今月5日にオーストラリア海軍が新型護衛艦に日本の「もがみ」型を選定したと発表しました。
韓国は昨年の時点で選考から漏れていた(最終選考は日本とドイツ)のですが、「なぜ負けたのか」を韓国メディアが分析していましたので紹介します。
一部、鋭い指摘がありますけれど、最大の敗因は「自動化・無人化」にある、としています。
前提として、豪州海軍の新型汎用フリゲート艦プロジェクトは「Sea 3000」という名称で、国防省や豪州海軍ではなく豪州政府が直接主導している計画だそうです。それだけ注力しており、重要度の高い計画といえます。
この計画は当初12隻のTie 1戦闘艦(ホバート級ミサイル駆逐艦3隻とハンター級フリゲート艦9隻)を調達する計画でしたが、9隻のTier 1艦と11隻のフリゲート艦に変更されました。
この変更を勧告したのがウィリアム・ヒラリディス元・米海軍中将が率いる「IAT」という独立分析チーム(参考)です。元・米外軍中将ですから、当然「中国」を念頭に置いたものでしょう。
更には2026年に建造開始し、2029年までに最初の1隻を引き渡すという強行スケジュールです。これは中国の台湾進攻を念頭に、配備を急いでいるものと思われます。
世界日報の記事からです。
豪州、日本護衛艦を選択...韓国防衛産業に示された「自動化」の課題
(前略)
豪州は111億豪州ドル(約10兆ウォン)を投入し、老朽化した護衛艦11隻を新型に変える方針だ。
11隻のうち3隻は日本で、8隻は豪州で建造する予定だ。日本の護衛艦の販売は初めてで、完成品の武器輸出もフィリピンにレーダーを販売したことに続き2番目だ。
豪州を含め世界各国に多数の軍艦を輸出したドイツのティッセンクルップ・マリン・システムズ(TKMS)、スペイン・韓国企業を追い抜いた結果だ。
特にドイツとスペインは、それぞれアンジャック級護衛艦とホバート級駆逐艦を豪州海軍にすでに納品した履歴を備えていたにもかかわらず、日本に追い出された。
海外で完成品の武器販売経験がほとんどない日本が一気に先進国市場を突破して巨額の受注に成功したのは、海上自衛隊での運用を通じた検証、高い水準の技術力などが影響を及ぼしたという評価だ。
(中略)
最上級は最高速度30ノット(時速55キロ)以上で、乗組員は90人だ。
乗組員の規模は豪州海軍が1990年代から2000年代半ばまで導入し運用中のドイツ製アンジャック級護衛艦の半分水準だ。
韓国海軍の大邱(テグ)級護衛艦や最上級の最終競争相手だったTKMSのメコ(MEKO)A200護衛艦より30人ほど少ない規模だ。高いレベルの自動化技術が適用された結果だ。
人手不足に直面した豪州海軍としては、艦内の自動化水準が高い最上級に関心が集まるしかない。
(中略)
ウクライナ戦争後に重視される迅速な納期も日本に強みとして働いた。
豪州は中国海軍の膨張に対応して2030年までに初期戦力を確保しなければならないが、日本はすでに最上級の護衛艦を年間2隻以上建造しておりドイツより先導艦の納期が早い。
これは豪州海軍にとって非常に重要な部分だ。当初、豪州海軍は英国の26型護衛艦を基にハンター級駆逐艦を建造し、防空および長距離打撃力を拡充しようとした。
しかし、重量が当初の予想より20%を超過し、電気が不足しているため、多機能位相配列(AESA)レーダーと推進体系のうち、電力をどこに優先的に供給するかを選択しなければならないほどだ。
(中略)
オーストラリア型最上級は日本型と比較すると、垂直発射機が16個から32個に増える。 これにより、対空ミサイルを最大128発まで搭載することができる。
(中略)
