以下の内容はhttps://elm200.hatenablog.com/entry/2025/07/27/151252より取得しました。


タイとの距離感

私はタイの北西部のチェンマイというところに住んでいる。タイといえば現在カンボジアと交戦中だが、ここはカンボジア国境とは反対側にある(むしろミャンマー寄り)なので、特に日常生活には影響がない。いまは雨季で毎日だいたい雨が降っている。窓の外は厚い雲が立ち込めていてすぐにも雨が降ってきそうだ。日本は各地で最高気温が35度を超えているらしいが、今日のチェンマイの最高気温の予報は28度である。日本より南にあって熱帯のイメージのあるタイだが、どうもこの季節は日本より涼しいようである。

タイに来たのは、日本に居たくなかったから。タイは住むにはとても快適な国だけれども、正直、タイを選んだ理由はそこまで積極的なものではなくて、ビザが取りやすかったから。先進国に近づくほどビザが取りにくくなり、ビザが取りやすい国は逆にいろいろ問題を抱えていることが多いのだが、タイはそのバランスが一番良いと思う。つまり治安は安定していて、物価が安く、生活はしやすい割に、ビザは比較的取りやすいのである。

外国に長く住んだことのない人向けに一応説明しておくと、数週間の観光ではなく、数か月以上滞在しようと思ったら、通常は何らかのビザという滞在許可をその国の政府からもらわなければならない。ビザの種類にはいろいろあって、申請から取得まで、難易度も費用も所要時間もみんな違う。外国に長く住もうと思ったら、カネや言葉の問題以前に、まずビザの取得が一番重要なのである。

タイ語は勉強しているけれども、なかなか難しくて日常会話できるところまでいかない。ただし、チェンマイはタイ有数の観光地であり、私が接触するレストランや商店の人たちはかなりちゃんと英語が話せるので、英語ができれば生活にそれほど苦労はしない。

外国に長期滞在するのはこれが3回目である。

最初はカナダ。私は永住権を取って移民としてカナダに入った。移民として入ってきて、その後子孫代々住み着く人たちが多いお国柄であるので、カナダ人は永住権を持っている人たちを「カナダ人」として扱ってくれる(実際に、政治的権利以外はカナダ市民(国籍者)と同等の権利義務を持っているので)。ただ私はよりカナダらしいカナダ人になろうと焦りすぎて精神的に追い込まれて、たった4年でギブアップして日本に戻ってきた。

2回目はベトナム。オフショア開発のソフトウェア企業を立ち上げようと思ってベトナムに行ったのだが、結局たいしたことはできず、なぜか米国公認会計士の資格だけ取得して帰ってきた(笑)。最初はたいして思い入れがなかったのだが、何か相性が合ったのか、私はベトナムという国がすごく好きになった。ベトナム戦争の歴史。社会主義国としての独特の社会構造。そうした一つ一つの要素が大変興味深かった。ベトナム人とは気が合って、何人もの友達ができた。ただ、ベトナムで稼げる仕事を見つけられなかったのでやはり2年で日本に帰ってきた。

そして3回目のタイ。ベトナムに長期滞在したことがあるので、東南アジアの気候はすでに慣れている。しかし、今回はそれ以前の2回の長期滞在とは違って、私はこの社会に溶け込もうとはあまり思っていない。あくまでもゲストとして生きていこうと思っている。

タイの観光地には昔から外国人(特に欧米人)が多くいて長期滞在している人たちも多い。当然、タイ人とは文化風習の違う人たちだが、タイ人はこういう人たちを同化しようとも排除しようともせず、あいまいな形でふんわり受け入れてきた。タイ人は親切だが、同時に外国人をいい感じに放っておいてくれる。私はそういうタイ人の優しい無関心に救われている。

歳をとって、人との距離には近すぎず遠すぎない適切な範囲があるということを知った。人に近づきすぎると、お互いを傷つけることもある。期待しすぎて、裏切られた気分になることもある。社会に対しても同じである。すべての社会がそうであるように、タイ社会もまたいろいろ問題を抱えているのだろう。しかし、それはタイ人が自分で考え、解決していくべき問題であって、私が口をはさむべきものではない。

私は、日本生まれ日本育ちの日本人として、最後は日本のことを考えずにはいられない。それはどこの国にいても結局変わりはしないのだ。だから、タイには自分がしばらく滞在することを許してくれたことを深く感謝しつつも、私はここで世界のことを考え、そしてそれが日本とどういう関わりを持つのか、考え続けようと思う。




以上の内容はhttps://elm200.hatenablog.com/entry/2025/07/27/151252より取得しました。
このページはhttp://font.textar.tv/のウェブフォントを使用してます

不具合報告/要望等はこちらへお願いします。
モバイルやる夫Viewer Ver0.14