「84ヵ月で埋立地に新空港作って」という無茶振りに、建設会社が「いや、無理ですって。最低でも108ヵ月掛かりますって」と反論しましたが聞き入れられず、主幹業者であった現代建設が今年6月に事業から撤退しました。
そして現代建設の撤退に続き、事業持ち分3位だったポスコも撤退を発表しました。
そもそも新空港計画は2030年の釜山万博誘致のために持ち上がった国策事業ですから、万博誘致が霧散した今、「84ヵ月」に拘る必要はないはずですのに。
時事ジャーナルの記事からです。
建設会社脱出ラッシュ…乱気流に閉じ込められた「加徳島新空港」
(前略)
ポスコE&Cは加徳島新空港敷地造成工事コンソーシアム参加をあきらめた。これは今年相次ぐ重大災害事故発生で新規インフラ受注を全面中断することにした会社方針にともなう措置だ。 ポスコE&Cは持分率13.5%で、現代建設(25.5%)、大宇建設(18%)に次いで3番目に大きい株主だった。
先立ってコンソーシアム主管社である現代建設は6月、工事不参加を宣言した。工事期間をめぐって国土交通部との異見を狭めることができなかったためだ。国土部は従来の入札条件である84ヵ月(7年)の工期を固守した。一方、現代建設は、海上埋め立ての技術的な難度と気象リスクを考慮し、108ヵ月(9年)が必要だと対抗した。中間折衷案である96ヵ月が取り上げられたが、結局合意点を見出すことができなかった。
(中略)
加徳島新空港建設事業は釜山江西区加徳島一帯の陸地部と海上約666万㎡敷地に総事業費15兆ウォンを投入して造成する超大型国策事業だ。敷地には長さ3500m・幅45m滑走路と係留場58面、旅客・貨物ターミナルなどを備えた空港が建設される。政府は開港の時期を2029年12月に決めた。
業界では政府が海上埋立工事の技術的難度と気象変数によるリスクを見過ごしたという指摘が支配的だ。加徳島に新空港を建設するためには滑走路建設のために大規模に海を埋めなければならない。滑走路の中間部分が陸地(島)にかけて左右の端は海を土で埋めて連結する構造だ。しかし、周辺の水深は最大21メートルに達する。海上埋め立て費用も天文学的な規模だ。
加徳島新空港の予定地が「外海」(陸地に囲まれていない海)に直接露出しているという点も工事の難易度を高める要因だ。 滑走路の両端が置かれる埋め立て地盤は、海の下の軟弱地盤であるため、地盤強度が陸地区間と大きく異なる。このような条件では滑走路が片方に落ちる「不等沈下」を防ぐために大規模基礎補強と長期間の安定化工程が避けられない。
(中略)
気象変数による空気遅延の危険も大きい。特に、加徳島一帯は潮流が強く、台風経路に位置しており、年間作業可能日数が制限的だ。台風や強風が過ぎれば少なくとも一週間以上作業が中断され、冬季の高波も工程支障を誘発する。
(中略)
2016年、パリ空港公団(ADP)が実施した新空港立地評価でも、加徳島は金海空港(805点)、密陽(686点)より低い619点を記録した。 該当評価は接近性、気象条件、建設費、環境影響などを総合的に分析した結果だ。
経済性不足問題も再び注目されている。国土部が実施した加徳島新空港事前妥当性検討研究用役で便益対比費用(B/C)比率は0.51~0.58と現れた。一般的に国策事業はB/C比率が1.0以上であってこそ経済的妥当性があると見る。これは現在の計画上、投資費の回収が難しいという意味だ。
(中略)
加徳島新空港の開港時期が当初の2035年6月から2029年12月に6年近く繰り上げられたのは「2030釜山世界エキスポ」誘致と直結する。政府はエキスポ開催前に新空港を完工し、国際的地位を高めるという構想を立てた。しかし、結果的にエキスポ誘致にも失敗し、新空港建設まで支障をきたす二重苦に陥った。
(中略)
現在、政府の前には大きく2つの選択肢がある。 既存条件を維持したまま新しい業者を探す「再公告」方式と入札条件を修正する「再入札」方式だ。
(中略)
再入札は工期延長と予算増額を通じて現実的な条件を提示する方式だ。 この場合、建設業界の参加可能性は高くなるが、入札手続きから再び始めなければならず着工まで1年以上かかることもありうる。業界では現実的に再入札が避けられないという分析が支配的だ。ある建設業界関係者は「現在の条件ではどんな業者も気軽に乗り出すことは難しいだろう」とし「政府が体面を捨て現実的な条件を提示しなければならない」と話した。
(後略)
時事ジャーナル「건설사 탈출 러시…난기류에 갇힌 '가덕도 신공항'(建設会社脱出ラッシュ…乱気流に閉じ込められた「加徳島新空港」)」より一部抜粋
「政府が体面を捨て~」、この一言に尽きますね。
釜山万博誘致は霧散したのですから2029年12月開港を目指す理由は「メンツ」以外に無いでしょう。
というか、釜山万博誘致のための空港だったのなら採算が取れない今、空港の存在意義自体がありません。主な参加業者が撤退してくれているんですから、一度計画自体を白紙に戻せば良いのに。それこそ「メンツ」の問題でしょうか?