今回の受注で、日本は豪州との海洋安保連携を強化する基盤も整えた。グローバル防衛産業市場で信頼度を高め、追加輸出を進める動力も確保したという評価だ。
豪州は戦力増強のほかにも、自国造船業の発展という産業的利益も得ることになる。
(中略)
豪州が最上級護衛艦の導入を決めたことは、韓国にも示唆するところだ。
高性能先端戦闘艦を確保しなければ、戦闘力の維持はもちろん、海外市場からも押し出される恐れがあるということだ。
このような事態を防止しながら自動化・無人化水準を高め運用者の負担を低くし、軍艦を大型化するなどの先端技術が必要だ。
(中略)
韓国の造船業界も自動化水準を高め、艦の大きさを拡大した輸出型駆逐艦を海外市場に提案する準備をしている。
HD現代重工業とハンファオーシャンなどは今年5月、国際海洋防衛産業展(MADEX)で海外市場を狙った新型艦艇と関連技術を披露した。
HD現代重工業は6500トン級の輸出型高性能護衛艦であるHDF-6000を提案した。豪州の次世代護衛艦事業受注失敗の教訓を反映して艦を大型化した。
統合マストを装着し、無人水上艇とドローン搭載空間がある。 ドローン対応システムも搭載される。
ハンファ・オーシャンも8200トン級の駆逐艦を発表した。 韓国型次期駆逐艦(KDDX)の発展型に属する新型艦艇は韓国型垂直発射体系48セルとレーザー兵器、傾斜型対艦ミサイル、統合マストを装着する。
(中略)
しかし最上級のように実際の使用経験を蓄積し、検証が行われてこそ、世界の戦闘艦市場で競争力を確保することができる。
欧州の造船所は蓄積された履歴と技術、自国の政治的影響力を土台に東南アジアと中東市場を攻略している。トルコも宗教的同質感のあるイスラム国家を中心に受注を受けている。
このような状況で、日本まで先進国の戦闘艦市場に進入した。軍艦輸出は韓国が日本より先に始めたが、先進国戦闘艦市場進入は日本が一歩早かったわけだ。
韓国海軍も未来戦闘艦プログラムで自動化・無人化技術を大幅に反映し、建造を急ぐ方向に事業推進戦略を転換する必要があるという指摘だ。海軍の使用履歴と技術検証があってこそ、輸出市場で競争力を得ることができる。
(後略)
世界日報「호주, 일본 호위함 선택…한국 방산에 드리운 ‘자동화’ 과제 [박수찬의 軍](豪州、日本護衛艦を選択...韓国防衛産業に示された「自動化」の課題)」より一部抜粋
ゴチャゴチャと書かれていますが、要は「自動化・無人化技術」を搭載出来ないと、今後国際市場での受注競争に太刀打ちできない、と主張しています。
また、日本には海上自衛隊での運用実績が既にあった上、納期も早いというメリットがあった、と。
他にも、対中国に備えた戦力確保である点に触れるなど、比較的フラットな視点での分析がなされていると思います。
だからこそ残念なのが、韓国の課題を「自動化・無人化技術」だけに着地してしまった点です。
韓国には致命的な課題がもう一つあります。韓国では勝手に設計図が書き換えられるのです。
先日もハンファオーシャンが建造した大邱級フリゲート艦(Sea 3000で日本と入札競争した型です)で、当初の基本設計では銅・ニッケル合金製の配管だったものが「勝手に」ステンレス製の配管に変更されており、そこから漏水するトラブルが発生しました(参考)。
しかもこの配管、燃料タンクを貫通して通過するよう設計されていたそうで...まず設計が不良なのじゃないかと思えるのですが...とにかく、ここで漏れた排水(バラスト水)が燃料タンクに入ったことがトラブルの原因だそうです。
同型艦が2016年から2023年まで約3兆ウォンをかけて8隻作られ、その半分以上で同じトラブルが発生しているとか…。
「自動化・無人化技術」以前に見直すべきところが多々ありそうな話です。