以下の内容はhttps://elm200.hatenablog.com/entry/2025/10/11/183453より取得しました。


再エネ・熱核融合・LENR

LENR(低エネルギー核反応)以外のこともたまには書きたいのだが、なかなかこの新しい技術的可能性を自分の世界観の中でどう位置付けるかという作業が終わらない。しばらくお付き合い願えると幸いである。

今後のエネルギー源はどのような推移を見せるのであろうか。今日は文章が長くなってしまったので、最初に結論を述べておく。いろいろ考えたのだが、結局、「LENRが普及した時点で、再エネも熱核融合も不要になってしまう」という結論になった。ただし、それはおそらく20年くらい先の話であり、それまでは再エネは重要な役割を果たし続ける。

今まさに化石燃料から低炭素電源への移行が進行中である。これは、火力発電を減らして主に再エネ(部分的には核分裂発電)を増やすことで行われている。またモビリティにおいても、内燃機関車を再エネ由来の電力を使うBEV(バッテリー式電気自動車)に移行することで、化石燃料からの脱却を目指しているところだ。もし気候変動の問題がなければ、こんなに急がなくてもよかったかもしれないが、脱炭素をしなければならない以上、化石燃料の使用を一刻も早くやめる必要がある。

化石燃料からの移行先は、長期的に見たとき、候補が2つある。一つは再エネ、もう一つは核融合発電である。既存の核分裂発電(原子力発電)をここで候補に含めないのは、高レベル放射性廃棄物の問題が付きまとい、これが社会的受容性を下げ、建設・維持・廃炉コストを高止まりさせるからである。長期的には、再エネまたは核融合発電に代替されるであろうことは明らかだ。

再エネはすでに確立した電源であり、多くの地域ですでに最安の電源でもある。もはや補助金に依存しなくても、経済的合理性だけで今後も急速に導入が進んでいくだろう。

問題は、核融合の方である。核融合といえば、世間では基本的に、高温・高圧の環境で水素を融合させる熱核融合を意味する。これは太陽の中でも起きている反応なので、実現するための原理は明白である。しかし、この高温というのが1億度などというすさまじい温度なので、熱核融合反応を安定して持続させるのが工学的に極めて難しいのである。そのため、私はこの技術は、21世紀中に実用化しないだろうと思っていた。実際、ITERという最大の国際プロジェクトは遅延に遅延を重ねている。CFS等の小回りの利く熱核融合スタートアップは、2030年代前半に商業運転を開始するなどと主張しているが、スタートアップ特有の強気の計画であろう。とてもそんなに早く実用化するとは信じられない。

というわけで、私は人類は全面的に再エネに移行するしかないと思っていた。そして再エネのみに頼る期間は相当長く続き、少なくとも21世紀中はずっとそうだと思っていた。

LENRという可能性を知るまでは。

私は再エネは素晴らしい電源だと思っている。太陽光発電風力発電については、天候によって出力が変わるという変動性の問題が付きまとうが、これも毎年安くなっていく蓄電池等の技術によって解決するだろう。ただ、一つだけどうしても解決が困難な問題がある。それは再エネはエネルギー密度が低く、広大な土地を必要とする点である。こればかりは再エネの本質なのでどうしようもない。日本のように未使用な土地の少ない国においてはこれは大きな問題になりうる。

核エネルギーは質量当たりの出力が化学エネルギーの100万倍程度ある。人類がいまのところ現実的に制御可能な、最もエネルギー密度が高いエネルギー源である。本当ならこれを自由自在に制御できるのが人類にとってはベストである。しかし、核分裂炉の高レベル放射性廃棄物やら、核融合炉の工学的困難やらあって、「本当に使いこなせるのか?」と疑いの目で見られることが多かった。

しかし、LENRではあればそれが可能かもしれないのである(「かもしれない」というのはまだ実用化されていないし、本当に実用化できるかも確実ではないからである)。LENRは、常温・常圧に近い、人間に扱いやすい環境で、中性子放射線も出さず、じわじわと安定的に熱を出してくれるという、人類にとっては誠に都合の良い核反応である(都合が良すぎるのも詐欺っぽく見える一つの理由であろう)。

核融合にしろLENRにしろ、社会に大きなインパクトをもたらすレベルで普及するまでにはあと20年はかかるだろう。それまでは低炭素電源としては再エネ(と部分的に核分裂発電)を推進するしかないだろう。問題はその後だ。

以下3つのシナリオを考えてみる。

  1. 核融合が先に実用化し、LENRは実用化されることはない
  2. 核融合が先に実用化し、その後LENRも実用化される
  3. LENRが先に実用化し、熱核融合が実用化されることはない

(もうひとつ、LENRが先に実用化し、その後に熱核融合も実用化されるケースも一応考えられるが、LENRが実用化した時点で、そちらの方が扱いやすいので、熱核融合への熱意が下がると私は考えており、このシナリオはいったん考えないことにする)

この3つのシナリオで再エネ・熱核融合・LENRがどうなっていくのか Gemini に訊いてみたところ、次のような感じの回答だった。

1. 熱核融合が先に実用化し、LENRは実用化されることはない

  • 核融合が「ゲームチェンジャー」として機能。ただし大規模集中電源としての役割に限定
  • 再エネは「エネルギーの主役」ではなくなるものの、送電インフラが脆弱な地域や、災害時の独立電源として、分散型電源の地位を確立

2. 熱核融合が先に実用化し、その後LENRも実用化される

  • 核融合は大規模ベースロード電源として登場するものの、その後 LENR が分散型熱源・電源として爆発的普及して、熱核融合を置き換える
  • 再エネはニッチ用途に限定され、市場規模は大幅に縮小

3. LENRが先に実用化し、熱核融合が実用化されることはない

  • LENRは「テーブルトップのエネルギー」として製造業の熱源から家庭用給湯、自動車のバッテリーチャージャーに至るまで、あらゆる場所で化石燃料や既存電源を駆逐
  • 核融合は、LENRが同様のクリーンエネルギーをより容易かつ安価に提供するため、工学的挑戦への熱意と資金が失われ、実用化の道を閉ざされる
  • 再エネは、新しいLENRデバイスの価格が再エネ+蓄電池のシステム価格を下回った時点で、新規の再エネ発電所建設はほぼ停止し、既存の再エネ設備も順次廃止・解体される

これをさらにまとめると、再エネがある程度の規模で生き残るシナリオは、核融合発電(熱核融合+LENR)が全く実用化しないか、または、熱核融合発電だけが実用化されるときのみとなる。LENRが実用化された場合は、熱核融合も再エネも廃止されていくことになる。

LENRが社会で広く使われるまであと20年と言ったけれども、実際には10年かもしれないし30年になるかもしれない。まだ正確なことはわからない。しかし、熱核融合発電のように21世中には実用化しない、などということはないと思う。なぜなら、原理さえわかってしまえば、LENRを利用した機器を作るのはそこまで難しくないはずだからだ。再エネはそれまでのつなぎの電源ということになる。しかし、つなぎとは言え、化石燃料からの脱却を図る上で極めて重要な電源であり、歴史的な役割を果たすだろう。私はそれまで再エネの普及に全力を注ぎ、来るべきLENR発電へのバトンタッチを準備しようと思う。




以上の内容はhttps://elm200.hatenablog.com/entry/2025/10/11/183453より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14