何の話かというと
の3日目の記事
で、指数関数 において、
「
のときの接線の傾きの値」
となる をさがすと、それが
(ふなひとはちにわ)になるんだよ!
という解説があって、ほほぉー、と思いつつも・・・
「この関係は のときだけに成り立つものではありません。
では、
がどんな値の時にでもこの関係式は成り立ちます。」
という部分の(なぜそうなるのかという)説明がなかったので、なぜ、すべての で成り立つのかという説明を補足してみます。
微分の定義
先の記事では、数値微分の例で説明されていますが、一般に、点 からちょことだけ離れた点
(
は0.000001ぐらいの小さい数だとしてください)を考えて、グラフ上の2点
と
を結ぶ直線の傾きを考えてみます。
傾き
これは、点 における関数
の傾きの近似計算になるわけですが、ここで、
をどんどん 0 に近づけていくと、その極限として、厳密な傾きの値、つまり、微分係数が計算されます。
―― (1)
ちなみに、いま、「微分係数」といいましたが、(1) では、 をいろいろな値に変化させて、
を
の関数とみなしています。このように、
における微分係数を表わす関数
を「関数
の導関数」と言います。特定の定数
における傾きが「微分係数」で、
を変数とみなしたものが「導関数」ということになります。
指数関数の微分
それでは、指数関数 の微分(導関数)を先の定義にしたがって計算するとどうなるでしょうか。
まず、傾きを表わす式の分子を計算すると、次のようになります。
面白いことに、全体が でくくれてしまいます。
したがって、これを (1) に代入すると、次のようになります。
―― (2)
極限操作 では、
の値をだんだん小さくするという操作を考えているわけですが、
は
に依存しない値なので、極限操作の外に取り出せてしまう所がポイントです。
そして! (2) に残った極限値 の中身をよーく見ると、どこにも変数
が入っていません。もともと、点
をいろいろ変化させた時に、微分係数がどのようにかわるか、という視点があったのですが、この部分は、微分(傾き)を計算する点
に関係なく、いつも同じ値になります。
ただし、これが具体的にいくらになるのかを一般の に対して計算するのは簡単ではありません。(分子も分母もどっちも0に近づいていく「不定形」というやつですね。)
とは言え、 の値を具体的に一つ決めてしまえば、数値計算で求めることは可能です。ちょっと、Pythonで試してみましょう。
$ python >>> h = 0.00000000001 >>> a = 2 >>> (a ** h - 1 ) / h 0.6931566431944702
本当は、 をどんどん0に近づけるのですが、ここでは、
という極端に小さい値を用いて近似計算を行いました。
つまり、 の時、
の導関数は、(近似計算で)次になることがわかりました。
これは面白い事実を表しています。一般に、「指数関数 の導関数は、自分自身を定数倍したものになる」ということですね。指数関数は値が「指数的に」増えていくと同時に、傾きも「指数的に」増えていくというわけです。
・・・ここで問題です!
それでは、この定数 がぴったり 1 になる
を見つけることはできるでしょうか。
・・・がんばりました。
$ python >>> h = 0.00000000001 >>> a = 2.71828 >>> (a ** h - 1 ) / h 1.000000082740371
・・・いえ嘘です。
答えを知っているので、それを使いました。実は、 となります。これで、
とする時、すべての
について、
となる
ということがわかりました。
やったー。
補足説明
ちなみに、定数 がぴったり 1 になる
を見つけるということをやりましたが、よーーーーーく考えると、
は、指数関数
の
における傾きそのものですね。非常におもしろいことに冒頭のエントリーで紹介した、「指数関数
の
における傾きが
になる
を見つける」という作業によく似ています。特定の点での傾きを決定することが、「すべての
について、
となる
」を探すという作業につながっているわけです。なかなか奥深いですねー。