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核融合発電は早期実用化するか?

皆さんもよくご存じの通り、私は熱い再エネ推し、特に太陽光発電推しだ。それにはいくつも理由がある。環境負荷が低い、分散的、低コスト、持続可能、等々。ただ、特定の技術に思入れは持たない方がいいという考え方もある。特定の技術に感情を持ちすぎると、それを使うのが適切でない状況に変化しても、ついこだわってしまい判断を誤るからだ。

私は再エネが次世代の主力エネルギー源だと確信している。その導入レースで先頭に立つのが中国だ。中国は2025年上半期、200GW以上の太陽光発電を新設、これは実に世界全体の導入量の約70%にも達する。一方、日本は2010年代までは頑張っていたのだが、2020年代に入って失速。いまは洋上風力も派手にこけ、全国各地でメガソーラーが叩かれまくるという風に再エネ導入に暗雲が漂っている。

この事実をもって私は、中国の未来は(少なくてもエネルギーに関しては)明るいと感じるし、一方で日本の将来は暗いと感じる。しかし、ある技術が日本で実現できたら、この前提は崩れることも私は知っている。その技術とは、核融合発電だ。

核融合発電とは、地上で太陽の内部で起きている反応を再現するものだ。重水素などの軽い原子核を高温で融合させてヘリウムと中性子に変化させる。その際に発生する膨大な熱エネルギーを利用して発電する。核分裂に比べると放射性廃棄物が出にくく、暴走しづらいと言われている。わずかな燃料を投入するだけで莫大なエネルギーを入手できる。人類にとっては、究極の夢のエネルギー源と言えるだろう。

核融合発電の研究はもう何十年も行われている。しかしなかなかできない。なぜかというと、核融合を起こすために極めて高温・高圧な状態を維持しなければならないのだが、それが1億度とかとんでもない温度なので、燃料を普通に反応炉の中に入れるわけにいかず、いろいろ工夫しなければならないからだ。

私は子供のころから「核融合できるできる」と聞かされてきて、一向にできないので、すっかり懐疑的になってしまった。ただ、いまはスタートアップにも資金が集まり始めていて、核融合発電の実現に向かって着実に進歩しているという話もある。

例によって、AIに聞いてみた。ウェブ検索で調べないのかと言われるかもしれないが、ことエネルギーに関する話は、ポジショントークが多くて、ウェブサイトを見るだけではその技術の実現性の本当のところがよくわからないのだ。その代わり、今回は、Grok, Copilot, Gemini にそれぞれ聞いてみた。

質問は「私は再エネを強く推しているが、もし核融合発電が早期に圧倒的低コストで実現したら私の前提は崩れるかもしれない。その可能性はどの程度あるか?」というもの。その結果、Grok だけが2040年代に限定的な商用化が始まるというかなり積極的な回答を返してきた。一方で、Copilot と Gemini は慎重姿勢。Geminiは本格的な商用稼働は2060年以降、Copilotに至っては21世紀中は難しいのでは、という悲観的な答えだった。

一番のノリノリの Grok でさえ2040年代以降でぽつぽつ商用運転が始まるという答えだから、2040年以前の本格的な商用運転はほぼないと考えていいだろう。気候変動対策で低炭素電源の拡充は喫緊の課題である。低炭素電源は2種類しかない。再エネと原発(核分裂炉)だ。原発は、いまや再エネより大幅にコストが高いし、なにせ建設期間が長すぎて、気候変動対策に間に合わない。そのため、当面は再エネを徹底的に拡充していくしかない。

そこまでは従来の常識通りだ。しかし、2040年代に「あの」核融合発電が本当に実用化されるのだろうか?私にはやはりにわかに信じがたかった。核融合発電の研究開発は大きく分けて多国間の国家プロジェクトとして行われているもの(ITER)とスタートアップが取り組んでいるものに分けられる。ITERは資金力と規模は大きいものの、なにせステークホルダーが多すぎて動きが遅い。だからいまはスタートアップ系のプロジェクトの方が早く核融合発電を実現できるのでは、とも言われているらしい。

Grokに聞くと、一番の注目株はCFS(Commonwealth Fusion Systems)というスタートアップらしい。2018年にMIT出身の物理学者が創業した。高温超伝導磁石(HTS)使ってトカマク炉I(ITERで使っているタイプ)を小型・高出力化することを目指している。民間投資総額20億ドル超えとのこと。Google などの企業相手になんとPPA(電気購入契約)さえ結んでいるという。まだ 1Wh も発電していないのに大胆である。よほど自信があるのだろうか。

プラズマを閉じ込めるための超電導磁石を超低温の液体水素ではなく、それより温度の高い液体窒素で冷やせば済むのが味噌らしい。デモプラントのSPARCと商用プラントのARCを並行で開発している。マイルストーンとしては2027年にSPARCで実証実験を行い、2030年以降にARCで実際に発電を開始する予定らしい。

ただ根ほり葉ほりGrokに聞くと、とてもこのマイルストーン通りに話が進むようには思えなかった。SPARCは単に核融合反応を起こして、投入分より多いエネルギーを取り出せることを実証するだけ。実際に発電するためには、発生した熱を回収する仕組みが必要だが、それは SPARC ではやらないと。しかし、工学的にはそこが一番難しい部分ではないのか。試験的に短い時間を動かすのではなく、長時間連続稼働することが商用運転では求められる。こんな複雑な装置でそれを安定して行うのはさぞかし多数の試行錯誤が必要なはずだ。だがそんな仕組みがわずか数年で実現できるとは思えなかった。

というわけで、いくつものスタートアップには資金は集まって核融合界隈は盛り上がっているらしいものの、やはり本格的商用運転はかなり先ではないかという印象を持った。ただ、これからはAIの助けを借りて研究開発が加速する可能性もある。今後も核融合発電の開発状況を、期待しすぎず、失望しすぎず、予断を持たずに見守っていこうと思う。




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