように、ChatGPTのアップロード機能を使うことで、利用可能なテストデータを素早く用意できました。
確保できた時間を機能テストに充て、充実した検証を行うことで、プロダクト品質の向上に繋げることに成功しました。

上記テストデータの作成方法では、サンプル値の調整や要件の変更をすべてエクセル上で対応できるので、エンジニア以外の方でも気軽に試すことができます。
事例2)AIを活用して作業ツールを作成しログ解析を簡単に実現
性能改善などのタスクを進める際、リクエストログを参考にして現状分析を行うケースが多いです。
例えば、特定範囲の「検索期間」を条件にして検索するリクエストが同APIのリクエスト全体に占める割合を計算するという要件があるとします。
この場合、
- ログモニタリングプラットフォームで該当APIログを全量エクスポートする
- 検索期間を示すパラメータの値を抽出する
- 要件を満たす検索期間の行を数えて割合を算出する
という対処方法が考えられます。
パラメータ抽出の作業はやや複雑に見えるから、AIにログ解析ツールを作成してもらったらどうなるかと、ChatGPTに頼んで見ました。
次の手順となります。
- エクスポートしたログファイルをChatGPTにアップロードする
- プロンプトで以下の指示を出す
すると、ChatGPTがスクリプトツールを生成してくれました。

そしてこのツールを走らせて見たらログ解析が正常に行われ、期待どおりの結果ファイルが取得できました。
もちろん、スクリプトを自作するなど他の方法もありますが、AIを活用して解析ツールを手軽に作成するのも一つの手段だと思います。
事例3)サンプルコードをAIに聞くことで自動化テストの実装工数を削減
フロントエンドのコードを効果測定するに当たって、E2EテストでUI上の挙動テストを自動化させるという手法があります。
クラウドログ開発チームでは最近、PlayWrightというフレームワークを導入して多種のブラウザに対するE2Eテストを行うようにしています。
E2Eテストのコーディング経験がなかったのでテストケースを実装するとき、細かい挙動の実現に悩んでいました。
自分が担当するモジュールに向けたサンプルコードがあったら助かるかと思い、VSCodeの拡張機能としてインストールされたMicrosoft社の生成AI「Copilot」に聞いて見ました。

期待を裏切ることなく、Copilotが実装ポイントを詳しく解説しつつテストコードのスケルトンまで提示してくれました。
このサンプルコードのおかげで、デバッグを少し工夫してテストケースの実装を完成できました。
おわりに
AIと会話すると期待通りの結果が得られず、かえって手間がかかってしまうこともあります。
その原因についてチームの先輩に尋ねて見ましたところ、「断片化された情報を一つ一つAIに読み取らせたため作業の目的を理解できていなかった可能性が高いので、まずは自分から『目的』と『手段』を明確に提示する、そして作業の背景や要件を含めた構造的な情報をまとめるように考え直しましょう」という助言をいただきました。
振り返ってみると、現時点ではAIは作業を賢く手伝ってくれますが、物事に対する『思考』を完全に人間の代わりに行うまでには至っていないようです。
今後も皆さんと一緒に実践を重ねながら、AIとのコミュニケーションの効果をどのように改善できるかを考え続けたいと思います。
AI技術の革新を日々実感できる今、私たちはもっと豊かな時間を作ろうとAI活用を身につけ、未来へ向けて進化しなければなりません。